川の水を直に飲んでみたい! 筆者のひそかな野望である。
登山などのアウトドアを趣味とする方はご存じかもしれないが、どんなにキレイに透き通って見える川でも動物の排泄物や寄生虫などが必ず混ざっている。浄化や過熱をせずに飲むなんてもってのほかなのだ。
最近手に入れた超コンパクトな浄水器『SAWYER Mini』はそんな川の水を浄化できるアイテム。これさえあればどこでも水が飲めるはずだ!
・コンパクト浄水器『SAWYER Mini』
購入したのはSAWYER Mini(Amazonで3000~4000円前後)。
国連でも効果が認められた有害な病原菌を99.99999%除去できるアメリカ製の浄水器ということだ。99.99999って、ちょっと細かすぎやしないか?
開封すると、中にはSAWYER Mini本体、ストロー、洗浄用注射器(針なし)、0.5Lパウチの4点が入っている。信じがたいがこれだけでバクテリアや細菌、微生物を除去することができるのだそうだ。
ただし気を付けなければいけないのは、SAWYER Miniも無敵ではないということ。水に溶け込んでいるカルシウム、マグネシウム、重金属や放射性物質やウイルスは除去することができない。
SAWYER Miniの使い方は簡単。汚水を通すだけだ。
汚水をパウチの中に入れて押し出しても良し。
ストローを接続して直接水源から吸い上げても良し。強い力はまったく必要ない。
ストローの強度が気になるが、指で押しつぶしてみたところある程度は丈夫そうなストローだったぞ。
嬉しいのは、汚水側に切ってあるネジはペットボトルと同規格。つまり、必ずしも専用のパウチを購入しなくてもOKということなのだ。
・ついに川の水を飲む
ということで、いつものように山へやって来た。ここから先は筆者の個人的な興味によるテストのため、良い子はマネしないで欲しい。
まず目を付けたのは田んぼへ水を引くための用水路だ。上流に人が住んでいないため、ほぼ湧水ぐらい質の良い水が流れているはずだ。
いただきます!
……。
美味しい!!!!
「〇〇の天然水」といった商品名のミネラルウォーターがあるが、それらと互角に戦えるのではないだろうか。角がなくまろやかで雑味も無い。カルキ臭さがなくのどごしも冷たくなめらかで、このままゴクゴクと飲みたくなる味と言っても過言ではない。
予想以上にうまくいっちゃったな。しめしめ、このままどんどん飲んでみよう。
続いては小川へやってきた。いただきますっと……。
うむ。
うまいな。
路肩で見かけた湧水も……
キンキンに冷えてやがる!
・姿勢だけがツライ
驚くべきことに山の中ではどこで飲んでも非常に美味しい水を手軽に手に入れることができたのだ。最高だな。
ただしひとつだけ問題があると言えば、飲む際の姿勢である。
しゃがんだり四つん這いになる必要があるし
当然のことながら手も服もドロドロに汚れた。
結局はパウチやペットボトルを使って浄水をするというのが現実的な方法なのかもしれない。
・牛乳が驚きの透明度に
警戒なく川の水を飲んでみたが、今さらながら気になるのがSAWYER Miniの浄水機能である。
試しに麦茶を浄水してみると……
透明!?
……残念。一瞬期待したが、透明とはならず。
しかし、比べてみると麦のカスがなくなり、色も若干薄くなっているように見えた。よって変化は確認できたものの、麦茶のように水自体に色の成分が溶け込んでいる場合は浄水機能は及ばないということがわかった。
肝心の味の方は、麦の香りがほのかにする水……といった味。不味くはないが、美味しくもない。
思い出したのは学生時代に部員全員で共有して飲んでいた部活中のお茶である。部費が少なく20Lのタンクにお茶パック2つしか入れていなかったため、お世辞にもお茶とは言えない「麦臭のする水」を飲んだ記憶がよみがえってしまった。
最後に試したのは牛乳だ。
真っ白な牛乳はどこまで浄水できるのであろうか?
……!!
今度こそ透明だ!!!!!!
若干黄みがかっているものの、ほぼ透明な水が出てきたのである! ただしあっという間にフィルターが詰まってしまった。
残念ながら肝心のお味は「不味い」の一言。というのも、味がほぼ水であるにもかかわらず後味に牛乳の臭みが残るのだ。
序盤でもご説明した通りカルシウムは除去できないということなので、そのあたりに臭みが残ってしまった原因があるのかもしれない。国連お墨付きの高性能浄水器であっても、すべての液体を美味しくすることはできないということなんだな。
なおフィルターが詰まった場合も安心。きれいな水を注射器で逆流させることで簡単に清掃が完了するぞ。
用水路の水を飲んだ時はひと回りワイルドになった自分を発見してしまったような気がする。
もちろん良い子には真似をしないで欲しいが、SAWYER Miniは飲料水が手に入らない時にかなり役立つと身をもって感じることができた。アウトドアが好きな方にもそうでない方にもオススメしたい、有能アイテムであったぞ!
参考リンク:sawyer-products
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.