「八角」と聞くと、まずは中華食材でお馴染みのスパイスを思い浮かべるだろう。──しかし、知らなかった。同じ名前で魚がいるなんて。しかも、こんなにカッコいいなんて!

パッと見はまるでワニのように鋭くとがった口先、体中に生えている鋭いトゲ、ギョロリと大きい目玉。これが魚って言うのはムリがあるんじゃないか? と思ってしまうほどの変わった見た目な謎の魚、八角。

ところが北海道では一般的に食べられる魚らしい。そんな馬鹿な! と思ったので丸ごと購入して捌いて食べてみることにした。ぶっちゃけ、旨すぎてビックリしたぞ……!

・出会いは衝撃的

筆者が八角に出会ったのは行きつけの魚屋であった。

いつも活きの良い、たまに珍しい魚を取り揃えているお気に入りの店なのだが「大将、これは本当に魚か?」と聞きたくなるようなヤバい見た目のモノが入荷されていたのだ。

これは……ワニか? それともドラゴンか??


思わず顔を近づけて観察していると、隣のマダムも同様の反応をしている。

「なにかしらね、コレ?」なんて会話をしながらも、筆者の心の中の小学生男子が「カッケ――――!!!!」と興奮して騒ぎ始めた。そう、八角は圧倒的にカッコいい。すっかり心を掴まれてしまい、丸ごと購入して帰ったのであった。

・ビジュアルが最高じゃん

持って帰ったもののどうすればいいんだ? とりあえず観察をしてみると、

この角度最高だな。完全にシュッとしたワニ。

蝶みたいなヒレ

胸ビレもヤバい!

口だけは間抜けなのがチャーミングで良い。

どこから見ても筆者の好みドストライクなビジュアルだ。魚を見てるだけでこんなに楽しいことってあるんだろうか?

・どう掴んでも刺さる

いざ捌こうと思った時、立ちはだかるのが体中に生えている鋭いトゲだ。唯一の救いは ぬめり がないことかもしれない。この体表で ぬめり があったら……考えるだけでも恐ろしい!

ということで捌いていこう。

①まずは頭を落とし、

②内臓も一緒に引きはがす。

③血合いを洗い流したら水気を拭き取る。

身体の形が八角形に見えるから「八角」と名前がついたらしいぞ。

④背びれを切り取るのだが……


痛ぁ~い!

ちょうど力がかかる方向にトゲが向かってきているのだ。筆者は魚初心者のため、魚を強く掴んでしまう傾向にある。ここで緩めに押さえて捌けるのがプロの技ってやつなのかもしれない。

⑤腹びれも同様に切り取る。


だから痛いってば!!!!

気を付けているつもりなのだが、トゲが多くてどう掴んでも痛いのだ。今後ゆびきりげんまんする時は、嘘ついたら針千本じゃなくて八角1匹を飲ませてもいいんじゃないかな。

⑥皮を剥ぐ

アカン!

マジで痛すぎるって!!


グギギギギギギ……

よっしゃ―――――!!

なんとか負傷ナシで乗り切った。なめせばカバンが作れるんじゃないかってぐらい硬くて分厚い立派な皮だ。まさか見た目だけでなく皮膚までワニ級だなんてな!


⑦あとは簡単。一般的な魚と同様に3枚におろせば完成だ!

表面に脂が光っている。捌く前のシュッとした見た目に似合わずコッテリとした身のようだな。

・見かけたら絶対買え!な旨さ

今回は魚屋さんの勧めに従いお刺身でいただくことにした。身は薄ピンク色で肉質はカワハギにも似た柔らかさなんだけど、脂の乗り具合が段違いだ。

醤油につけたところツッと油が広がった。すごいな、これじゃまるでトロみたいじゃないか……って、めっちゃ旨ええぇぇ~!!!!!!

甘みのある脂がジワっと染み出してきて、噛めば噛むほど美味しい。魚らしい臭みはほとんどなく、全部位においてヒラメのエンガワのような旨さでまったく飽きがこない。素晴らしいとしか言いようのない味であった。

本州ではほとんど出回らないという八角、もしも見かけたら絶対に買いだ。

見た目だけで八角を避けている人がいるならば、それは大きな損失であると断言したい。いや、むしろ八角は美味し過ぎて食べられないようにあのトゲトゲしい見た目を手に入れたに違いないとすら思えてきたぜ。

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.