東京の観光地として栄えるお台場の風景が2022年、大きく変わる。先日、ヴィーナスフォートが2022年3月27日の閉館を前に大規模なセールを開催していることを記事にした。
すでにニュースなどでも報じられているのでご存知の方も多いと思うが、ヴィーナスフォートだけでなくランドマークの大観覧車も含め、お台場のパレットタウンそのものが2022年8月31日をもって営業終了する。
すでにメガウェブとZepp Tokyoが閉館していることもあり、2000年代の賑やかだったお台場とは全く違う風景が広がっていた。
・パレットタウンは8月31日までに終了
パレットタウン内の閉館日をざっくりとまとめると
・メガウェブ……2021年12月31日
・Zepp Tokyo……2022年1月1日
・ヴィーナスフォート……2022年3月27日
・大観覧車……2022年8月31日
・チームラボ ボーダレス……2022年8月31日
ヴィーナスフォートが閉館すると残るは大観覧車とチームラボ ボーダレスのみになる。
2000年代のお台場はテレビや雑誌でとりあげられ、ひどくキラキラした場所だった。
インターネットで「リア充」などという言葉が使われはじめていたが、ファミリーとカップルでごった返すお台場は「リア充のための場所」というイメージ。私は正直、ちょっと苦手な場所だった。
1. ヴィーナスフォート
セールで最後の賑わいを見せているヴィーナスフォートだが、早めに撤退した店もあり、3階のフードコートも一部を除いて閉店している。
持て余したスペースに「人をダメにするソファ」的なものが無造作に置いてある謎のエリアがあったりと、終わりを迎える施設独特の寂しさがそこはかとなく漂う。
そして、館内のレストランを見ていて感じたのが、やたらとパンケーキ系のメニューが多いこと。パンケーキは美味しいし私も大好きなのだが、最先端の流行かといわれるとちょっと違う。どことなく平成末期の空気を感じるような……。
イタリアの町並みをイメージしたデコラティブな装飾は「SNS映え」になりそうなものだが、全体的に照明が暗いのが気になった。
改めて歩いてみると、極端にエスカレーターが少なく館内はまるで迷路のよう。道に迷う人が続出していた。
とはいえ、ここまで世界観を作り込んだ建物はあまりないので、閉館前に一見の価値ありだと思う。
2. メガウェブ
12月31日に閉館したトヨタのショールーム、メガウェブだが、ヴィーナスフォートから大観覧車への連絡通路として歩くことができる。
Zeppにライブを観に行くときも、この連絡通路を使っていたな……。よく道に迷ったことを思い出す。
しかし、照明が落とされて薄暗く、車が完全に撤去されたメガウェブは近未来の廃墟のよう。警備の人がひとり立っているが、夜に通ったときはなんとも寂しいムードだった。
そして、ヴィーナスフォートの2階から「ヒストリーガレージ」というエリアに入れるのだが……。
昭和初期の町並みを再現した不思議な空間が広がっている。
ブリキの看板や映画のポスターなどは当時のもののようだ。まるで映画や朝ドラのセットのようにも見える。
ここにも警備の人がひとり立っているが通る人は少なく、立入禁止のテープが随所に貼られた様子は昭和レトロをこえてひどく寂しい。
調べたところ、ここはもともとトヨタのクラシックカーを展示するエリアだったそうだ。車が撤去された今は町並みのセットだけが残されてしまったというわけだ。
3. パレットタウン大観覧車
そしてお台場のランドマークともいえるパレットタウンの大観覧車。ここは今でも人気スポットで、多くのカップルが並んでいる。特にスケルトンのゴンドラは人気で待ち時間も出ていた。
ちなみに3月27日までは「ポール&ジョー」とのコラボ仕様になっており、ゴンドラの内部がかわいい猫のデザインになっている。土日は化粧品のサンプルも配られているらしい。
開業時は世界一の大きさを誇ったという大観覧車。湾岸の空を走るゆりかもめからフジテレビの近未来的な社屋とカラフルな観覧車が見える景色は、まるで遊園地のようだった。
この観覧車がなくなるとお台場の景色が一変する。夜景を見ながら、せめてこの観覧車だけでも残せばいいのになあ、などと思ってしまう。
4. 東京テレポート駅前
観覧車を降りて、りんかい線の東京テレポート駅へと向かうと、新しい施設の建設準備のために駅前には荒涼とした更地が広がっていた。
前はこういう景色ではなかったような……と、気になってネットで過去の画像を調べてみた。やはり、かつては緑地になっていて、色とりどりの花が植えられていた。
今ではフジテレビの社屋と大観覧車のネオンだけが光ってサイバー廃墟のような雰囲気だ。まるで『AKIRA』の世界のような……。
ヴィーナスフォートの閉館後はさらに寂しくなりそうだ。
──平成の夢の跡
もとは東京万博の用地だったというパレットタウンを歩いていると、そんな言葉がふと浮かんだ。
オリンピックと万博、昭和の日本の復興を支えた2大イベントの夢を再び乗せて開発された、臨海副都心エリア。まさに未来を感じさせる、夢のような風景が広がっていた。しかし、奇しくも東京万博は中止、2020東京オリンピックは延期と無観客開催となった。
パレットタウンの跡地は2025年に大型アリーナと商業施設ができる予定だという。はたして令和のお台場は、どんな夢をのせて発展するのだろうか。
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.
▼TV番組『有吉の壁』の企画の落書きもあったので訪れる方はチェックしてみては。
▼ちなみに、ヴィーナスフォートのさよならメッセージはハロプロ大集合だった