東京の高校に通っていながら、不覚にも3年間「マジメな坊主頭」として青春時代を過ごしてしまった私は、不良たちの自由なヘアスタイル & 制服の着こなしに憧れを抱いていた。高校生活をエンジョイしているロン毛の腰パン軍団……当然かわいい彼女もいただろう。クソッ。
一方、坊主頭にジェルを塗って「揚げピーナッツ」の化身となっていた私は、いつか必ず不良の代名詞的ヘアスタイル「リーゼント」をキメてみせる! と、心に誓っていた……あれから約20年、とうとう決行の日が訪れたようだ。金髪リーゼント、全力でやっちまいます!
・ディープ
今回、超ド派手なリーゼントをオーダーしたのは、沖縄県那覇市のメンズサロン「ディープ」だ。ゆいレール小禄駅から徒歩2~3分の場所にある有名店で、いわゆる “悪そうな奴ら” が “悪そうな髪型” をセットするための聖地。まさに、ザ・ディープなスポットである。
恐る恐る取材交渉を行ったところ、意外にも「もちろんOKですよ!」と爽やかな返事。あ、もしかしたら店主は怖くないのかも。なんなら心優しいウチナンチュ(沖縄の人)かもしれない。
と、思っていたのだが……
ウソだろ死ぬほど怖ええええ!
見た目が明らかに凶悪なメキシコ系ギャングじゃねえか。いや待てよ。憧れのリーゼントスタイルを硬派にキメてくれそうなオーラは十分に漂わせている。文句を言ったら間違いなく殺されるが、カリスマテクニックは確実に披露してくれるだろう。
・定番が金髪リーゼント
というわけで、店主・砂川さんにリーゼントをオーダー。アレンジ等は “おまかせ” と伝えると「金髪リーゼントですね」と即答。おまかせの即答が「金髪リーゼント」って地獄かよ。聞けば、1番ベーシックなスタイルが金髪リーゼントらしい……いやマジで地獄だな。
ちなみに沖縄のド派手新成人たちの多くも、同店で「1日限定のやんちゃスタイル」をお願いするという。つまり、パーマ液はかけずに “洗えば元通りになるスタイル” のこと。
「式典は袴(はかま)でリーゼント、2次会はスーツだから髪はビシッとキメたいよね」と砂川さん。なるほど、一生に一度、魔法にかかっている間だけのスペシャルリーゼントということか。まるでシンデレラだな……と、考えている私にも魔法はかけられていく。
・林家ぺー
完成までの流れをざっくり説明しよう。まずは熱々のコテで髪をクルクル巻き上げて「もっこりしたブロッコリー頭」を作り上げる。
この時点でだいぶ絶望的な気持ちになるぞ。
その後、目の粗いクシを使ってパーマをほどき「林家ぺーさん」のような爆発ヘアにしてから……
スーパーハードスプレーとドライヤーで形を整えるのだ。なんというか、途中で林家ぺーさんが出現するのも魔法っぽい。
なお同店では、パンチパーマやアフロ、ドレッドヘアなど……ありとあらゆるメンズスタイルを注文することが可能。全体的にやんちゃな理由は「26歳まで京都や沖縄の “夜の世界” でフラフラ働いていたからかもね」と砂川さん。にじみ出る恐ろしいオーラの正体もソレだな。
・完成
さて、約1時間で憧れのリーゼントスタイルが完成……ってか、スゲエエエエエエエエエエー!
完全にビーバップハイスクールだ。まさに目指していたスタイル、中途半端なチンピラ連中を黙らせる迫力を放っている。さらにヘアカラースプレーで金髪に仕上げて……
サングラスを装着すれば……
見事、あまりにも見事である。さみしがり屋たちの伝説である。いや正確には、揚げピーナッツだった高校時代の方が「さみしがり屋たちの伝説」なのかもしれないが、とにかく当時から憧れていた以上のヘアスタイルが完成した。
高校時代にこの姿で登校したら、校門前で生活指導の柔道部顧問に確実にボコられただろう。いや、他校のヤンキーや先輩から襲撃される恐れもある……そう考えると、不良も中途半端な気持ちではやってられない、ということか。あいつら意外と勇気あるんだな。
──ってことで、リーゼントに憧れている男性諸君、ディープに行けば「髪を洗うまで」の魔法をかけてもらえるぞ。もちろんパーマ液を塗布して長持ちさせることも可能だ。存在感抜群のスタイルで気合いを入れたい方は、ぜひ1度魔法にかかってみることをオススメする!
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 ディープ
住所 沖縄県那覇市田原4丁目8−9 シティハイツ愛莉
時間 10:00~19:30
休日 月曜日
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.