いつか私が動画配信をするとしたら、まず『ゲーム実況』から始めたいと思う。なぜならゲーム実況とは、必ずしも上手さが大事なわけじゃなさそうだから。要するにゲーム自体はヘタでも “楽しくプレイする様子” が伝わればいいのではないか?
それならテク無しの私でもイケるかも……ってことで最近、実況動画を見まくっている。するとどうも『NINTENDO64』のプレイ動画が目につくようだ。「メチャ古くはないけど新しくもない」という微妙な立ち位置のロクヨンが今、再び脚光を浴びているのだろうか?
・秋葉原できいてみた
そのあたりの事情を探るべく、お世話になっている秋葉原のゲームショップ『レトロげーむキャンプ』の田中さんに話を聞いてみることにしよう。
事前に調べたところ、64の歴史の中で発売されたソフトはたった208タイトル。あまり聞き馴染みのない「ソフト不足」という事態に見舞われた歴史があるようだ。一体なぜそんなことになってしまったのか。
田中さん「もちろん本当のところは分かりませんけど、当時の任天堂は『つまらないゲームは出させない』という厳しい方針だった……という話があります。ソフトを出すメーカーを絞ったんですよね。逆にプレステ(ソニー)なんかは『どんなメーカーもウエルカム』的な雰囲気だったと思うのですが」
──なるほど……選りすぐりすぎた結果、って感じですか。
田中さん「あとはハードが開発しづらかったみたいで、発売が大幅に遅れたことも短命に終わった要因だと思われます」
・売上ベスト5を発表
色々あって家庭用ゲーム機の王様にはなれなかったロクヨン。しかし短いながらも「みんなで64やろうぜ」という時期があったことは記憶している。ここから全208タイトルの中で ”現在” 売れているソフトをランキング形式で発表させていただくが、どれもゲーム史に残る名作ばかりだ。
第5位『ゼルダの伝説』シリーズ
田中さん「お約束のゼルダです。『ポケモンスナップ』もいい勝負なんですが、そちらは今度ニンテンドースイッチで新作が出るので、その影響で売れているという事情があります(4月30日発売予定)。その点ゼルダシリーズはずっと安定した人気ですね」
第4位『どうぶつの森』
田中さん「『どうぶつの森』もニンテンドースイッチ版が出た影響で売れているっていう感じです。これがシリーズ1作目になります」
──「なまえ」を書く欄が味わい深いですね〜! 最初は子供向けだったんでしょうか?
田中さん「どうでしょうね。発売当時はそこまでパッとした印象ではなかったんですが、親世代にウケたというのはあるようです。この頃はオンライン機能はなく、完全に1人用でした」
第3位『スーパーマリオ64』
ところで冒頭でお伝えしたゲーム実況動画についてだが、実はマリオシリーズの中でも『スーパーマリオ64』のプレイ動画はズバ抜けて数が多い。多くのソフトが存在するマリオ界で、なぜ64のマリオが多くプレイされているのだろう?
田中さん「 “バグによる裏技” があるからじゃないでしょうか? いわゆる『ケツワープ』(バグを利用したショートカットの裏技)とかです。スーパーマリオ64にもバージョンがありまして、『振動パック対応版』等の後期版ではバグが修正されています。たぶん初代のほうが人気なんでしょうね……今マリオ64をやる人って、たぶんそういうことがやりたいんだと思うんですよ(笑)」
──なるほど……! 私にもできる簡単な裏技ってありますかね!?
田中さん「いやぁ、僕は発売された時にプレイしましたが、当時は裏技なんて知らなかったですからね。最近ですよ、そういうことが話題になってきたのは。『リアルタイムアタック』みたいなのも流行るようになって、再び注目された感じです。でも『マリオ64』は普通にやっても面白いですよ。3Dになったマリオって、64が初なんです」
第2位『007 ゴールデンアイ』
取材時は欠品中だった『007 ゴールデンアイ』が2位にランクイン。007といえば1962年の1作目から今なお続くスパイ映画の金字塔である。実在する有名人や映画などがゲーム化されるパターンって、昔は多かったよね〜。『たけしの挑戦状』とか。
……しかし聞いたところ、64版の007は『たけしの挑戦状』とは全く異なるタイプの良作なのだそう。ニンテンドー64はコントローラーが4つ差し込める仕様になっていて、本ソフトは複数人プレイが可能。田中さんいわく「友達と一緒に遊ぶならかなり面白い」とのことだ。
第1位『大乱闘スマッシュブラザーズ』
ご存知『スマッシュブラザーズ』は、この64版が記念すべきシリーズ1作目。任天堂の人気キャラがゲームの枠を超えて集結しているとあり、外国人にも高い人気を誇るようだ。それにしてもパッケージの豪華さよ……やっぱ任天堂ってスゲーな。
・『どうぶつの森』を初体験
さて今回ご紹介した中から、私は第4位『どうぶつの森』を購入してみることにした。本シリーズをプレイするのはこれが初体験である。
ちょうど昨年大ヒットした『あつまれ どうぶつの森』(ニンテンドースイッチ)を買おうか迷っていたところであり、先に『どうぶつの森』をプレイしてみるのは非常に正しい順序といえるはずだ。
ゲーム冒頭、プレイヤーは汽車に乗ってどうぶつたちの住む村へやってくる。
生活するためにはお金を稼がねばならない。プレイヤーはどうぶつ達に頼まれる依頼をこなし、お駄賃をもらってお金を貯める……というのが基本の流れだ。なかなかシビア。
序盤ではカンタンな依頼ばかりなのだが、だんだんと内容が複雑になってくる。例えばバイト先の店主・タヌキの『たぬきち』に依頼されたのは「 “あいさつと特売情報” を書き記した手紙を顧客に送れ」というもの。てっきり郵便局へ行けばなんとかなると思っていたら……
まさかの1文字ずつ手打ち…………!
おまけにキーボード打ちではなく、スティックで「あ・か・さ・た・な……」と文字を探っていくタイプである。内容についても依頼主から詳細な指示はないというハード仕様。悩み抜いたすえ1時間ほどでようやく手紙が完成した。
すると「ちょっと時間がかかった」という理由で報酬が減額! あまりにシビア!
図らずも「行動ではなく結果が全て」という、社会の辛い現実を知ることになってしまった。おそらく最新の『あつ森』ではこういった、ややこしい操作や分かりにくい仕様が完璧に改善されていることだろう。任天堂とはそういう会社だ。
が、しかし……私はしばらく『どう森』をプレイし続けることにした。なぜなら登場するどうぶつ達に愛着がわいてしまい、あっさり最新版に移行することが申しわけなく思えてきたから。恐らくこの気持ちこそが任天堂の狙い……私はマンマとハマってしまったのだろう。
ちなみに最近は女性のゲーム動画配信者が増加傾向にあり、レトロゲームを求める女性客も増えているのだとか。華麗に『ケツワープ』をキメられる自信はないが、意外と『どう森』の動画を配信するのもアリかもしれないな〜?
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 レトロげーむキャンプ秋葉原店
住所 東京都千代田区外神田3-14-7 新末広ビルC
時間 11:00〜20:00(変更になる場合があるので詳しくはお店のTwitterをご参照ください)
定休日 無休
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
★こちらもどうぞ → レトロゲーム売上ランキング