東京都に緊急事態宣言が発令され3日が経過した。あくまで罰則のない “要請” であるにもかかわらず、多くの企業や人が外出を控えているように感じられる。特に緊急事態宣言から2日後の渋谷は、かつてないほどの静けさに包まれていた。ところが……。
結論から申し上げてしまうと、渋谷・新宿と並ぶ副都心のひとつ『池袋』は「ここだけ時空がねじ曲がっているのか?」と錯覚するほど自粛ムードはそこまで感じられなかった。そしてその理由は現段階でも定かではない。
・副都心の1つ
池袋駅を中心に、西武百貨店・東武百貨店・池袋パルコ・サンシャインシティ……などなど、巨大商業施設が数多く立ち並ぶ池袋。東口、西口ともに大規模な繁華街があり、池袋駅は8路線が乗り入れる巨大ターミナル駅だ。
近年は乙女ロードを中心に “オタクの街” として知られるようになる傍ら、休日の池袋は埼玉県方面を含むファミリー層でにぎわいを見せている。新宿や渋谷と比べると、肩ひじを張らなくていい優しい街、それが池袋だ。
・自粛ムードが漂っているかと思いきや
その池袋に到着したのは、緊急事態宣言が発令されてから3日が経過した正午のこと。恥ずかしながら「きっと池袋も渋谷くらいの自粛ムードなんでしょ?」なんて思っていたのだが、これが甘かった。いるのだ……普通に人がいるのだ。
“普通” と言うと語弊を与えてしまうかもしれないが、もちろん普段よりは人が少ないし、西武百貨店やサンシャインシティなど、巨大大型商業施設は全て臨時休業していた。シャッターを下ろしている店も少なくなく、特に企業の自粛ムードは大いに感じられた次第だ。
ただ、人はいる。意外といる。特徴的なのはビジネスマンと同じくらい私服姿の人たちが多いことで、これはほぼビジネスマンしかいなかった品川駅とは大きく違う。パット見、年齢層も20代~70代と幅広く「普段よりは空いてる池袋」くらいの印象しか受けなかった。
・なんだかんだで人がいた
あまりに人がいて驚いたので、交番のおまわりさんに「人、多くないですか?」と話しかけたところ「いつもよりは少ないですけどね。ただ、もう少しまばらになるかと思ってました。なんだかんだで人いますね……」と答えてくれた。そう、なんだかんだで池袋には結構な人がいたのだ。
冒頭でもお伝えした通り、その確固たる理由はわからないが、例えば渋谷駅周辺の喫煙所は全て封鎖されていたが、池袋駅周辺の喫煙所は平常運転。また、気合いを入れて出かける渋谷とは違い、普段の生活により馴染んだ池袋の風土が、この差を生んでいるのかもしれない。
多くの店が休業しているのにもかかわらず、果たしてあそこにいた人たちは何が目的で池袋に来たのだろうか? 端的に「自粛が甘い」もしくは「時空がねじ曲がっている」としか思えなかった。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.