2020年は、言ってしまえば新型コロナウイルスの年だった。ありとあらゆる事象に介入し、世界を灰色に染め続けた悪魔の病。しかし、俺たちの「かつや」は負けなかった。まあ負けなかったというか、いつも通りただアホみたいに駆け回っていただけのような気もするのだが……いや、それでこそ「かつや」だ。
今回は、生粋の “かつや者” を自称する私、あひるねこが「かつや」の2020年を独断と偏見で振り返ってみたいと思う。俺たちの心のとんかつチェーン「かつや」、その魂の疾走をもう一度……。
・「かつや」の2020年
今年、私が執筆した「かつや」関連の記事は全部で21本。記念すべき最初の期間限定メニューは、『青ねぎ味噌チキンカツ丼』という極めて真っ当な一品であった。そういえばこの時はまだ、コロナのことなんてあまり気にしていなかったっけ。平和な時間だった。
そんな中、「かつや」は3月にして早くも今年最高峰の魔球を繰り出すことになる。そう、生産者さんの顔が浮かばへんのよでお馴染み、コーンフレークを衣にした歴史的迷作『コーンフレークカツ丼』の誕生である。俺たちの「かつや」、ついに揚げ物の向こう側へ。
ミルクボーイのM-1優勝を受けて発売という謎のフットワークの軽さを感じさせる本商品は、そのネーミングのイカれ具合とは裏腹にザクザク食感とスパイシーな味付けが素晴らしく、当時の私は食べながら逆の意味で困惑したものだった。ただ、時間が経過すると衣が刃物のように硬質化するため、口内をズタズタにされはしたが。
その後、シンプルにカツの物量のみで敵を屠(ほふ)らんとする怪物『タレカツ丼』を挟み……
高まるテイクアウト需要に驚異の脳筋ぶりで応えた、あまりにも茶色すぎるオフェンシブ弁当『全力大人飯』を発売。フタを開けた瞬間、キャベツの異常なまでの少なさに笑いながらガッツポーズをしたのはいい思い出だ。個人的には「かつや」の何たるかが、あのキャベツの扱われ方には詰まっていたように思う。
それ以降は比較的まともな商品が続く……のだが。9月に出た『牛生姜焼きカレー』よ、やはり貴様だけは許しちゃおけねぇ。「かつや」史上初となるカツなしの商品として売り出されたこのカレーは、当時の記事にも書いた通り、本来なら主役であるはずの牛生姜焼きを完全に無視し、あまつさえ脇役に追いやってしまった外道だ。その傍若無人な振る舞いは、もはや万死に値する。
一方、私にとって今年最大の後悔は、育休を取っていた関係で10月に発売された『豚すき煮肉うどんチキンカツ丼』と一度も対戦できなかったことである。ご飯の上に、なぜかうどん。炭水化物 on 炭水化物。昨年世間を騒がせた『カレーうどんカツ丼』に次ぐ最強レベルの問題作だったのに……あな口惜し! あな口惜しや!!
後半は『どっさりベーコンとチキンカツの合い盛り丼』で、チキンカツの隣に大量のベーコンをのせるという荒技を惜しげもなく披露し……
1月の限定メニューだった味噌カツを12月に再び発売することで、「かつや」は激動の2020年を静かに締めくくった。その真意を私なりに考察してみたので、詳細は該当の記事をぜひご確認いただきたい。
・来年もよろしく
商品のインパクト自体は例年と比べ、やや大人しめだったかもしれない今年の「かつや」。しかし、当然ながらそこにはハズレらしきヌルい瞬間はただの一つも存在しなかった。一見まともに見えながらも、その実、何かしらの意味の分からなさを内包した武骨な揚げ物たちによる魂のパレード。来たる2021年は一体どんな疾走を我々 “かつや者” に見せてくれるのか? 今から楽しみでならない。
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.
★「かつや」関連の記事はこちら → シリーズ「かつや激闘集」