新型コロナの感染拡大以降、非対面で商品を購入できる無人販売が普及している。自販機が至るところにある点からしても、無人販売は日本でなじみが深い。また古くから無人の野菜販売は各地に存在しており、今でも農家が余分に採れた野菜を販売していたりする。
そんな無人の野菜販売について外国人ライターに尋ねたところ、興味深い答えを得ることができた。
・誰もが目にしている無人販売所
私(佐藤)は子どもの頃から野菜の無人販売を知っている。というのも地元の島根では少し街から外れると、よく目にしていたからだ。
最近も千葉県佐倉市で自分で収穫する野菜の無人販売を体験したばかりだ。収穫型はここが初めてだったけど、野菜を並べた状態で集金箱を置いている無人販売所は日本中に存在するはずである。
実際、当編集部で「野菜の無人販売を見たことがあるか?」と尋ねたところ、全員が「ある」と答えた。まったく珍しいものではないのだ。
・外国人の抱く疑問
外国人の目に無人販売はどう映っているのだろうか? 当サイトのアメリカ人ライター、ケーシーさんに「【斬新】自分で収穫! オールセルフの「無人野菜直売所」で野菜を収穫してみた!!」を読んでもらって、率直な感想を尋ねた。
ケーシー「少し前にこの場所(収穫型の無人野菜の無人販売)について知ったから、まったく知らなかった訳ではないけど、とても面白くて、そして日本ならではの発想だと思ったよ」
ケーシー「まず言えることとしては、相当まじめな国じゃないとできないな。別にアメリカにこういう畑を作ったとしても、誰もが野菜を盗んだりいたずらで抜いて捨てたりするわけじゃないと思う。でも、「きっとそうする人は1人も来ない」なんて発想はなかなか信じがたいな。
こういう畑を無事に続けられている日本の平和は素晴らしい!
とはいえ、日本でもここまで人を信用する販売人もなかなかいなくて……というのを考えたら、そこまで利用者を信じてくれるならますます「その素敵な考え方をサポートするために、なおさらここで野菜を買いたい」って気分になる」
と、この収穫型の無人販売所の仕組みと利用客の信頼関係を評価している。その一方で……。
ケーシー「少し気になる点もあるけど……。野菜を買った後に何かトラブルがあったらどうなるかな? 買って家に戻った時に、野菜が傷んでいたり虫が入っていたり、万が一、食べて食あたりになった場合は農家さんにクレームを出すことになるかな?
そういう心配なく畑を経営しているとしたら、日本の農家は作っているものに自信があって、日本の消費者は自己責任の概念が強いかな?」
と疑問を語った。そして……。
ケーシー「それから、ここの販売所がネットで話題になって、実際に買いに行っている人がいるところを見ると、収穫を楽しんだり自然の恵みに感謝する日本の文化にも感心する」
・いつまでも続くように
彼が疑問を抱くのも無理はない。一般的には、野菜が傷んでいたり虫がついていれば、購入店舗にクレームがついても何も不思議ではないからだ。
だが、無人販売所の場合は少々事情が異なる気がする。あまりものの野菜を販売していることを利用者はみんな知っている。多少傷んでいても安く買えることがメリットだから、クレームは少ないだろう。
というか、野菜の無人販売にクレームを付けるその発想自体が私にはなかった。「だって無人販売だよ」と彼に伝えそうになったが、彼は知らないのだ。詰まるところ、日本ではこの販売方法が深く浸透し、利用者は自己責任で購入していると考えていいだろう。
いずれは防犯や決済にテクノロジーの力を借りることになるかもしれない。だが、それらがなくても、無人販売がずっと続けられる日本であってほしい。農家と利用者の静かな信頼がいつまでも続くように。
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24