
突然だが「納豆菌」って、もともとは自然界のどこにいるかご存じだろうか。恥ずかしながら筆者は、改めて考えたこともなかった。
現代では粉末で菌が市販されているし、旅館などで稲わらに包んだ納豆を食べたことはあるが、昔ばなし風の演出的なものだと思っていた。
納豆菌とは、実はその辺の枯れ草に住んでいる菌……!! という驚きとともに、昔ながらの藁苞(わらづと)納豆づくりにチャレンジしてみた。
・「手作り藁づと納豆キット」(税込1296円)
使用したのは岩手県の自然農法の農家「風土農園」さんのキット。藁苞(わらづと)2本と、大豆30g×2パックのセットだ。
開封すると、稲わらの香ばしい匂いが広がる。例えるならば適度に時間が経って、かつ清潔な畳が発するイグサの匂い! 思わずスーハーしてしまう中毒性がある。
地方暮らしだと「知り合いの知り合いが農家」というパターンは非常に多いが、本物の稲わらに触れる機会はそうそうない。キットの稲わらは無農薬の自然栽培で育て、天日干しで乾燥させたものだという。いい匂いだ。
イラスト入りの丁寧な手順書が同梱されているので、それに従って作業する。
大豆は前日から水につけておく。水でふやけた豆を「指でつぶせるくらい」にゆでる。圧力鍋がある人は、蒸すのがオススメだという。
普段から和食を作る方には常識かもしれないが、豆を軟らかく煮るのって、ものすごく時間がかかる! 煮豆だと1~2時間煮るのかな? 納豆だからそこまでは要らんだろう……と思いながらも少々不安である。
同時進行で、稲わらを煮沸する。鍋に入りきらないので、途中で上下逆にして片方ずつ煮る。
納豆菌まで死ぬのでは!? と思いきや、納豆菌は熱に非常に強い菌なのだそう。100度くらいなら、まったく平気らしい。
稲わらをしばり、大豆を詰める。筆者の勘違いに従えば、ここで「納豆菌の粉末」をぱらぱらとかけ、稲わらは単なる保温容器ということになる。しかし、粉末など不要。「稲わらで包むだけ」で発酵するのである。
納豆菌が活動できるよう新聞紙で保温する。手順書では湯たんぽを使う方法や、ホッカイロを使う方法が紹介されている。ともかく24時間後まで、ホカホカの状態を保たなければならない。
筆者はホッカイロ&保温バッグを使った。生きている菌だと思うからか「菌は元気かな?」「寒くないかな?」と心配しながら様子を見に行く自分がいる。親心である。
ところが、ホッカイロが古かったのか、あるいはミニサイズなのが悪かったのか数時間もすると冷めてしまう。途中からペットボトル湯たんぽに切り替えたのだが、それでも温度が安定しないのが気になった。
これでは温まってよく身体が動く時間と、寒くて凍えそうな時間が交互に訪れて、菌の健康を害するのではないか?
24時間が経過したが、どうにも変化が感じられない。手順書によると、糸を引いていない場合はさらに12時間追加で発酵させるという。大丈夫か、生きているか納豆菌!?
・もう1度やってみる
ちょっと不安なので、もう1セットで作り直してみる。1回目とまったく同じ工程を繰り返し、今度は40度以上が12時間持続するという超ビッグサイズのホッカイロを用意した。このハイパワーなら冷めることはあるまい!
24時間経過。ホッカイロは温かい状態を保っていたが、念のためもうちょっとだけ発酵させる。
さらに12時間経過。稲わら全体がしっとりと湿っており、ヌルヌルとした光沢が確認できる。
おそるおそる開けてみると……
うっすらと白い衣をまとった大豆がお目見え!! 市販の納豆のような、はっきりとした糸はないけれど、たしかに粘り気がある! ような気がする。
ここから冷蔵庫で2日間熟成させたら完成である! 広げた稲わらの方は「水で濡れているのか」と思うほどヌルヌル、テカテカしている。
2日後。炊きたてのご飯に、出来上がった納豆をのせる。醤油をちょっぴり垂らして……
うむ……豆ご飯である!
粘り気が少ないため大豆はまとまらず、ほうぼうに散らばる。さらに煮込み工程が足りなかったのか、ポリポリと歯ごたえのある固さである。そして納豆というよりは、「豆そのもの」の味がする。
表面はヌルヌルとしているし、ごくわずかに糸を引いているので発酵はしていると思う。ただ、非常に控えめな活動だといえるだろう。
しかし、その素朴な豆の味は、醤油とばっちりマッチし、なんとも風味がある。かなり美味しい豆ご飯だといっていい。
おそらく大豆は発酵によって「ただの大豆 → 美味しい大豆 → 納豆」にジョブチェンジしていくのだ。昔ながらの納豆って、こんな感じだったのだろうか。
ちなみに初回の方は、「もう12時間追加しようかな」と繰り返しているうちに黒ずみ、「食べられるかどうかわからないギリ」まで来てしまった気がしたので失敗とみなした。無念である。
・成功の秘訣は
おそらく成功の秘訣は、豆をしっっっかり煮込むこと、そして温度をキープし続けることだ。あとは自然の中に生息している納豆菌が働いてくれる。最初に発見した人、すごいな。
一方で培養した納豆菌を使う製法は「近代納豆」と呼ぶそう。自家製納豆には、納豆菌を購入する方法のほか、市販の納豆を湯につけて上澄みを使う方法もあるらしい。
今回の自然由来の方法も、何度かやったらもっと上手くできそう。2個セットの販売もあるので、興味のある方はぜひチャレンジしていただきたい。ステイホームで納豆菌のお世話、なかなかに楽しい。
参考リンク:Komerco(商品ページ)、タカノフーズ株式会社
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
冨樫さや





















世界初「パーソナルオーダー」できる納豆屋で買った商品を食ったらイメージ変わった! 無臭なのにめっちゃ美味い!!
見た目も味もまるで違う!「自家製納豆」を作って市販品と比較してみた
【ガチ検証】納豆をファブリーズしたら「納豆嫌い」でも食べられるようになるのか試してみた
ナチュラルローソン限定商品「美納豆のデリ」が革命的! 納豆なのにニオイも糸引きもなくて、食べたら複雑な気持ちになった…
【納豆の日】約10か月間ほぼ毎日、58種類もの納豆を食べ続けた男が選ぶ「納豆ベスト7」
【地獄の空気】あんなオペレーションが悪い「有名飲食チェーン店」は初めてだった
【値上げ検証2025】スーパーとコンビニで「全く同じもの」を買ったら価格差はいくらになるのか → 絶望が待ち受けていた
長野県民御用達の人気ローカルスーパー「TSURUYA(ツルヤ)」のプライベートブランドが強すぎる! 長野土産はスーパーで買うべきなのかもしれない
【検証】鍋セットを炊飯器に丸ごと投入したらどうなる? 時短ズボラ飯か、それとも地獄絵図か…
鳥貴族の食べ飲み放題「トリキ晩餐会(税込3900円)」が思ってたより最高だった / 忘年会に最適だと思った2つの理由
【本日発売】「ローソンの福袋」(2160円)があまりにパンパンに詰まってて、持って帰るのちょっと恥ずい
中国の「渡航自粛勧告」から2週間、現在の「奈良公園」で目の当たりにした意外な光景
【中国渡航自粛】ガチ中華だらけの上野・アメ横に行ってみたら → 取材拒否の連続に…
【抽選結果速報】ケンタ福袋2026の抽選に編集部20人で応募してみた → さすがに泣いた
中国「渡航自粛要請」真っただ中の大阪・難波に行ったら、今後の街が心配になった
中国「渡航自粛要請」から2週間が経った京都市内「祇園」「清水寺」「錦市場」の様子を見に行ってみた
中国「渡航自粛勧告」から1週間経った、東京・浅草を見に行ってみた
【納得】ガストの「ジョブチューンで唯一不合格だった」メニューを食べてみた → 不合格にする気持ちがわかった
【検証】10年間ほぼ毎日飲んでる「コーヒー」を1週間断ってみたらこうだった
【は?】楽天で見つけた「在庫処分セール半額おせち」を買ってみた結果 → 届いた数日後にブチギレかけた
【雑草対策】カインズで598円「撒くだけで防草できる人工砂」の効果がヤバ過ぎた / お財布にも環境にも優しい超画期的アイテム
【検証】「スタバはどのサイズを頼んでも量は一緒」という動画が出回る → 実際に試してみた
【事故】楽天で買った『訳ありB級フルーツ福袋』を開封した翌日、妻から信じられないLINEが来た「メロンが…」
【ガチ】市販の「納豆」54種類をすべて混ぜたらヤバイことになった
【そっちかよ】『納豆のフェイスパック』を使ってみたら「納豆そのもの」になりかけた
カレー味の納豆が爆誕! 納豆嫌いの人には無理なくらいのコクとキレ「スパイシーカレー納豆」
【食べ放題】7月10~12日に銀座で納豆が食べ放題! 高級納豆が食べ放題!! フランスで注目の粘らない納豆も登場らしい / 茨城マルシェ「納豆バー」
納豆を10時間かき混ぜたら…見た目が激変して本気で笑った / キッチンドローンで検証
【戦慄】見た目がエグいと自分から言ってる「まぼろしの納豆」を食べてみた結果…
【納豆の日】このパッケージを見て「健康系?」と思った人は今すぐ考えを改めた方が良い / タカノフーズ(おかめ納豆)『すごい納豆S-903』
【豆知識】茨城県庁では「納豆パフェ」が食べられる / 食べてみた → キワモノやない! これは “香ばしいトルコアイス” や!!
【検証】納豆界のニュータイプ! おフランスで注目を浴びた “粘らない納豆” が糸を引かないというのは本当か? 実際に混ぜて比べてみた!
成城石井に売ってる『成城石井の納豆』を食べて感じた “神の存在” と3つの衝撃
新潟のローカルスーパーで売ってた大容量の納豆を食べてみたら…意外な事実が発覚した
天下一品の納豆ラーメンがウマかったので、いろんなラーメンに納豆を入れてみた結果…