ローソンから「生感覚」の新たなスイーツ・「生ブッセ」「生バウム」が誕生した──いや、「生感覚」ってなんだ。巷に「生チョコ」「生キャラメル」などのトロッとした食感を持つ「生」スイーツが溢れている。しかし、ブッセもバウムクーヘンもどちらかというと「パサッ」としてないか?

いまいち想像がつかない「生感覚」を掴むため、従来のものや最近ハヤりの「しっとり」系とも比較してみた。

・「生感覚」ってなんだ

2020年4月14日にローソンから発売された「生ブッセ(税込195円)」と「生バウム(税込165円)」。「生感覚」のヒントかのように、どちらのパッケージにも「生クリーム in 生地で ふんわり しっとり」と書かれている。

まずは「生ブッセ」の方からいただこうと、パッケージから取り出すと……ふわっふわだ〜! しっとりしている上に超ふわふわ、もはや「やわやわ」なため、崩壊してしまうのでは? と手に持つのをためらうレベル。この「やわやわ」感が「生感覚」なのだろうか。

「やわやわ」だが、そっと手に持ってみても崩壊したりはしなかった。しかも、生地を上から押してもフワ〜ッと元に戻ろうとするタフさを持っていた。綿みたいだ。しっとりふわふわだが、少しもっちりさも感じられる感触。


一方で、普通のブッセとして用意したセブンの「チーズブッセ(税込127円)」を同様に上から押してみると……押さえたところはすぐに潰れてしまい、元には戻らなかった。普通のブッセも軽くてフワフワしているが、表面がサクッと焼き上がっている上、中も弾力があるわけではないからだろう。

軽いどら焼きのようだな、と思いつつ「生ブッセ」を手に持ちかぶりついてみると、ふわふわしっとりの軽やかな生地の間に濃厚なクリームとカスタードが入っていた。しかもクリームの中にはチーズの小さなかたまりがコロコロ入っていて、美味しいだけでなく食感の違いが楽しい。そのせいか、普通のブッセよりもズッシリした食べ応えだった。


続いては「生バウム」。パッケージから取り出してみたが、従来のバウムクーヘンと見た目や持った感じはさほど変わりない。ややしっとりとしているかな、といった程度で、「生ブッセ」のように手にした時点で伝わってくるような従来品との明確な差はない。

同じくローソンで売られていた普通のバウムクーヘンと比較してみても、見た目からは違いがよく分からない。

食べてみると、手にしたときに感じた「ややしっとり」感が食感にも反映されていて、普通のバウムクーヘンを食べたときに感じる「ボソボソ」さをあまり感じない。「生クリーム in 生地」のせいだろうか、なめらかさとともにコクも感じられて美味しい。美味しいが……「生ブッセ」ほどの新しさを鮮烈に感じるほどではなかった。


・しっとりバウム戦国時代

「生バウム」が持つ「生感覚」は、しっとりとした食感のことか──などと思っていたら、ファミマで1種・セブンで3種の「しっとり」系バウムを発見した。実は筆者が流行に疎く知らなかっただけで、2019年2月にセブンから「しっとりバウムクーヘン(税込149円)が発売されたのを皮切りに、コンビニスイーツ界に「しっとりバウム」ブームが到来していたのだ。

「生バウム」が戦っている相手は普通のバウムではなく、これら「しっとりバウム」だったのでは? と思い、まずはコンビニスイーツ界の元祖「しっとりバウム」ともいえる、セブンの「しっとりバウムクーヘン」と比較してみる。

ローソンの「生バウム」とセブンの「しっとりバウムクーヘン」はほぼ同じぐらいのしっとり具合だが、セブンの方が若干しっとりしている。その差か、口どけの良さはセブンの「しっとりバウムクーヘン」、従来の「バウムクーヘンらしさ」に近い噛み心地を楽しめるのはローソンの「生バウム」の方だと感じた。


続いてはセブンの「金のしっとりバウムクーヘン(税込213円)」と比較してみる。卵の黄身の色合いだろうか、ローソンの「生バウム」よりも黄色味が強い。

しかし色合いは違うものの、「生バウム」と「金のしっとりバウムクーヘン」のしっとりさはほぼ互角。口どけにもほとんど差異が感じられなかったが、「生バウム」の方が甘味が強く、「金のしっとりバウムクーヘン」の方がバターの塩味が感じられた。しかし、どちらも普通のバウムクーヘンと「しっとり」感にそこまで大きな差異がないような……。


お次も同じくセブンの「エグロワイヤル使用 しっとりバウムクーヘン(税込181円)」。「生バウム」とも今までの「しっとりバウム」とも異なり、手にした時点で並々ならぬ潤いを感じる。

「生バウム」と「エグロワイヤル使用 しっとりバウムクーヘン」を比較すると、「エグロワイヤル使用 しっとりバウムクーヘン」のしっとりさが段違い。「生バウム」は従来のバウムクーヘンと変わらないのでは? と錯覚してしまうほどの「しっとり」さだった。


最後に比較するのはファミマの「冷やして食べる しっとり食感のバウム(税込158円)」。こちらも持った瞬間から伝わってくる「しっとり」感。というよりもはや「しっとり」を超えて「じっとり」している。

バウムクーヘンらしさが残る、ほんのりとした「しっとり」感の「生バウム」とは対照的に、「冷やして食べる しっとり食感のバウム」は口に含むとぐにゅ〜っと液状化していく感じだ。甘味もしっかりとしていて食べ応えはあるが、バウムクーヘンらしい柔らかさも楽しみたいのであれば「生バウム」かと思う。

しかし「しっとり」系バウムクーヘン、コンビニスイーツ界にこうも溢れていたとは。同じ「しっとり」と言えどそれぞれで全く異なるのが面白かった。


・結局「生感覚」とは

従来のものと明らかに異なるふわふわ・やわやわ感を持つ「生ブッセ」に対し、比較すればするほど迷宮入りしていく「生バウム」の「生感覚」

「生感覚」が感じられるかどうか、気になった方はぜひ。

参照元:ローソン「生ブッセ」「生バウム
Report:伊達彩香
Photo:RocketNews24.

▼本記事内で活躍したお皿は昔ローソンのスイーツを食べまくって貰ったものでした。日本刀な菓子切についてはこちらの記事をどうぞ!