残すところあと2カ月ほどとなった2020年は歴史上において特別な年となることだろう。こういうのも新型コロナウイルスの影響で大きく世界の生活が変わってしまったから。本来であればここ日本で開催されるはずだった東京五輪も延期(10月16日現在)になったのはご存じの通りだ。

そして競馬界もこの先二度とない年になる──かもしれない。というのも、無敗の三冠馬が牡馬、牝馬ともに誕生しそうな気配がプンプンなのである。デアリングタクトとコントレイル、2頭のサラブレッドが偉業……いや、大偉業に挑もうとしている。

・牝馬三冠の歴史

10月18日、第25回秋華賞が京都競馬場で開催される。牝馬三冠の歴史をたどると、過去に達成したのは(前身のエリザベス女王杯を含む)たったの5頭でメジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、そして現役のアーモンドアイ。いずれも名牝でそうそうたる名前が揃う。

んで、今年そこに加わる権利を持っているのが前述のデアリングタクトである。ここまで桜花賞とオークスの春二冠を無敗で制して4戦4勝、秋のトライアルレースを使わなかったことで無傷のまま最終関門の秋華賞まで駒を進めることになった。

・デアリングタクトに死角あるか

今年の秋華賞はデアリングタクトが三冠を達成するかどうか。もはやそう言っても過言ではないが、結論からいえば大偉業の達成は濃厚だろう。なにせ負ける可能性を探ってもなかなか見当たらないのだ。

ひと昔前であればトライアルレースを使って本番に臨むのが定石で、ぶっつけ本番はそれとなく敬遠されてきた。しかし、ここ数年で競馬界の常識は大きく変化。サートゥルナーリアしかり、何ならここ2年の秋華賞馬(アーモンドアイ、クロノジェネシス)はトライアルを経由せずに本番を勝っている。

これはデアリングタクトにとって大きな追い風となるし、もともと同馬はレース間隔が空いても苦にしないタイプだから鬼に金棒。新馬から約3カ月空いてエルフィンSを制したように、今回トライアルを使わなかったことは減点材料にならないだろう。よほどのアクシデントが起きない限りは無配の三冠馬が誕生するのではないか。

・相手もいない?

また、同世代の牝馬に相手が見当たらないことも大きい。トライアルを勝って臨むリアアメリア、マルターズディオサらとはすでに決着がついている。そして秋の3歳G1といえば夏の上がり馬に注目が集まるが、ローズSで低評価を覆して2着に入ったムジカ、3着のオーマイダーリンらはリアアメリアに敗れているため役不足だ。

そんななかで対抗の1番手を挙げるならば、オークスで「あわや」のシーンを作り出したウインマリリン。直線の長いオークスはギリギリ届いたが、後方から追い込むデアリングタクトにとって抜け出すタイミングにミスが生じたら……と不安視するならここくらいだろう。

他には京都のコースを不安材料と考えることもできるが、デアリングタクトは新馬で京都競馬場を経験しているし重箱の隅をつつくようなもの。正直、それくらい負ける要素が見当たらない。

ちなみに圧倒的な人気を背負って秋華賞を制したジェンティルドンナとアーモンドアイの単勝は130円(1.3倍)。おそらくデアリングタクトもそれくらいのオッズになることが予想される。お金がしこたまあれば100万円くらい単勝にぶち込んで、30万をゲットする簡単なお仕事……とやりたいものである。

ただ、競馬に絶対はない。筆者の予想はデアリングタクトを1着固定、そこから……とガチガチの馬券でいくつもりだ。リアアメリア、ウインマリリンといったところを絡めてローリスクローリターン。今回ばかりは配当ではなく、純粋に競馬そのものを楽しみたい。コントレイルに繋ぐ大偉業への第一歩、まずは牝馬の三冠馬誕生なるか注目しよう。

参照元:JRA
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.