ある日、妙な噂を耳にした。

高知県の山奥に、日本のフィギュア界をけん引する “海洋堂” をルーツに持ちながら “かっぱ” に特化した、その名も『海洋堂かっぱ館』という施設があるらしいのだ。

なんで海洋堂? なんでかっぱ?? っていうか、なんで四国の山奥!? ……いくら考えてもハテナがいっぱい浮かぶばかりなので、現地へ行ってみることにしたぞ!

・フィギュアのパイオニア

ご存じない方のためににザッと説明すると、海洋堂とは日本のフィギュア界のパイオニア的存在。


1964年に模型店としてオープンし、現在では怪獣やロボット、美少女や動物などなど、ありとあらゆるモノをフィギュア化する超プロフェッショナルな集団だ。

何を隠そう 筆者もその昔、フルタ製菓のチョコエッグのオマケだった海洋堂監修のフィギュア「日本の動物コレクション」にドハマりして集めたクチ。あとはエヴァンゲリオンのフィギュアも集めたし、結構思い入れがあるんだよね。


・山でかっぱに囲まれて…

それにしても、実際に海洋堂かっぱ館を目指してバイクを走らせると、本当にへんぴな立地であることに驚かされた。

宿泊した四万十市からはバイクで1時間。しかも、そのうち30分以上は車同士のすれ違いが難しいような狭い山道を走ったのだから。


かっぱ達の歓迎っぷりは凄まじい。よく見ると、海洋堂かっぱ館へと続く橋の欄干(らんかん)から既に出迎えてくれているではないか。


それだけではない。バイクを停めて入口へ向かおうとすると……


ここにもかっぱ!


あそこにもかっぱ!


どこもかしこも、かっぱに囲まれお祭り状態なのである!!

あとからわかったことなのだが、これらの木製のかっぱたちはチェンソーアート界で名をはせる山本祐市氏の作品ということ。


その数は10や20なんて可愛いものじゃなく、入場する前から「お腹一杯だよ」って言いたくなっちゃうぐらい、ズラズラと建物を取り巻いているのだ。


しょっぱなから圧倒されつつもドアを開けると、


消毒用のアルコールにまでかっぱが装飾されていた。マジでどんだけおんねん!



・全国から集まったかっぱの展示スペース

海洋堂かっぱ館の入館料は、大人(高校生以上)が500円、こども(小中学生)が300円。

展示スペースは1号館、2号館にわたり 常時600体ほどのかっぱが展示されている。


山本氏のチェンソーアートだけではなく、メインとしては過去に開催された「四万十川カッパ造形大賞」という かっぱに特化したアートコンテストの応募作品を展示しているのだそう。

そもそも “かっぱに特化した” コンテストなんてものがあるんだな。世の中知らないことばかりである。


驚くべきことには、四万十カッパ造形大賞には材質やサイズの規定がなかったらしい。

その結果、展示物の中には樹脂製のパズルでできた手のひらサイズの作品から、


2トントラックをチャーターして届けられたという超重量級の金属像まで、大小さまざま。

一人として同じかっぱはいないし、作者の全力投球っぷりがヤバい。中には「仕事の後に徹夜を続け、半年かけて作りました」的なコメントが付いた、超リアルな彫刻まであったほどだ。


あまりにもたくさんのかっぱを見過ぎて、帰る頃には自分の肌まで緑に見えてくるような、かっぱ以外のことは考えられないような……ちょっと中毒的な気分にまでなった気がする。


──ということで、筆者の個人的お気に入り作品をいくつかご紹介させてほしい。

まずは『河童のきゅん』というタイトルの作品

ほぼ等身大のかっぱは、あどけない少女のよう。切なげな表情、ウルッとした大きな瞳、手には食べかけのキュウリを持っていて「きゅん」という言葉が本当に良く似合っている。

生きているんじゃないかって思うぐらいにリアルで、その姿と表情に心がギュッと掴まれた。


続いては、かっぱのペットボトルアート。

ひとつずつは小さいのだが、合計30体以上におよぶ大作だ。すべて1人の方が作っている作品なのだが、形も表情も「みんな違ってみんないい」という感じ。柔軟な発想に脱帽だ!


最後は、館内の至る所に飾られていた布製のかっぱ。

スターウォーズのヨーダ的な顔だちのかっぱは、正直それほど可愛くはないのだが 憎めない感じだ。なにやら物欲しそうな顔で1点を見つめているが、キュウリでも見つけたのだろうか……?



・へんぴな立地のワケは「ふるさと」

海洋堂かっぱ館の正体がわかったところで、最後に「なぜ海洋堂の関連施設がへんぴな山奥にあるのか?」という疑問にお答えしよう。


実は海洋堂の創設者 宮脇修氏は、四万十町のすぐ隣にある大方町(現黒潮町)のご出身

ふるさとのご縁から2011年、海洋堂の歴史的な制作物が見られる『海洋堂ホビー館四万十』を四万十町にオープン。その翌年の2012年に海洋堂かっぱ館をオープンしたというわけだ。


こちらが海洋堂ホビー館四万十。海洋堂かっぱ館からは、車で5分ほどの場所にあるぞ!


ホビー館では、海洋堂の貴重な初期~現代の作品や、


原型師ごとの作品集など、ファン垂涎のフィギュアがたっぷり見られるぞ!

ホビー館の入館料は大人(高校生以上)800円、こども(小中学生)400円。かっぱ館との共通入場券は大人1200円、子供600円とちょっとお得だぞ!


ということで、謎に包まれた海洋堂かっぱ館は怪しい場所ではなく、ただひたすらに「かっぱの楽園」が広がっていた。

記事ではご紹介し切れないほどにかっぱへの愛と思いが詰まった施設なので、是非、山を越えてドライブを楽しみながら訪れてみてほしい!

参考リンク:海洋堂かっぱ館海洋堂ホビー館
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼館内はどこを見てもかっぱが目に入る環境

▼かっぱの顔出し看板もチェンソーアート製

▼フォトスポットもあるカパ~!

▼手洗い場の蛇口がキュウリ!?

▼こちらの消毒液は、かっぱ仕様に魔改造されている

▼クマにくわえられるかっぱ

▼象と犬に乗るかっぱ

▼庭のかっぱの中には、自然へ還りつつある個体もいた

▼ミュージアムショップでは、山本氏が作った木彫りかっぱを購入できる

▼買いました。今日から君はうちの子です!

[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]