皆さんは「ゴーストレストラン」という単語を聞いたことがあるだろうか。オンラインデリバリーに特化した、実店舗を持たない飲食店のことである。そうと知らなければディズニーハロウィンの新アトラクションと勘違いしてしまいそうなこのサービス形態が、近ごろ注目を集めているらしい。
そして去る2019年12月には、Uber Eats(ウーバーイーツ)で注文可能な「唐揚げ専門ゴーストレストラン」が新たにオープンしたのだとか。都内であれば自宅やオフィスで本格唐揚げが楽しめるという触れ込みに惹かれ、唐揚げジャンキーの筆者はさっそく利用してみることにした。
そのお店「からあげ専門店 あげたて」は、中野店、東長崎店、板橋店、江戸川橋店の計4店舗を展開しており、それぞれの周辺地域が配達可能エリアとなっている。
メニュー表にはスタンダードな醤油味の「からあげ」に加え、「タルタルチキン南蛮」や「自家製たれの油淋鶏(ユーリンチー)」などが揃っているが、中でも気になったのは「からあげグランプリ」で金賞を受賞したという手羽先「やじてば」だ。
説明書きでは「伝説の手羽先」とも謳われており、かなり期待が持てる。個人的にこの世で最も好きな賞レースが「からあげグランプリ」ということもあり、今回は手羽先の3本入り(700円)と醤油唐揚げの5個入り(750円)を注文することにした。
自宅からスマホでオーダー後、約30分で唐揚げが到着。唐揚げ好きからすれば、もうこの時点で感動がすごい。人類の最終到達点ではないかと思ってしまう。便利な世の中になったものだ。
ともあれ、まずは醤油唐揚げの容器を開けてみたところ、食欲をそそる茶色い姿がお目見えした。
と同時に箸でつかむ。
そして食らいつく。
唐揚げを前にすると自制が利かなくなる。まして出来立てで熱々のものとなればなおさらだ。熱い温度とともに、口の中にジューシーな醤油味が広がっていく。にんにくの風味も感じ取れ、サクサクの衣に包まれたパンチのある味わいがたまらない。
味付けも揚がり具合も高クオリティだ。他の唐揚げ店のそれと遜色ない。あとこれは個人の感想だが、自分で作ることもせず外に出ることもなく労せずして手に入れた唐揚げというのは一際美味しく感じる。スマホが唐揚げ生成器に見えてきた。
続いて期待の手羽先の方にかじりついてみると、醤油唐揚げ以上のインパクトに見舞われた。甘辛いタレが塗ってあるのだが、これが驚くほど抜群に美味しい。
甘すぎず塩辛すぎない絶妙なテイストがパリパリの皮と組み合わさり、味わった者をどこまでも引きずり込む魅力を生んでいる。初めてこんなに奥深い味の手羽先を食べた。シェフを呼んでくれと言いたくなったが、自宅にむなしく響くだけなので何とか堪えた。
2品ともぺろりと平らげてしまったので総括すると、初めての「唐揚げ専門ゴーストレストラン」体験は満足度の高い結果に終わったと言えよう。欲を言えば価格がもう少し抑えめだと嬉しいが、これだけのものをお手軽に食べられるなら、財布のヒモも緩めざるをえない。
今回頼んだメニュー以外にも、ご飯がセットになった弁当や個数のバリエーションも用意されているので、また機会があればぜひ利用したいところだ。「幽霊」という名前とは真逆の、温かな親しみやすさを覚えるお店だった。
参照元:からあげ専門店「あげたて」東長崎店
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.