
本日8月9日は「ムーミンの日」。2005年のムーミン出版60周年を機に、作者トーベ・ヤンソンの誕生日を記念日に定めて毎年お祝いしているのだそう。
ひとことでムーミンといっても、原作小説、弟ラルス・ヤンソンが手がけたコミック、昭和アニメ、平成アニメ、令和CGアニメ、商業キャラクターといろいろなバージョンがある。世代によって「知ってるムーミン」がまったく違うというのも “あるある” だ。
真実は原作の中にこそある。というわけで、知っていたら人に話したくなる原作トリビア5選!
1. ムーミンはカバじゃなく妖精
丸っこいフォルム、小さな耳、大きな鼻先、おまけに水泳が大得意、とカバの特徴をすべて備えているムーミンだが、カバじゃない。その名のとおり北欧伝承の妖精「トロール」だ。
とはいっても伝承にあるような毛むくじゃらで粗暴で怪力のトロールとはだいぶ違い、トーベ・ヤンソンが創造した生きもの。
作中でも「ちっちゃな動物」「小さい生き物」といった表現がよく出てくる。自然の中に住む、姿も形もさまざまな架空の種族を総称していたようだ。
ちなみにガールフレンド(アニメではノンノン、フローレンとネーミング)はスノーク族。原作のスノーク族はムーミン族と違い、気分によって身体の色が変わるという特徴をもっている。
スナフキンから、よく似た種族がいると指摘されたムーミンは「色が変わるようなやつなんかとは、親類じゃないよ」と怒っていたが、実際にスノークのおじょうさんに出会うとあっさり恋に落ちる。
2. スナフキンも人間じゃない
もうひとつ、作中でもっとも人間に近い見た目をしているスナフキンも、実は人間ではなく「ムムリク」という種族。原作での数え方は「一ぴきのムムリク」だ。
ムムリク族のヨクサルと、ミムラ族のミムラ夫人のあいだの子どもなので、スナフキンはハーフということになるだろう。
余談だが、とくに昭和アニメでは何事にも執着しないクールでシニカルな孤高の旅人……というイメージのスナフキン。原作ではもっとやんちゃで向こう見ず、反社会的な一面すらある。
公園の「○○禁止」の立て札に憤慨する有名エピソードでは、秩序を守る「公園番」を敵対視し、ニョロニョロをしかけて感電させるというアグレッションを見せる。ついでに立て札はすべて引っこ抜き、踏みつけるという破壊行為つきだ。
大人になって読むと「いや、公園番そこまで悪くないだろ!」と同情してしまう。なかなかにエキセントリックな青年である。
3. ニョロニョロは種から生える
群れをつくって身体をくねらせる不思議な生きもの、ニョロニョロ。紙とペンを渡されたら、たぶん誰でも描けるほど有名なキャラクターだが、その正しい生態をご存じだろうか。
ニョロニョロは種から生まれる。「夏祭りのイブ」という特定の日に土にまくと、きのこのように何百もニョキニョキと生えるのだ。そして生まれた瞬間から帯電している。
言葉を話さず、耳も聞こえず、生涯にわたって放浪の旅をする。ムーミンパパによると「どうしても思ったところへ行き着けなくて、いつもどこかを憧れてる」旅なのだとか。
原作では「世界中を荒らしに出かける」「まじめくさった、のっぺらぼうの顔をして」「あの化け物たち」などと結構な書かれっぷりである。可愛らしいマスコットキャラクターというよりは、思考や感情のない原始的な生きもののように描かれている。
4. ムーミンハウスはストーブの形
空に向かって長~く伸びた円柱で、凹凸のないスッとしたフォルム。ムーミンハウス(ムーミンやしき)の形には理由がある。
モデルはタイルストーブ。北欧の家庭にある、地下から屋根の上まで一直線につながった大型ストーブなのだそう。少ない薪(まき)で家全体を長く暖められる寒冷地の知恵。
かつてのムーミン族は、人間の家庭のストーブの後ろに隠れて生活していたのだとか。日本でいう座敷童やススワタリのような存在だったのかもしれない。ルーツを懐かしんで、ムーミンパパはタイルストーブに似た家を設計したというわけ。
5. スナフキンはミイの弟
作中にはいくつかの印象的な親子関係や、きょうだい関係が登場する。ミムラ夫人、ミムラ、ミイは見た目もそっくりなので、家族であることは周知の事実だろう。
先述の通り、スナフキンも実はミムラ夫人の子ども。つまりミムラ・ミイ・スナフキンは、同じ母親から生まれた姉弟ということになる。
しかもほかに少なくとも34人の きょうだい がいて、その正確な数は母であるミムラ夫人にもわからないという。いいのか、それで!
スナフキンはムーミンパパの回想を聞くまで自分の両親のことも、ミイと血縁であることも知らなかった。
小説のラストで両親との再会シーンが描かれるが「長いこと、ごぶさたしていた」という一文があり、まったく交流なく暮らしていたことがわかる。スニフと両親の関係も同様である。
ムーミンの世界では結婚、出産、育児、家族関係といった概念はかなりアバウトのようだ。家族が揃って暮らしているムーミン一家のようなケースは珍しいのかもしれない。
・原作もぜひ
以上5選。ほかにも、ムーミンパパは「ムーミンみなしごホーム」出身、スティンキーは原作小説には出てこないキャラクター、作者の身近な人物がモデルになっていることが多いなど、意外な事実がたくさんある。
作者トーベ・ヤンソンは、先に決めた世界観や設定に沿って物語をつむぐスタイルではなく、作品ごとに設定が異なっている(矛盾が存在する)こともしばしばあるといわれる。
そんな緩さもまた魅力。シリーズ前半の、ほのぼのとした子ども向けの内容から、後半になるにつれ思春期の葛藤や、人間の本質的な孤独や自立が描かれるように変化していくのも見どころ。児童文学ながら大人が読んでも深いので、未読の方はぜひ!
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
冨樫さや








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