どんなに気をつけて暮らしていても、いつのまにか床や壁についている無数の傷。アパートの退去時に苦い思いをした人も多いだろう。
ホームセンターに行けば補修テープや穴埋めパテは売っているが、エンボス加工のような模様つきの壁紙だったりするとお手上げだ。ところが、そんな壁紙の傷や穴を、ウソのように補修できる魔法のアイテムがあるという。口コミでは「すごい!」という声と、「上手くできなかった」という両方の声があったが、自身の不注意とペットの破壊行為でボロボロの筆者宅で検証してみた。
・日本ミラコン産業「クロス型取りなおし3点セット」(税込968円)
くだんの製品は日本ミラコン産業の「クロス型取りなおし3点セット」という。開封すると、名前のとおり3種類の素材が入っている。指示に従って加工していこう。
まず青いシリカと、白いシリカを粘土のように混ぜ合わせる。パン生地をこねる要領で伸ばしたりたたんだりしていると、色が混ざって水色の粘土になる。
これを、復元したい(無傷の)壁に押しつける。そう、壁紙の「型」を取ることができるのだ。
硬化時間は約5~10分とあるが、筆者の環境下ではそれよりも遥かに時間がかかった。室温や湿度にも左右され、失敗したという体験談はここから発生することが多いようだ。爪で押しても跡がつかなくなるまで、しっかり硬化させる。
ただし混ぜた瞬間から化学反応は始まっているから、いつまでも手でこねくっているのは禁物。素早くこねて、壁紙に貼りつけたら長めに放置。真冬の室内で、かかった時間は30分ほど。上手くいくと、きれいに型が取れる。
では、実際の傷にパテを埋めてみよう。角の部分に、家具をゴリゴリッとやってしまった傷跡だ。えぐれて芯材が見えている。
3つ目の容器を開ける。パテは弾力のある「ねり消しゴム」のような質感で、ベタつくこともなく扱いやすい。
ほんのり湿って軟らかいパテを詰め、先ほど作った「型」を押し当てると模様を転写できる。強めにしっかり押しつけた方がよさそう。パテの完全硬化までは約12時間もあるので、失敗したら指でならして、何度でもスタンプできるぞ。
するとどうでしょう! あれほど住民を悩ませていた柱の傷が消えたではありませんか!
もうちょっと模様を強くつけるべきだったが、2~3cmの小さな傷なら、どこにあったかわからないくらい修復できる。もし壁紙の色と、パテの色が合わない場合は塗料を混ぜることもできる。
・難関チャレンジ
小さな傷ならほぼ完璧に直せることがよくわかったが、もっと無茶な修復もできるのだろうか? 限界を知りたいので、さらに難しいことに挑戦。直径10cmほどの盛大な壁紙はがれ。
最初はごく小さな傷だったのだが、少しでも突起があると引っ張らずにはいられない猫が被害を拡大した。これくらい広範囲になったら補修テープなどでも直せず、普通は壁紙のつぎはぎをするレベルだ。
カッターで輪郭をきれいに整えてからパテを盛る。必要な作業だとわかっていても、無傷なところを切るって罪悪感があるよね……。
パテを薄~く薄~く伸ばしていく。ハミ出た部分は指でこすると下にポロポロ落ちるので、なるべく平坦になるように伸ばす。このとき、いかに境界線なく平面を作れるかがポイント! いま考えると、ローラーなどで押さえつければよかったと思う。薄く伸ばすと接着力が弱くなるので、木工用ボンドを下塗りするといいらしい。
型を押し当てる! 縦横の方向性がある壁紙の場合、裏面に目安を書いておくといい。そうしないと周囲の壁紙と角度がずれてしまうことがあった。
いかがだろうか。実際には壁紙が日光で変色して真っ白でないので色調差があるし、ローラーを使わなかったためにパテの凸凹がわかってしまう。しかし、遠目ではだいぶ目立たなくなったと思う!
仮に壁紙をつぎはぎしても境界線はわかるので、それを考えると合格点では? なお、このままにしておくと同じ被害に遭うので家具でさりげなく隠した。自然な触り心地だが、強度はそれほどないと思う。
・コツをつかめば簡単
ポイントはシリカの「型」をしっかり硬化させることと、パテを平坦にならすこと。型取りでシリカが十分に固まらないと、壁に青い色がついて逆に汚くなるという口コミもあったぞ。
なお、1度型取りして硬化したシリカは元には戻らない。違う模様の壁を直したいときは、シリカを2等分するか、あるいはもう1セット必要だ。白い壁で、かつ小さな傷なら、かなり復元力が高い! 壁の傷にお困りなら、ぜひDIYにトライしてみてくれ。
参考リンク:ミラコン オンラインショップ
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.