いまは少し落ち着いたのかもしれないけれど、たしかに日本には魯肉飯(ルーロー飯)ブームが来ていた。外国の屋台メシがコンビニで買える日本の食文化の広さには驚くが、八角やシナモンなどクセの強い食材使用で、どちらかというと「人を選ぶ」料理だと思う。

そんなローカルフードを自宅で簡単に(?)作れる調味料を見つけたぞ。発見場所はまたまたカルディだ。ちょっと苦戦したところもあるけれど、本格的な仕上がりなのでぜひご紹介したい。


・「ルーロー飯の素」(推奨価格:税抜170円)

いくつかのメーカーから同様の商品が出ているようだけれど、今回使用したのはdfe(ドーバーフィールド)の「ルーロー飯の素」。カルディの店舗でよく見かけるほか、同オンラインストアでも取り扱っている。

中身は煮込み用のタレが1袋(3人前)入っているだけのシンプルな内容。用意するものは豚バラ肉400g(約1cm角)で、豚ひき肉でも代用可。作業工程はかなり少なく、肉を用意したら「炒めて煮込む」だけの簡単調理のようだ。そもそもが屋台料理だから、それほど難しいものではないだろう。

ではクッキング! バラ肉じゃないけど。


1cm角……1cm角……


ぐぬぅ……切っても切っても終わらない。400gってかなり多い。最初はこまめに1cm角にしていたけれど、だんだん面倒になりサイズが大きくなってくる……

筆者は以前よくクルーズ船に乗っていた。外国の大型船になると数千人分の食事を1度に作るので、ギャレー(厨房)は巨大な給食室のようなもの。中では分業が徹底しており、1日中ひたすら「野菜のカット」をしているクルーがいたことを思い出した。

20分かかってやっとできたサイコロ肉を、ごま油で炒めて……


やっちまった。途中まではよかったのだけれど、加熱しすぎたようで、最後に肉汁がドバッと出てしまった。写真を撮っている場合ではない。

あとは水と「ルーロー飯の素」を加えて煮込むだけ。タレはほとんど黒に近いような褐色で、ドロッとしている。

煮込み始めた途端、部屋中に独特の匂いが広がった。良くいうならスパイスの香り、悪くいうなら漢方薬のような薬草臭……! ツーンとする!!

パッケージを確認すると、原材料がすごい。「本品は八角などのハーブや香辛料を強めに効かせた合わせ調味料です」という注意書きもある。

しょうが、にんにく、チキンブイヨンはともかくとして、八角、シナモン、花椒、フェンネル、クローブ、陳皮からなる香辛料、しいたけ粉、えび粉末、あさり煮汁……混ざり合うとどんな匂いになるか想像もつかない顔ぶれだ。筆者の部屋では、海の神と山の神が全面戦争を始めて、カオスが生み出された。

エスニック料理全般ウェルカムな筆者でさえ、ちょっと食べられないかも、というくらい強烈。後でわかったのだが、換気扇を通して家の外にまで流れていたらしい。

このまま弱火で約25分煮込む。「長っ!」と思ったが、豚の角煮などを作るにはもっとかかるというから、そんなものか。

実際に25分煮込むと……最初の薬草臭は消え去り、まろやかな芳香に変わった。よかった……。

ところが、である。豚肉が硬い。かなり細切れにしているにもかかわらず、水分がなく、スジっぽい食感。最初に炒めたときに肉汁を逃したことが原因か、あるいは煮込む温度が高すぎたのか。せっかちなので、ついつい火力を強くしてしまう。

急きょ落としぶたに作戦変更し、水を加えて煮込み時間を追加する。最終的に50分くらいは煮た。


・実食

できあがり! お好みにより、ゆで卵やパクチーを加えるとよいとのこと。


1口食べてみると……旨い! 突き抜けるようなハーブの攻撃力はすっかりなくなり、どこか甘みを感じるようなマイルドな味わいになっている。日本の鶏そぼろに煮ているけれど、スパイスが何層もの深みを生み出している。

ちょっと引くくらいの匂いを感じたのは、それだけ本格的だということ。いろいろ足したり引いたりしているうちに煮汁がどっかへ行ってしまい、汁ダクにできなかったことだけが心残りだ。


・ポイントは……

皆さんは筆者のようなアホなミスはしないと思うが、あえてポイントをいうなら、豚肉は火加減に注意だ! 弱火でゆっくりが大事。あと肉を刻んだり煮込んだり結構時間がかかるから、スピード料理ではなかった。屋台ですぐに出せるのは、1日中煮ているからなんだな。

けれど、できあがりは本格派で美味しかった。アジア飯が好きな方は、ぜひお試しあれ!


参考リンク:ドーバーフィールドカルディオンラインストア
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.