陽射しが日に日に強くなる今日この頃。上野アメ横は雑多な活気を取り戻しつつある。そこで久しぶりに昆虫食自販機を見に行ったところ、新商品が販売されていた。
その商品とは「タガメサイダー」。1000円超えの缶が多い昆虫食自販機においてタガメサイダーは580円だった。安い。というわけで購入して飲んでみたぞ!
・タガメとは
タガメとは水田などに生息するカメムシの1種。4~6cmもあるその体格と大きな鎌状の前足は水田の覇者と言っても過言ではないくらいの迫力がある。
しかし、現在ではその姿もあまり見かけなくなった。38歳の私(中澤)が子供の頃でさえ、水田でタガメを見た記憶はない。では、なぜ私がタガメの姿かたちを知っているかと言うと、食べたことがあるからである。
以前の記事で、そのままの形で茹でられたタガメを食べた。とにかく殻が固かったことを覚えている。そのバキッとした食感と見た目のインパクトにやられて中身の味はほぼ分からなかったのだけれど。
・香らなくていい
っていうか、大概の昆虫は1回食べたら平気になったけどタガメとゲンゴロウはいまだにキツイ。固さとか羽とか口に入れた時の昆虫度がMAXすぎるのである。そのため、タガメサイダーのパッケージに書かれている “香る昆虫” という文字にはなんとも言えない気分になった。タガメは香らなくていい。
・見た目は普通のサイダー
とは言え、別にタガメがドボンと入っているわけではなく、タガメエキスが入っているだけで見た目は普通のサイダーだ。タガメエキスとは、おそらくタガメを噛んだ時に勢いよく噴き出した汁のことだろう。ああ、あの時泣きそうになったっけ。
もうこれ視覚情報いらないんじゃないだろうか? だって、昆虫食嫌いな人が “香る昆虫” ってワードを見て「買ってみよう!」とはならないでしょ。そして、昆虫食好きな人はそんなワードなくても買うと思う。このパッケージは誰に向かってアピールしてるんだ。
・夏
嫌がらせか? 嫌がらせなのか? ビビらせて笑ってるんだろ? パッケージに問いかけても答えは返ってこない。時がいつか2人をまた初めて会ったあの日のように導いたから、私は瓶に口をつけた。
同時に広がったのは意外にも爽やかな甘みだった。その味はまるで洋ナシのサイダー。後味に微妙な苦みを感じるが、これが “香る昆虫” なのかどうか分からない。ただフレッシュな清涼感が喉を駆け抜ける。綺麗な味してたんだね。知らなかったよ。何も言えなくて…夏。
入道雲は天高く、輝くビルに影を落とす。そんな日、タガメサイダーはまるで汗を流すシャワーのようにスッキリした味がした。
これぞまさしく初夏の味。昆虫食が苦手な人も味だけなら普通にウマイと感じるに違いない。ただし、昆虫は甲殻類と近い生物なのでアレルギーがある人は飲まない方が良いとのことなのでご注意を。
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.