お茶───。 日本人の暮らしには欠かせないものだ。筆者の家でも毎日麦茶、ウーロン茶、煎茶など様々なお茶を淹れて日常の中で楽しんでいる。

そんな中、とある雑草からお茶が作れるという情報を手に入れた。

その雑草とは、『スギナ』。聞いたことがない方もきっと見たことはあるはず。なぜならこのスギナ、『ツクシ』の葉っぱ部分にあたる植物なのである。

・スギナとツクシの関係

宮城県には「ツクシ誰の子 スギナの子」という歌詞の童謡が伝わっているらしい。

その通り、ツクシとスギナは親子関係にあたる。もっとも、どちらが親でどちらが子かと聞かれると「鶏が先か、卵が先か」のような話になってしまうのだが。

ツクシとスギナは地下茎でつながっている。春先になるとまずは『胞子茎』の役割を持つツクシが生える。ツクシは頭部分にある『胞子のう』に詰まっている胞子を撒くことで子孫を残す。

ツクシはすぐに枯れ、そのあとに『栄養茎』の役割を持つスギナが芽を出す。スギナの役割は光合成を行って養分を得ること。

繁殖と光合成、ふたつを役割分担することでツクシとスギナは効率的に子孫を増やす。その繁殖力から、農家からは厄介な雑草として認識されているのだそうだ。

・スギナ茶を作ってみる

まずはスギナを採取しに行こう。

スギナはシダ植物のなかまで湿気の多い場所を好む。庭の隅っこや土手などいろんな場所に生えているので、見つからなくて困ることはないだろう。

採取する上で気を付けたいのは、動物の排泄物や除草剤がかかっていないかどうかだ。付近に糞が落ちていないか確認したり、土地の所有者の方に除草剤の散布をしていないことを確認して採取した方が無難である。

こんな感じで他の草に混ざって生えている。


たっぷりゲットできた。


持ち帰ったらまずはしっかり水洗いをしよう。スギナは住み心地が良いのか、虫やその卵がついていることがよくある。


お次は乾燥だ。排水溝ネットに入れ、ベランダで干してみた。


翌日にはカラカラに乾いていた。


ハサミで短くカットする。


フライパンで炒れば完成だ!


・スギナ茶を飲んでみた


いよいよお茶らしい見た目になった。というか、見た感じは完全に茶葉以外の何物でもない。

そして意外にも香りもお茶っぽいのだ。お茶屋さんに行くと木箱の中に茶葉が入っているのを置いてあることがあるが、それと同じ方向性の香りがする。


お茶パックに入れてお湯を注ぐ。


なにやら緑色のエキスが抽出されているのが見える。作ってみるまでは半信半疑だったけど、行ける気がしてきたぞ。


5分後、玄米茶のような透き通った緑色の飲み物が出来上がった。香りは……そうだな。子供の頃に飼っていたウサギが食べていた干し草みたいな感じかもしれない。


それでは覚悟を決めて、いただきます!

……。


「あ、コレはお茶だ!」


だけど、なんだろう? 玄米茶でもなく緑茶でもなくジャスミンティーでもない。スッキリとした印象の酸味がありながらもホッと落ち着くような甘さもあり、なんていうか、ハーブティーみたいで結構「アリ」なんじゃないだろうか。

少なくとも雑草からできたとは思い難いぐらいには美味しい立派なお茶なのである。筆者は今後も作り続けても良いと思えるぐらいに気に入ったぞ。

ということで雑草であり、ツクシの親でもあるスギナは意外にも美味しいお茶となることがわかった。スギナが繁殖しすぎて困っている方がいたら、お茶として活用してみるのもひとつの手かもしれないな。

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.