最初に言っておくと、「のり弁」の中にメッセージカードのようなものが入っていたわけではない。つまり、製作者の言葉に感動したのではない。私はただただ、「のり弁」の中身に感動したのだ。
言い換えれば、自分の中の「のり弁はこんなもん」というイメージが完全に崩されたってことになるかと思う。 “のり弁観” の崩壊……大げさだと思うかもしれないが、それはまさに崩壊だった。
・デパートの催事で見つけた「のり弁」
問題の「のり弁」を見つけたのは、日本橋の高島屋。以前の記事で紹介した『赤べろべろしょっぱ漬け』を見つけたのと同じ催事(現在は終了)で、売られていた。
商品の正式名称は、『ぷれみあむ海苔弁』という。“ぷれみあむ” とあることから普通の「のり弁」よりは高級そうな雰囲気が漂っているものの、実物を見ても内容物がよく分からない。
包装紙とお手拭きなどがクロスしてフタの表面を覆っているため、中身がほぼ見えないのである。かろうじて、隙間から「玉子焼き」らしき存在が確認できる程度。
しかしながら、私は「これは絶対に美味いヤツ」と確信していた。なぜなら、製造を手掛けている「八重洲とよだ(多良々)」に実は以前に行ったことがあった。店名を見て蘇(よみがえ)る記憶。たしか、冬季限定の牡蠣フライを食べてメチャクチャ美味かったんだっけ。
その印象が強烈だったので、私は弁当の中身を確認せず手に取った。催事会場での販売価格は税込1512円と「のり弁」の中では結構な値段な気もするが、それでも買うと決めたのは勘に自信があったからに他ならない。
ちなみに、あとでお店に確認してみると、別に中身を隠しているわけではなく、店頭で売られているものはしっかり中身が見えているとのこと(というかよく見たら包装紙に原材料が書いてある)。
おそらく、高島屋の催事会場がメチャクチャ混雑していたので、私がたまたま見本を見つけられなかっただけかと思う。
・開封
さて、家に帰ると当然ながら購入した『ぷれみあむ海苔弁』を開封したわけだが、その中身たちが私の “のり弁観” を木っ端微塵に砕いてしまった。では、一体何が入っていたかというと……!
若鶏のタレ煮!
豚肩ロースの生姜焼き!
そして……!
牛ヒレステーキ!!
あろうことか、牛・豚・鶏が全部入っていたのだ。しかも、そのどれもが絶品。特に牛ヒレステーキは分厚く、噛むとメチャクチャ柔らかい。下手したら、牛ヒレステーキだけで1500円以上の価値があるのではないか?
それだけではない。まだまだあるぞ。お肉以外にも、弁当には「銀鮭の照り焼き」や「玉子焼き」等も入っているほか、当然ながらおかずの下には海苔。この海苔だけでご飯4杯くらいは余裕でいけるほどの美味いのだ。
私が思うに、そもそも普通これだけの「牛ヒレステーキ」が入っていたら、『牛ヒレステーキ弁当』として売り出されるもの。あるいは、『トリプル肉弁当』とかでもいいかもしれない。しかし、これはあくまで「のり弁」。“ぷれみあむ” と付いているものの、「のり弁」なのだ。
私がそれまで持っていた「のり弁」のイメージといったら、せいぜい「白身魚のフライ」や「ちくわの磯辺揚げ」が入っている程度。そんな “のり弁観” が『ぷれみあむ海苔弁』によって打ち砕かれた理由が、お分かりいただけたかと思う。
・どこで買える?
なお、この『ぷれみあむ海苔弁』は現在も東京・人形町の「多良々」で購入できる(2つからの注文で1つ税込1620円)。また、丸広川越店で実施中の東京グルメフェア(5月10日まで)にも出店予定とのことなので、気になる人はチェックしてみてはいかがだろうか。マジのマジで美味いから。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 多良々
住所 東京都中央区日本橋人形町2-25-3
時間・休日 ※時短営業により流動的なので公式サイトで確認を!