
世界的に実に色々あった2020年。主にネガティブな方向で歴史に残ること待ったなし。筆者(江川)個人にとってもこの1年は大変……ということもなく、プライベートでは割と毎年ろくでもない目に合う30数年間だったので、今年もまあ平均的だったかなって。悲しい。
それはともかく、執筆した記事はどうだっただろう。本数にして200本ちょっと。見返してみたが、思わず「ろくに面白いヤツが無いなぁ」などとつぶやいてしまった。そこで、いくつか今だからこそぶっちゃけまくりな裏話を語れるものを選んでみた。
・全線開通した常磐線で東京から福島へ / 帰還困難区域だった各駅で下車、周辺を散策してみた
常磐線が全線開通したその日に福島入りをして、その工程をお伝えした記事。福島に関するニュースというのは、報じるメディアや記者の思想、政治的スタンスによって、同じテーマでも受ける印象に幅がありすぎると個人的に感じていた。
こういうトピックについて、真に信用に足る情報を得る方法はそう多くない。同じ内容について報じる複数の個別のメディアを参照し、情報をよく吟味(ぎんみ)して頑張るか、シンプルに自分で現場に行くかだろう。
もちろん筆者の記事も、筆者の感じたことが書かれているためそれなりにフィルターがかかっていると思われる。しかし、内容のほとんどは実際に現場で目の前に出てきた風景を撮影した写真と、写真が表示されない配信先で読む方のために、写っているものを文字に起こしただけのものだ。
当時世に出た、帰還困難区域だった各駅周辺の状況を報じた記事のなかで、読者を何かしらの活動や思想に誘導しようという意図を最も含まないもののうちの一つだったろうと自画自賛している。
また、この時は現場で多くの他メディアや、状況を報じようとやってきたYouTuberなどとかち合ったのだが、やっぱり自分で見に来ないと駄目だなと。はるばるやってきて正解だったなと。
明らかに普通の一般人ではない活動家のコメントを「地元の一般的被災者」的にリポートしていた通信社。大したことない地面の亀裂を、超広角レンズを用いて近くから撮影することでドラマチックに見えるよう演出するカメラマン。自撮りしながら怪しげな陰謀論を熱弁する者。
被災地の現実離れした有様も印象的だったが、歪んだ情報が生み出される瞬間の光景というのもまた印象的だった。その空気にアンチな気分になったため、この記事ではなるべく肉眼での見た目に近い写真しか掲載していないし、タイトルも煽らないようにした。
めちゃくちゃ畑が食い込んでいる「いなげや 新座野寺店」の真相 / 畑の持ち主に聞いてみた
わりと近所なのでフラッと行ってみたら偶然当事者に話を聞けた……というのが実際のところ。もし畑の持ち主と偶然話をできていなかったら、記事を書いていなかった。
いなげや側にも話を聞くべきか迷ったが、おじいさんからは買収についての話が出てこなかったので良しとした。掘り下げようとすると店舗では無く本社に問い合わせなきゃならず、そこから想定される諸々を避けたのだ。
先方に内部資料の調査をお願いすることになるため、時間をかけて何度もやり取りをしなければならないだろうし、事前の内容の検閲は不可避。いなげやのオープンは15年以上前の話なので、時間をかけたが何もわからないということもあり得る。
これらの手間やリスクと、Twitterでバズっているうちに一切のNG無しに書いた記事を公開できることを秤にかけたわけだ。鮮度、精度、情報量……悩ましい問題よのう。理想ではないが十分ではあったと考えているし、正解かはともかく成功ではあったと判断している。
【2020年10月版】近所のコンビニ3社で売られていたサンドイッチを全部買ってパンをめくってみた
これ、ちゃんと全部食べたんですよ。マジで。ネタを思いついたのは、セブンの「厚焼きたまごミックス」がネットで燃える切っ掛けになった投稿の3日後。炎上が本格化した頃だ。でも1日で食べられる量ではない。10月15日から18日までの3日間、1社ずつ食べながら書いたのである。
記事では個人の見解は述べないことにしていたので、ここで言わせてもらおう。まず、とにかくどこも凄まじい企業努力が見てとれるなと。色々と材料費やら製造の工程やらも織り込んだ果ての、この具の入れ方や量なんだろうなぁと。
そして、炎上の切っ掛けになった某SNSにアップされた「厚焼きたまごミックス」の写真についても一つ。あれは、2個入っているうちの悪いほうを撮ったんじゃなかろうか。
恐らくカットの際にズレた結果で、もう片方は厚焼きたまごがぶ厚かったんじゃないのかなと思うのだ。確かに卵の配置こそはテクニカルで突っ込みたくなるが、総量や値段を考えれば、セブンが突き抜けて悪いわけではない……というのが筆者の感想だ。
ぱっと見でケチってるように見えるキュウリは、たぶんこのくらいの量がちょうどいいのだろう。冷静に考えると、キュウリが多すぎたら微妙な気がするし。家で既製品クオリティなサンドイッチを作る際の参考にもぜひ。
お気に入りとはちょっと違うが、こんな感じだろうか。2020年に書いた記事で、今になって語れることがあるものを選んでみた。公開当初に記事本文中に入れていたら、読者の反応が記事のメインテーマとは別の方向に反れてしまったであろうストーリーだ。
ところで、記事を見返してみて思ったのだが、筆者の書くものはリポート的なものばかりだった。2021年は、もっと創造力を働かせてオリジナリティあふれる笑えるようなネタができないか模索してみようと思う。でも新年に向けての抱負って、失敗するのがお約束みたいなところあるし、どうなるかなぁ。
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
江川資具



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