どげんかせんといかん。知っての通り、この発言は東国原元宮崎県知事のもので2007年の流行語大賞の年間大賞に選ばれた。あれから早いもので10年以上……2021年現在、宮崎県はどうなったのかいうとどげんかなっとる状態にある……のではないか。
というのも、宮崎県はいまや餃子界のトップランカー。2020年上半期、餃子の日本一は宮崎市。「支出金額」と「購入頻度」で全国1位を獲得しており、餃子といったら宮崎という地位を築いたと言っても過言じゃないからである!
・宮崎の老舗
もはや餃子県となった宮崎から、今回購入してみたのは高鍋町にある「餃子の馬渡(まわたり)」だ。ここは創業昭和42年(1967年)の餃子専門店で、その日の素材の旨みや食感のバランスを考えて材料を刻み、時間をかけて手作業で合わせているそうな。
専門店職人のこだわりを感じるだけに何を注文するか迷うが、宮崎餃子に手羽餃子など、いくつかのタイプの餃子がある中からもっちり生餃子30個(税込1650円送料別)をチョイス。お取り寄せしてみたぞ。
超がつくくらい丁寧な梱包で届いた餃子は、そこはかとなくラスボス感がある。何だか食べる前から圧倒されてしまいそうになるが、よく見たら他の餃子とまったく違うものが入っていることに気づいた。そう……
ラードである
タレや焼き方にこだわりがある店はわりとあるが、まさかまさかの油。個人的にはこれで焼いてネというお取り寄せ餃子は初。普段、当編集部は米油を使用しているのだが、これはラードで作る以外の選択肢はない。
フライパンにラードを入れたら、獣的な匂いが漂ってきた。そしてラードの影響か、焼き始めるといつも以上にバチバチ言ってるような気がする。これって大丈夫なのかな……と思いきや!
程よく焼けたあたりで、バチバチいってた餃子周辺がガス切れしたのかと勘違いするくらい収まったから驚いた。これがラードのおかげならば、焼き慣れていない人でも上手に作れるかも!
あとはよく焼けた頃合いを見計ってホイッと皿に移すと……んんんん〜!
完成! そしてウマそう! 見た目最高、匂いもよしで食べずとも美味しいことが分かる出来栄え。これは期待大!!
・とにかく皮
それではお待ちかねの実食タイム。サイズは大きすぎず小さすぎずで食べやすそう。アツアツ餃子に気をつけながら口に入れたら……ふむふむ、これはねぇ……
うん、素直にウマいねぇ。その特徴はなんといってもブリンッとした皮。もっちりしていて、まるでモチ。皮に関していえば薄焼きのモチを食べているかのようである。
それで焼き目がパリパリッとしているから至高。つい食べまくってしまうが、口に放り込めば放り込むほど中身の良さも際立ってくるのが馬渡の餃子であった。
中身はキャベツというよりニラ主体だろうか。とにかくウマい皮が先鋒で出てきたかと思えば次鋒のニラも結構強い。1つ1つ個性があってよい……からの大将・キャベツの甘みへと繋ぐのだから、そりゃ宮崎県の代表的なポジションに同店がいるのがよく分かる。
こんな編成されたら性別、年齢問わずに気に入られそうだし、スタイル的にはバランス型だから最強。例えば宇都宮の名店「正嗣(まさし)」であれば生姜でぶん殴ってくる速攻派だったが、馬渡はワンチームで攻めてくる。
どこか欠けることなく、確実に相手(食べ手)を仕留めていく。こちらのツボを常に刺激し続けてくるといおうか。とにかく隙がないウマさで完成されていた。それでいながら……
どこか落ち着くような感じにも仕上がっていて、不思議と「宮崎県らしさ」を感じられたから面白い。餡の野菜から緑の平原が見え、じっくり味わうと大海原が……てな感じで、なんだか擦れていない一面も見せてきた。
これも小麦粉、野菜、肉、そしてラードと宮崎県を中心とした国産で作っているからだろうか。食べれば食べるほどどげんかなりそう。いやぁ〜、ハンパなかった。是非とも再戦をお願いしたい。
・待っても食べたい餃子
なお、馬渡はテレビ放送の反響で注文が殺到しているそうで、もはや名実ともに宮崎餃子のピラミッド上部に位置すると言っていい。それだけにお取り寄せしたら少しばかり待つかもしれないが、一度食べてみる価値はある。宮崎餃子、これから要チェックや!
参考リンク:餃子の馬渡
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.