Wikipedia(ウィキペディア) から寄付催促メールが来ない──これがどれほど衝撃的な事件なのか、1度でもWikipediaに寄付した経験がある人ならお分かりいただけるのではないか。
知らない人もいるだろうから簡単に説明しておくと、Wikipediaに1度でも寄付をすると「圧のすごい寄付催促メール」が毎年送られてくる。それはもはや桜の開花やクリスマスと一緒で、毎年必ず来るものであった。が、しかし!
先にも述べたとおり、今年2022年は来ていないのだ。おかしい。例年であれば毎年夏ごろ、早ければ海開きのタイミングとほぼ同時にWikipediaからポエムなタイトルの寄付催促メールが来ていた。
なんなら私はWikipediaからのメールで夏の訪れを感じていたのに……! 今年は8月が終わり、9月になっても来ていないのだ。一体何があったのかと思ってSNSを見てみると、例年に比べてWikipediaの寄付に関する投稿が少ない気がする。
2021年やそれ以前であれば、「Wikipedia(ウィキペディア)の寄付催促メールがヤバい」とか「寄付バナーがデカすぎ」的なコメントがSNS上にいくつも投稿され、ピーク時はTwitterのトレンドに上がるくらいの勢いでウザがられていたはずなのに……!
今年は空気が違う。もちろん、私の元にだけ寄付催促メールが来ていないって可能性もあるし、「○年以上寄付をし続けた人には催促メールを送らない」的なルールでもあるのかもしれない。
だが個人的にもっとも可能性があると思うのは、Wikipediaがこれまでの姿勢を反省し、寄付への圧を弱めたってことだ。もしそうだとしたら、安心する反面ちょっと寂しい気もする。
うるさくて面倒な存在だとは思っていたけれど、大人しくなったら「大丈夫かな?」と心配になる不思議な心理。そしてそうなると、「寄付しようかな」って気持ちになるのは私だけではないだろう。
・今年も寄付をしようとしたら
というわけで、私は昨年2021年に来た寄付催促メールを開き、そこにあったリンクをクリックしてみた。
すると……
え? 寄付が2000円から!?
Wikipediaの寄付って「コーヒー1杯の金額でいい」が決まり文句のはず。2000円のコーヒーだってあるにはあるだろうけど……と思うと同時にピンと来た。
私がこれまでに寄付した最高額は2000円(2020年)。翌年の2021年はちょっとケチって1500円にしたのだが、この表示には「1500円といわず最高額をもう1度くれ」というWikipediaの強い気持ちが込もっているに違いない。
ちなみに、メールのリンクを踏まずGoogle検索から寄付の受付ページに進むと、通常通り300円のアイコンが表示される。
これはなかなか巧妙なトラップだ。メールのリンクをクリックして進むと「2000円からじゃないとダメなの?」と思ってしまいそうだが、実はもっと安い金額からでも寄付は出来る。
このあたりの仕様、なんとも言えないセコさを感じてしまうが、逆に言うとそれだけWikipediaは資金調達に必死なのだろう。よって、もしあなたが寄付してあげるとWikipedia的には大歓喜かと思うが……。
寄付をするならば、毎年のように催促メールが来ることを覚悟の上でやった方がいい。私の元には今年メールが来なかったものの、相手によって催促の手段を変えているかもしれないから。
あるいは、私の元にも例年より遅れたタイミングでメールが来る可能性だってある。もしそうなったら……また追ってレポートしたい。
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.