ウマイもんには事欠かない食の都・大阪。串カツ、たこ焼き、お好み焼き……それら名物グルメに加えて、観光で訪れた際の食べ歩きラインナップにぜひ加えてほしい逸品「油かす」を今回は紹介しよう。
知らない人は損してると断言してもいいほど美味しい油かす。でも、そもそも油かすって何?
・牛ホルモンを油で揚げたもの
名前を聞いただけでは姿をイメージしにくいが、油かすとは一言でいうと牛ホルモンを素揚げした食べ物である。揚げることによって表面がカリカリとした食感になっており、通常のホルモンとは似て非なる食材なのだ。
大阪の南河内地方が発祥の食べ物とされており、そのまま食べるというよりはトッピングや隠し味として使われることが多い。また単に「かす」と呼ばれることもある。
そんな魅惑の「かすグルメ」の中から、代表的なものを紹介しよう。
・かすうどんはマスト
最もポピュラーなのが、うどんにトッピングする食べ方である。これをかすうどんと呼ぶ。
ご存知のとおり関西風うどんは関東のそれに比べて薄味だが、油かすをトッピングすることによって牛もつの濃厚なコクがスープに加わる。驚くほど味が変わるので、だまされたと思って一度食べてみて欲しい。
最近では新世界や道頓堀などの観光エリアにも、かすうどんを出す店が増えつつある。油かすの旨味をダイレクトに味わえる料理といえるので、まず初心者にはコレがオススメだ。
・お好み焼きにも!
うどんに続いてよく見かけるのが、お好み焼きだ。これも美味しい。「焼き」が入ることにより食感のクリスピーさが際立ち、汁物に合わせるのとは違った味が楽しめる。
ただしソース&マヨをぶっかけて食うので、うどんに比べると油かす自体の風味は少し希薄になる感もある。主役というよりもオプションというニュアンスが大きいといえよう。同じ系統の味付けとしては、たこ焼きや焼きそばと合わせるパターンもある。
他にも土手煮の要領で煮込んだり、もやしなどの野菜と炒めて提供される場合も。通常のホルモン同様、油かすもまた汎用性の高い食材なのだ。
・たまたま入った焼肉屋で
だいたい上記の通りなのだが、もうひとつ取材の帰りに見つけた油かすグルメがあるので最後に紹介したい。
それは心斎橋にある「龍の巣」という焼肉屋で提供されていた。店の前を通ると油かすの文字が目に入ったので、軽い気持ちで立ち寄ったのだが……
ここで注文した、かすとじ丼(600円)なる料理。要するにカツ丼のように油かすを卵でとじたものだが、これが結論からいうと今までに食べたことのない美味しさだった。
何と説明すればいいのか……ただでさえ濃厚な味の油かすに甘辛い割下が染み込み、噛みしめたときの「カリジュワ」感がすごいのだ。とっても「カリジュワ」で最高なのだ。
アホっぽくて恐縮だが、この味を表す言葉としては「カリジュワ」以外の表現が思い付かない。白米と合うことはいうまでもなく、究極の食べ方を発見した気がした。
これと同じメニューを出す店が他にもあるのかは分からないが、激しくオススメなので見かけた際は要チェックだ。調べたところ「龍の巣」は大阪以外にも店舗があるみたいだぞ。
今回紹介したように、基本的に他の料理に付加して食べられることの多い油かす。どうせ食事はするのだから、そこに油かすをトッピングしても胃袋を圧迫することはないはずだ。大阪で食べ歩きの際は、ぜひ油かすをお忘れなく!
・今回紹介したお店の情報(かすとじ丼を食べたお店)
店名 龍の巣 心斎橋本店(他にも店舗あり)
住所 大阪市中央区心斎橋筋2-7-11 日宝ロイヤルビル1F
時間 18時~翌6時
休日 無休