コミケかよ! 2021年8月27日の午前7時半、筆者は思わずそう叫んでいた。何の話かというと、本日から都内で実施される若者向けのワクチン接種についてだ。
実は筆者、ワクチンを1度も接種していない。ノーワクチン状態で、平日は毎日都内に出勤している。このご時世に、いまだ未接種とは何事か! アンチワクチン勢か!? いわゆる「ワクチン接種に消極的な若者」というヤツか!?
そんな感じでブチ切れられそうだが、まあ聞いてほしい。筆者の場合、住んでいる埼玉県某市では接種の予約すら始まっていないのだ。それで、都内のとある接種会に参加しようとしていたわけ。まあ、今回は始まる前に終了したのだが。
・まるでコミケ
筆者が行ってみようと思っていたのは、東京都若者ワクチン接種センターが設けた、渋谷で実施されるもの。めちゃくちゃ報道されているので、皆さん既にお気づきだろう。対象者は都内に在住又は在学・在勤する16歳から39歳までの人ということで、筆者もそれに該当する。
1日200人というかなり狭き門だが、どうせ今日も仕事で都内に行く。HPに記載されている受付開始時刻は午前11時50分。ちょっと寄ってみようと考えていたのである。
しかし、公式Twitterによると、午前7時半の時点で200人の枠は終わったらしい。なるほど。まあ、なんとなくそんな気はしていた。そこでふと思い立ち、Twitterで「渋谷 ワクチン 並んでる」で検索すると、以下のような投稿がヒットした。
「AM1:30の段階で並んでるよ」
「5時過ぎですでに50人並んでる」
徹夜勢が本当にいたのかどうか、未明時点での現場の写真が見つからなかったので断定はできない。だが、時間的に始発勢はいたのだろう。TBSニュースでは、夜中の画像こそないものの「会場には未明から並ぶ人もいました」と報じている。
そして受付開始の4時間以上も前に枠が埋まり切ったという事実。この感じに、最後の開催から久しいコミケを思い出したわけだ。ちょうど時期も被ってるし。しかし平日でこの調子だと、土日はもっとだろう。まあ、こればかりは仕方がない。
・接種に消極的な若者
ところで、割と以前からメディアでは「若者は接種に消極的」というような趣旨の報道が目立っていたと思う。数字だけ見たら、高齢者よりも若者の接種率の方が低いのは間違いないのだろう。
そして、きっと消極的な若者も一定数いるのだろうとは、アラフォーという実年齢はともかくワクチンの優先度的には「若者」な一人として思う。だが若者の低い接種率は、どう考えても各都道府県における若者の接種の順番も影響しているはずだ。
例えば未だ1回目すら打てていない筆者の場合、予約開始が9月7日からだ。すでに接種を終えた年配の方からは「まだ打ってないの?」と言われることもあるが、そりゃあ打ってないよと。だって予約する権利すらまだ貰えてないんだから。
なお、とうの昔に予約が開始されている50代でも、予約できただけでまだ接種の順番が来ないという知人がいる。この調子だと、30代埼玉県民の筆者が打てるのは、来年になるのではないかと内心では思っている。
埼玉県は接種率が全国でワースト3位なので、もしかしたら埼玉特有の問題が何かあるのかもしれないが。何にせよ、このように打ちたくても打てない状況があるので、接種率だけ見て「若者は接種に消極的」と言われたり、そのイメージのもとに色々と判断されるのはあまり気分の良いものではない。
メディアも安直に「若者アンチワクチン説」に飛びつかず、接種の機会がどの程度若者に与えられているのか。接種したくてもその機会がまだ与えられていないのではないか……という視点も持って報道をしてもらいたいものだ。
とまあ、このような記事を書いていたら、件の渋谷での接種会が28日以降は抽選制になるらしいという報道が出てきた。このフットワークの軽さはイイと思うし、とりあえず筆者も抽選に賭けてみるつもりだ。
ところでこれ、抽選への応募総数とか出してくれないかなぁ。都内に在住又は在学・在勤する若者で、接種に積極的な人がどれくらいいるのかが可視化されると思うので。
参考リンク:TBS、日テレ、NHK、Twitter @tocho_vaccine
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:NHK、Twitter @tocho_vaccine