在宅時間が長くなり、ボタン1つで熱々のコーヒーが淹れられるカプセル式コーヒーメーカーが手放せない。
UCC上島珈琲の「ドリップポッド DP2」に大変満足していることを過去記事に書いたが、対抗機種ともいえるネスレの「ドルチェグスト ジェニオ エス」を使う機会を得た。
せっかくなので入門向け「マシン無料プラン」を比較してみたい。いずれも決まった期間、カプセルの定期購入をするプランだが、どちらがオススメだろうか?
・操作性はほぼ同じだが…
まずは「ドルチェグスト ジェニオ エス」について、使い方を簡単にレポートする。「ドリップポッド DP2」の使用感については過去記事をご参照いただきたい。
タンクに水を入れ……
専用カプセルをセットして……
タッチパネルで抽出量を決めてスイッチオン。タンク容量やサイズ感もドリップポッドとほぼ同じ。オートストップ機能を備え、設定量に達すると自動でお湯が止まるのも同様だ。
抽出が終わったら使用済みカプセルを捨て、ホルダーをさっとすすぐだけで後始末は完了。このあたりは両機種とも、ほとんど変わらない。
大きな違いはここ。ドルチェグストは最大15気圧の圧力をかけて抽出。ドリップポッドが静かにお湯を注ぐハンドドリップに近く、ほぼ無音なのに対し、こちらはガガガガガ……と結構大きな音が出る。
「最新IoTモデル」とうたっているだけあって設定できる項目は多い。スマホアプリと連動させて抽出量や温度を記憶できるほか、抽出アラーム(タイマー機能)がついている。
3分以上の時間をかけてじっくり抽出する「ハンドドリップモード」も搭載。全体的にハイテクで高機能な印象だが、タッチパネルでの操作は誤タッチしやすい面もあった。
【使用感まとめ】操作性や後片付けの手間はほぼ同じだが、ドリップポッドの静かさに対し、ドルチェグストは大きな音が出る
・メニューのバラエティはドルチェグストに軍配
ドルチェグストの最大の特徴は、カプチーノのようなラテメニューを作れること。「ラテマキアート」や「フラットホワイト」といったコーヒー系のほか、「チョコチーノ」というミルクココアもある。
コーヒーとミルク、1杯に2つのカプセルを使うこととなり、価格はブラックコーヒーの2倍ほどに跳ね上がる。
けれども、ボタン1つで瞬時にフォームミルクが生まれるのは感動。ほんのり甘いラテメニューには、幸福感がふつふつと湧いてくる。
ブラックコーヒーに「クレマ」が生まれるのも圧力式ならでは。スターバックスとのコラボ商品があるのも嬉しい。どれを注文したらいいか迷うほどの豊富なラインナップだ。
一方、カプセル1つで完結するドリップポッドには、ラテメニューはない。
ただし、産地別のコーヒーが取り揃えられているところや、パーツを交換して手持ちのレギュラーコーヒーを使えるところなど、ブラックコーヒーにはかなりこだわっている印象。カプセルを開封したときの豊かな香りもクセになる。豆には自信あり、というところだろう。
【メニューまとめ】ブラックコーヒー派ならドリップポッド、ラテメニューを楽しみたいならドルチェグスト
・価格のわかりやすさはドリップポッドが圧勝
過去記事でも書いたが、ドルチェグストの料金体系はちょっと複雑である。最低注文数が6箱であることは同じだが、種類ごとに価格・内容量が異なり、組み合わせ次第で料金が無限に変わる。
たとえば「リッチブレンド」という商品の場合、16カプセル入りで税込980円(1杯61円)だが、マグナムパックという大容量にすると30カプセル入り税込1680円(1杯56円)と少し安くなる。かつ定期購入だと5%~15%の3パターンの割引がある。
6箱の注文だと1杯53円ほどだが、12箱以上の注文で1杯48円ほどまで下がる。同じ豆の1杯でも、40円台から60円台まで複数の料金パターンが生まれる。
さらに1箱のボリュームは「6杯分」から「60杯分」まである。つまり同じ6箱を買っても、36杯分にしかならない組み合わせや、360杯分になる組み合わせがある。
この時点で筆者は「どう組み合わせたら、必要な量を合計何円で注文できるのか」と頭がパンクしてしまいそう。「もっとも損をしない組み合わせは……」などと考え始めるとドツボにはまる。
一方のドリップポッドの価格設定は非常にわかりやすい。1箱12カプセル入りと決まっており、価格帯もスタンダードなものと、ちょっと高級なスペシャルティコーヒーの2パターンしかない。
マシン無料プランの場合、6箱と8箱どちらがよいか、スペシャルティコーヒーを含むかどうかさえ決めればよい。スタンダード6箱(72杯分)だと税込4899円、1杯68円の計算だ。
組み合わせは自由なので、同じ豆ばかりにしてもいいし、紅茶や日本茶を混ぜてもいいし、毎月変えてもいい。定額制のサブスクリプションに近い。このシンプルさは本当に助かる。あれこれ考えなくても気軽に始められる。
【料金まとめ】シンプルな料金体系のドリップポッド、注文によって価格が複雑に変化するドルチェグスト
・「マシン無料」の意味の違い
カプセルを定期購入することでマシン無料、というのはどちらの機種も同じ。ただし、最終的に自分のものになるか、返却するかが異なる。
ドルチェグストの場合はあくまでレンタルなので、解約時には返却する。もし本体を紛失したりして、返却できない場合はマシン代金を支払う必要がある。
ドリップポッドの場合、12カ月のカプセル定期購入を条件として、マシン代金が無料(※DP2の場合)となる。つまり解約してもマシンは手元に残る。
また、最低継続条件を満たさず解約したときの諸費用など、契約の詳細も異なるので注意して欲しい。どちらも「一定期間、契約を続けること」を前提としてマシンを無料で使えるものだ。
・味については?
肝心の「味について」だが、筆者はコーヒーを語れるほど舌が肥えておらず、飲んだだけでは豆の違いもよくわからないくらいなので、ここで書けることがない。
たとえば同じUCCやネスレの中でも「ちょっと苦いな」などと思ったら抽出量を変えたり、別のカプセルにすればいいだけなので、総合力を判断することが困難。筆者にいえるのは「どちらも美味しい」ということだ。
結論をいうと、それぞれに長短がある。定額制で楽しみたい人、家庭の事情などで静かに抽出したい人、ブラックコーヒーにこだわりがある人は、UCCドリップポッドだ。
カフェのようにミルクを使ったラテメニューを楽しみたい人、多少の音が出ても圧力式がよい人はネスレのドルチェグストがオススメ。参考にしていただければ幸いである。
参考リンク:ネスレ通販オンラインショップ、UCCドリップポッドストア
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.