2022年現在、回転寿司と言えばタッチパネルでの注文がもはや当たり前。注文した商品は人間ではなく、専用のレーンが高速で席まで届けてくれるというハイテク飲食店の代表格だ。

しかし思い出してほしい、世の中に回転寿司が出始めたばかりの頃を。あの頃は店員に直接声をかけて注文していなかったっけ……?

今や懐かしい思い出である創成期の回転寿司。2022年現在も現役で体験できるご当地チェーン店を発見したのでご紹介させてほしい!

・岩手発祥のチェーン『すノ家』

岩手県を中心に展開する回転寿司店『すノ家』。筆者が訪れたのは岩手県紫波郡にある矢巾(やはば)店だ。

週末の19時頃ということもあり駐車場はほぼ満車。長時間の待ちを覚悟したが、客の回転が早いのか30分ほどで案内をしてもらうことができた。


入店すると店内には大きなカウンターがあり、中では5人ほどの職人の方が忙しそうに働いていた。

カウンターに沿って席が用意され、手前が一人用の席、奥がテーブル席だ。

壁にはメニューが手書きされた紙が貼られており、入店して第一印象からかなり活気があるように感じた。


・早い、安い、そして粋(いき)

席について驚いたのが、今どきは当たり前になりつつあるタッチパネルがないことだ! 一応レーンも回っていたが寿司の数は少なく、注文がメインのように思われる。


どうやって食べればいいんだ? 周りのお客さんを観察してみたところ、皆軽く手を挙げながら

「すんません、アジとサワラお願いします!」

といった感じで直接声をかけている。職人は

「あいよ~!」

と答えると自分で握ったり、担当の職人に伝達したり、とにかくカウンター内で猛スピードで握ってくれる。そして30秒ほどで

「アジご注文の方~!」

と手渡してくれる。

彼らの動きにはほとんど無駄がなく、次々と新しい寿司を生み出していく。常連の方も多いようで「久しぶりだね」「今日は飲まないの?」などと声をかけられているシーンも見かけた。

テンポよく仕事をこなすカウンター内だが、まったくギスギスした様子はない。むしろ職人同士の掛け合いやチームプレーはまるでショーを見ているような感覚。まさに粋なプロ集団といったイメージだ。


なるほど、口頭で注文するのね……。そう思いながらメニューを見ると、

基本のメニューは税込110~165円!!!!

基本のメニュー表に載っていないネタは壁に大量に貼られている。店内を見まわしながら物色していると、だんだん目が回ってくるほどに豊富な品数だった。

トロやウニ、車エビなど高級ネタはさすがにもう少し高価だが、それでも3貫セットで440~660円ほどの価格設定だ。


──それにしても、いつ声をかけよう? 職人たちは皆絶え間なく動いていて、作業を中断させるのが申し訳ないような気がしてしまった。

筆者が戸惑っているのが伝わってしまったのかもしれない。

中でもベテランのように見える職人が「大丈夫ですか?」と聞いてくれた。おかげで最初のオーダーを踏み出すことができたし、その後も度々気にかけてくれ、口頭オーダーに慣れない筆者でもまったくストレスなく注文できた。

なお、店舗によってはタッチパネルによる注文がメインの場合もあるそうだ。訪問前にあらかじめ調べておくことをオススメする。


・寿司が旨すぎた!

ここまでは店のシステムについてご紹介をさせてもらった。しかし当然のことながら、寿司屋にとっていちばん大切なのは “寿司が美味しいかどうか” である。結論から言うと……


すノ家の寿司は、旨い!

こちらはトロサーモン、バチ中トロ、中トロの3貫セットで税込550円の『海鮮セット』。明らかにネタが大きくて分厚く、それぞれにしっかりと脂が乗っていてかなり美味しかった。1貫当たり約180円ほどとはとても思えない。


続いて頼んだのが赤海老、特大蒸し海老、車えびの3貫で税込440円の『えび三昧』

こんなの旨いに決まってるやろ!

実を言うと、これまで筆者が回転寿司で食べてきたのは魚がメイン。弊サイトで『海老寿司日記』を読んだことをきっかけに注文してみたのだが……今後は積極的に食べていこうと決意した。

特に特大蒸し海老なんて、自分で「特大」なんていうだけあって本当にボリューミー。プリっとした食感があり、甘みもあってたまらんよ!


その後は白魚、


生ゲソ、


しめ鯖、


炙りエンガワと110円皿を連発してみた。

値段が下がればクオリティも下がるかと思いきや、最高が更新され続ける。美味しい、美味しいぞ!!!!


炙りエンガワなんて、アップでしっかり見て欲しい。

香ばしくて甘じょっぱく、口に入れると脂がトロけるのだ。あぁ、たまらん。近所にすノ家があったなら毎週末このエンガワを食べに行くね。


165円皿のウニイカも文句なし。

ツルっとサッパリしたイカをクリーミーで濃厚なウニが包み込んでくれる。軍艦はホロっと柔らかいのに崩れず、絶妙なバランスだ。


最後にご紹介するのはこちら!

卵焼きだ。


先に断っておくと、筆者は寿司道に通じていないまったくのド素人。卵焼きの良し悪しで寿司屋の質を判断しているわけではない(判断できる立場ではない、と言った方が良いかもしれない)。

それではなんで最後に卵焼きについて言及するかと言うと、シンプルにめちゃくちゃ美味しかったからだ。

温かい卵焼きはふっくら優しい甘さで、噛むと出汁が染み出してくる。そのまま食べても良し、大根おろしと醤油をかけても良し。もうひとつ食べたい! と思ったところ売り切れてしまったのだ。

……困った。こうして思い出しながら書いているだけであの味が恋しくなってきたよ。


・常連になりたい!

はじめはひと皿注文するだけでも苦労をしていた筆者だが、最終的には「すんません、〇〇お願いします!」「あいよ!」「〇〇注文の方~!」という一連の流れのテンポの良さが癖になった。

──あぁ、すノ家に通いたい。そして常連としてベテラン職人に「今日はいいの入ってるよ」なんて声をかけてもらいたい!


お会計時に「ご満足いただけましたか?」と聞かれ、「はい! とても!!!!」と元気よく答えてしまった次第だ。

今回のお会計は税込1705円。良心的な価格なのはもちろん、お値段以上の満足感を得ることができた。

なお、人気のネタは19時半ぐらいになると売り切れていくようだ。早めの時間帯での訪問をオススメする。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 すノ家 矢巾店
住所 岩手県紫波郡矢巾町大字西徳田第5地割201
時間 11:00~21:00

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

▼まさにこの看板通りなお店だった。