突然だが「具志堅(ぐしけん)」以上に “沖縄っぽい苗字” ってあるだろうか? 「島袋さん」や「金城さん」も確かに沖縄っぽいが、まぁ他の地域にもいそうではある。逆に「喜屋武さん」「東風平さん」クラスになると今度は珍しすぎてピンとこない。

その点「具志堅」はその響きだけで “青い海” “大らかさ” “パンチパーマ” など、どこか我々に “沖縄っぽさ” を連想させるパワーを秘めている。しかしこれほど広く認知されているにもかかわらず、私は過去に一度も具志堅さんという人に会ったことがない。

多くの日本人にとってファンタジーともいうべき「具志堅」姓は、果たして実在しているのだろうか? ちなみに沖縄で一番多い苗字は「比嘉(ひが)さん」とのこと。なるほど。

・ご当地行ったらまずスーパー

さて結論から申し上げると、私は沖縄旅行へ行った初日にあっさり「具志堅さんは実在している」という確信を得てしまった。どういうことか順を追って説明しよう。

あれは数カ月前のこと。せっかく沖縄へ来たなら珍しいご当地グルメを発掘したい……ということで、『フレッシュプラザ ユニオン』なるスーパーへやって来たワタシ。ここは地元民御用達の人気店らしく、広い店内には『沖縄そば』だけでも数十種類が売られているようだ。

ここまで品揃え豊富だと逆にどこからツッコんでいいか分からなくなるもの。ちなみに私は長年の経験から、こういう時はあえてまず “パンコーナー” を覗くことにしている。

すると……狙い的中! 広いパンコーナーの棚一面を、あるご当地メーカーのパンが独占しているぞ。『ヤマザキ』や『パスコ』といった有名どころとほぼ同規模の圧倒的シェア……


その名もズバリ……



『ぐしけんパン』だ!!!!


・実在してたんだぁ……

調べたところ『ぐしけんパン』の社長は正真正銘「具志堅さん」であることが判明。やはり沖縄には一定数の具志堅さんが実在しているのであった! なんだか感無量! それにしても、これほど生産地が分かりやすい名前が他にあろうか? 具志堅さんってスゲェや。

さて、数ある『ぐしけんパン』商品の中でメインはおそらく『なかよしパン』なるものだと思われる。なぜ旅行者の私がそう確信するのかというと、他商品と比べて圧倒的に売り場面積が広いから。

マスコットキャラクターのカエルが非常にイイ味を出しており、いかにも「なかよし」という雰囲気が伝わってくる。税込347円と菓子パンにしては少しお高めな印象だが、全貌を見れば誰もがその価格に納得するだろう。


そう……『なかよしパン』はとにかくデカイのだ。


また姉妹品の『なかよしピーナツ』もやたらとデカイ。『なかよしココアクリーム』というのも存在しているらしいが、この日は発見に至らず。

沖縄県内ではこの『なかよし』シリーズがコンビニなどで普通に売られていて、手頃な “ハーフサイズ” も人気の様子……

なのだが、ここは男らしくフルサイズをキメるしかないだろう。

『なかよしパン』は俗に言う “ちぎりパン” スタイルになっており、8つあるブロックごとに簡単に切り離すことができる。1コで1食には足りないけど、ちょっと小腹が空いた時やお子さんのオヤツにちょうどいい。

バニラクリームがサンドされたパン生地は「ココア味」らしいのだが、なんとなく黒糖っぽさを感じたのはここが南国だからだろうか? 食感はビックリするほどフッカフカ。まずMAXのフカフカを想像していただき、その5倍フカフカと思って頂ければかなり近いと思われる。

『なかよしピーナツ』はその名のとおり、ピーナツクリームがサンドされた万人ウケしそうな味だ。

『なかよしパン』シリーズは別に飛び抜けて個性的だったり変わった味がするわけではない。でも初めて食べたのになぜか「懐かしい」という気持ちになる……毎日食べても飽きないこの絶妙な安定感こそ、人気の理由なのだろう。沖縄へ行ったら必ず食べたい逸品である。

なお『なかよしピーナツ』にはメスのカエルがデザインされており、『なかよしパン』と並べるとカエル同士が向き合うデザイン。メスガエルの胸元には子カエルが乗っているようだが……2匹は夫婦なのだろうか? そして苗字は「具志堅」なのか? 気になるところだ。

参考リンク:ぐしけんパン
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼ちょっとお行儀が悪いけど分解して食べたくなるよね〜