私(佐藤)はインテリアにあまり興味がない。若い頃は一流作家の作品を調べて、デザイナーや制作時期の知識を頭に詰め込んだけど、到底買える代物ではなくていつしか興味を失った。今では室内照明は裸電球でもいいくらいに思っている。

そんな私が思わず、クロワッサンの形をしたインテリアライトを購入してしまった。実はこの「パンプシェード」は本物のパンから作られているのだ。その灯す光は美しく、不思議と心癒されるのである。

・美味そうなライト

このクロワッサンのライトは、東京駅構内のセレクトショップ「トーキョーミッツ」で見つけたものだ。


こんなところにパンがある! 食い意地の張った私は、即座に「美味そうだな」と思ってしまい、それがランプと気づいたのは5分後のことだった……。そもそもこんなところに包装なしでパンを置く訳がないよね。

でも、本物のパンだと思うでしょ?


普段の私なら「よく出来てるな」と思って終わるところだが、本物のパンで出来ていると知って買わずにはいられなかった。廃棄予定のロスパンをランプに再生しているというのだ。

購入したクロワッサンは税込7480円だ。卓上ライトとしてはちょっと高いかもしれないけど、買うだけの価値があると感じた


・素材が興味深い

フタを開けるとこんな感じ。やっぱ美味そうだよな


商品の注意書きに「本品は割れ物です」と記載されている。樹脂加工されているものの、ガラスと同程度の強度とのこと。



裏面に単三電池1本を入れて使用する。


この製品の素材は一般的なインテリアライトと全然違って、強力粉・薄力粉・塩・イースト・LED・電池ケースで構成されている点がとても興味深い。


・心を癒す光

素材となるロスパンは、提携店舗から買い取ってランプとして作品化している。パンの形状はお店によって違うので、1つ1つのライトもまたそれにともない形や色や大きさが異なっている。また、パンをくり抜いた可食部分は「NAKAMI(中身)ラスク」として販売している。

パンの価値を再生するための工夫がいくつも施されている。


そんなパンプシェードを手掛ける森田優希子さんは京都市立芸術大学版画学科卒業。パン好きが高じて学生時代はパン屋でのアルバイトをしていたそうだ。その経験を通してロスパンをライトに再生するアイディアを思いついたそうだ。

彼女は公式サイトでこう振り返っている。


「パン屋でアルバイトをしていた学生時代、売れ残って捨てられていくパンを見るのが耐えられませんでした。両手に抱えて持ち帰っては自分で食べたり、花を生けるように部屋に飾ったり、友人に配ったりとささやかな抵抗を試みる毎日。

そんなある日の夕暮れ、白い中身をくり抜いて食べていたパンに、西日の透過光が当たって、翳り始めた部屋の中で美しく光っているのを見ました。言葉も忘れて見とれてしまうほどの瞬間でした。それは「パンプシェード」という作品のルーツであり、表現者として自分が何をやっていきたいのかが定まった原点でもありました」


日々パンを廃棄することに打ちひしがれる彼女が見た光が、このクロワッサンにも宿っているはず。


このあたたかい光を見ていると、パンがその形や色で人を癒す理由がわかる気がする


・正規のオンラインショップ

パンプシェードは全国のセレクトショップだけでなく、15カ国以上で販売されているそうだ。パンのもたらす光は言葉や文化の壁を越えて、人を優しく包んでいる。

なお、オンラインショップで通信販売も行っているが、正規品は他の通販サイトで一切販売していないので注意して欲しい。パン好きにはぜひともおすすめしたいインテリアライトである。


・今回訪問した店舗の情報

店名 トーキョーミッツ
住所 東京都千代田区丸の内1丁目9-1 1F 新幹線北乗換口前グランスタ東京内
時間 月~土曜8:00~22:00 日祝8:00~21:00
定休日 なし(施設に準ずる)

参考リンク:YUKIKO MORITA[12]
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24