『ストロベリーコーンズ』という宅配ピザ屋をご存知だろうか。全国15の県へ進出するレッキとしたチェーン店なのだが、その進出エリアがあまりにシブいことで有名だ。要するに “田舎にしかないピザチェーン” なのである。
私が生まれ育った鳥取県中部に、初めて登場した宅配ピザ屋はストロベリーコーンズだった。あれから月日は流れ……現在、鳥取県中部で唯一営業している宅配ピザ屋もまたストロベリーコーンズ。ドミノやピザーラが進出したという知らせは、まだない。
しかしこの事実は、裏を返せば “都会の人はストロベリーコーンズのおいしさを知らない” ということ。選ばれし民のみ食すことを許されたストロベリーコーンズ……本日はその魅力についてお話させていただこう。
・学生時代からず〜っとコレ
現在のところ中国地方では鳥取と島根でのみ展開しているストロベリーコーンズ。と言っても、店舗数は両県合わせて3軒だ。自分の住む地域が配達エリア内かどうかは、地方民にとって一種のステイタスとなっている。
年明けに地元へ帰省し、私は久々にストロベリーコーンズを注文した。日本海側は連日雪が降り続いており、バイクで配達させるのが申し訳ない気持ち……。
……と、思ったら自動車で配達に来るパターンもあったのか。なおテイクアウトの場合は20%オフ。大手チェーンと比較すると割高に思えるが、個人的には元々のサイズが大きめな気がしている。今回私が注文したのは、昔から変わらぬ不動の看板メニュー。
『テリマヨ炭火焼きチキン』ピザ(Mサイズ2180円)だ!
しつこいほど濃厚なテリヤキソースにタップリマヨが合わさり、アメリカ人もビックリするレベルのジャンクな風味に仕上がっている。こんなものを食べていることが親に知れたら「いけません!」と怒られそうな気になるが……
意外なことにおじいちゃん、おばあちゃんも「おいしい」と大喜び。実は田舎の人は都会ほどジャンクフードを食べる機会が少ないため、たまに食べるなら思いっきりジャンクなほうが新鮮で嬉しいのである。ストロベリーコーンズのパン生地は端の端までチーズの味がするぞ〜。
・不動のサイドメニュー
コロコロと味やメニューが変わる大手チェーンと違い、昔から変わらないのがストロベリーコーンズの強み。数あるサイドメニューの中で、一番人気は『スティックポテト』(10本入り360円)だ。
何てことないハッシュドポテトだけど……おいしいんだよね〜。
私の一番のお気に入り『バジルチキン』(8本入り650円)も至って普通。
“肉厚” や “ジューシー” なチキンが多い時代にあって、このカラッカラな感じは逆に新鮮だ。骨つきだが乾燥し切っているため、口に入れればスッと身が離れる。昔から変わらぬこの味……好きなんだよねぇ。
・地方民の悲しみ
地方民にとって “年に数度のお楽しみ” 的ポジションにあるストロベリーコーンズのピザ。このおいしさを都会の人たちに分かりやすく伝えたい!
が……残念なことに、地方民にはそれができない。なぜなら……
ストロベリーコーンズ以外の宅配ピザを食べたことがないから!
私の実家からストロベリーコーンズの次に近い有名ピザ店『ピザハット』までは、車で約1時間半の道のり。地方民はストロベリーコーンズの味に絶対的な自信を持ちながら、「他の宅配ピザと食べ比べができない」という悲しい運命を背負っているのである。
ならば仕方ない。
ストロベリーコーンズの味を覚えて東京へ帰るしかあるまい!
味を忘れぬよう、慎重に電車を乗り継ぎ……
そのまま東京の某・有名ピザチェーン店へ。『炭火焼きチキテリ』Mサイズ2630円(テイクアウトは半額)を購入した。
・結果は歴然
ストロベリーコーンズ(の記憶)と比べてみると……
……うん、なるほど!
某・ピザチェーンのテリヤキも確かにウマい。しかしながら地方民目線でジャッジさせていただくと、テリヤキ度がやや足りない気がする。トマトソースの存在感が強く、これでは「テリヤキに全振りしている」とは言えないのではないか。
あとマヨ感が中途半端。ホウレン草でヘルシーな色合いを演出しているのも気に入らない。その点、ストロベリーコーンズのテリヤキを見よ……清々しいまでに茶色一色だ。そもそもテリヤキをピザに乗せるという行為そのものが異端。どうせジャンクなら、とことんジャンクに振ってはどうなのか。
以上のことから、私はストロベリーコーンズのピザが大手チェーンと互角に渡り合えることを確信した次第だ。ストロベリーコーンズは東北・北陸・九州に比較的店舗が多いほか、関東では栃木県・那須塩原市で1店舗のみ営業中。地方へ行く機会があれば絶対に体験してみてほしい!
参考リンク:ストロベリーコーンズ
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.