気になる情報はスマホで一発な今日この頃。ギタリストである私(中澤)も、YouTubeで海外のギタリストや奏法解説動画をよく見ている。誠に便利な世の中になったものだ。
一方、私が10代だった20年前は、海外のギタリストの情報が手に入るのはほぼ雑誌のみ。そのため、雑誌を買い集め、必然的に雑誌に載るというのが1つの憧れになっていた。
そんな数々のギター誌の中でも私が特に憧れたのは『YOUNG GUITAR(ヤング・ギター)』。1度でいいからヤングギターに載ってみたい。そこでヤングギター編集部にイングヴェイしてみたぞ。
・イングヴェイとは
イングヴェイ・マルムスティーンは1980年代に速弾きギタリストの先駆けとなった人物だ。そのハイスピードかつエモーショナルな速弾きは、現在も多くのギタリストに影響を与え続けている。
・ヤングギターと私
そのイングヴェイの存在を私が知ったのは、友達から借りたヤングギターがキッカケだった。確か『Far Beyond The Sun』をコピーしたのもヤングギターに載ってるタブ譜を見てだったと思う。タブ譜の下に書いてある運指を穴が開くほど見つめた思い出。
要するに、ヤングギターと言えばイングヴェイ、イングヴェイと言えばヤングギター! ならば、イングヴェイをリスペクトしている私にもワンチャンあるんじゃないだろうか。というわけで、行くぜ!
・ヤングギター編集部に緊張するイングヴェイ
ヤングギターの編集部は、シンコーミュージックのビルの6階だった。新宿2丁目の雑居ビルの1室に慣れた我々ロケットニュース24からすると、自社ビルがある時点でヤバイ。
しかも、ヤングギターはテクニカルギタリストの教科書的存在の雑誌。緊張する。実は昨日眠れなかった。しかし、飛び込まなければならない。私のような蟻がヤングギターへの道を開くにはそれしかないのである。かかってこいや!
上田編集長「ん? 誰か来たの……?」
上田編集長「イングヴェイの人やんッ!」
読まれていた。
まさかヤングギターの編集長に捕捉されているとは。マジでちょっと恥ずかしかったが、ひょっとしたらチャンスが広がったのかもしれない。そこで単刀直入に言ってみた。ヤングギターに載せてくれませんかァァァーーーー!?
上田編集長「え? どのページで?」
イングヴェイ「インタビューで」
上田編集長「実績とかあるんですか?」
イングヴェイ「アンドリューW.K.のバンドのオーディションに合格しました。千眼美子さんとは来々来世でバンドを組む約束をしてます。安達祐実さんには「ギター教えて」と言われましたし、小岩井ことりさんがやってるメタルバンド『DAW(Dual Alter World)』の加入についてもOKをもらいました」
上田編集長「何一つ実現してないやん」
うるせえ。
・イングヴェイ、ブチギレ
どうやら上田編集長は鼻でグリッサンドされたいらしい。よかろう、マイクスタンドでも擦り切れるほどこすってくれるわ。
失礼、ブチギレました。さて置き、やはりあちらも仕事。知っているからと言ってインタビューしてくれるわけではないようである。もう実力で認められるより他ない。
・イングヴェイしてみた
もちろん、部屋では他の編集部員が普通に仕事をしている。上田編集長だけでなく、テクニカルギター耳の肥えたヤングギター編集部員が小耳にはさんで鼻で笑おうものなら死んでしまいそうだ。気づけば震える手。ピックを握る指から力が抜ける。とは言え、逃げ帰るわけにはいかない。
なぜなら、私はギタリストだからだ! 扉を開くのはいつだって自分!! 私の魂よ燃え上がれ! 太陽を遥かに超えてェェェエエエ!!
・衝撃の展開
ギターを弾き終わった時、何かを成し遂げた気がした。おい、大学生の頃の私よ、お前は20年後その手に持ってる雑誌の編集部でギターを弾いてるぞ。そう言ってもおそらく20年前の私は信じないだろう。20年前は想像だにしなかったこと。
だがしかし、この直後に起こった出来事は1秒前ですら想像できなかった。扉の奥からまさかのあの人が登場したのである。え!? ひょっとしてイング──続きは次ページで!
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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