羊羹(ようかん)でおなじみの『とらや』に、フランス・パリ店があることをご存知だろうか。その歴史は意外に古く、出店は1980年。最近でこそ「海外で和菓子が人気」なんて話も聞くようになったけど、42年前にヨーロッパ進出とは……思い切ったよなぁ。
高級ブティックが軒を連ねるパリ1区で、静かに揺れる “とらや” ののれん。この日、私がここへ来た理由は他でもない。とらやパリ店の限定メニュー『アボカニ丼』を食べてみるためだ。
ところが店内のメニューをいくら探しても……ない。『アボカニ丼』なんてどこにもないぞ!?
・事前確認を忘るべからず
焦ってお店の方に「アボカニ丼は!?」と詰め寄ったところ、「来週ならアリマス」との答え。とらやパリ店のカフェメニューは週によって変更される場合があるため、事前に電話などで確認してから計画を練ったほうがよい。
ってことで翌週、再びパリ1区へやってきた。
とらやパリ店は入ってすぐに小さい和菓子コーナーがあり、残る大部分はカフェスペースになっている。
ランチタイムには空席待ちが出る大繁盛ぶりだ。時間がない人は予約を入れておくべし。
・高いけど安い!
それではお待ちかね! ようやくお目にかかれた『アボカニ丼』が……こちら!
うっかりピンボケするほど強い輝き!!!
アボカニ丼の正体は “アボカドとカニが乗った丼” ……ま、そんな予感はしたよね!
トロけそうに濃厚なアボカドとあっさりしたカニ身。さらに酸味の効いたタレが互いをうまく引き立て合っており、和菓子屋のメニューとは思えぬほど完成度が高い。日本と同クオリティのふっくらライスにガリとイクラ。フランスの人って割とイケるクチなんだなァ。
添えられたおひたしはマッシュルーム入り。キノコの濃厚な味わいが斬新だ。
ダシのきいた茶碗蒸しには、飾り切りニンジンのひと手間も。
そこにお味噌汁と番茶も付いて、価格は20ユーロ(約2570円)。ここがパリ1区であることや日本食材の希少性、お店の高級感といった要素も加味すると……かなりお得感があるセットといえるのではないか。日本へ帰ったらマネしてみたい!
・限定和菓子で優雅にキメて
さて『とらや』にはもちろん、パリ限定和菓子も多数揃えられている。
私が食後に注文したのは『羊羹AUショコラ』(3個5.5ユーロ / 約707円)と『とらや風ココア』(抹茶なし6.5ユーロ / 約835円)のセット。和洋折衷の美しいレイアウト……私がフランス人ならきっと「オー! セシボーン!」と叫ぶだろう。
『羊羹AUショコラ』のお味は……ぐっ! 甘い!!!! 先に強烈なアンコの舌触り、しかし後味にはチョコの風味が残る。まさに『チョコ羊羹』とでも呼ぶべき斬新な一品……ココアが甘さ控えめな点はさすがだ。もろもろひっくるめて、大変おいしゅうございました。
ちなみにアボカニ丼は『アボカニ弁当』(20ユーロ)としてテイクアウトすることも可能。日本人店員がいる場合もあるので、パリを訪れた際は臆せず入店してみてほしい!
参考リンク:とらや・パリ
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼喫茶のメニュー