非常に個人的な話で恐縮だが、私(佐藤)は老舗パン屋というと、「銀座木村家」がまず最初に頭に浮かぶ。というのは、かれこれ10年くらい前に銀座本店の近くのレストランで働いていたことがあり、本店にパンを取りに行くことが日課だったからだ。あの白地にオレンジ色の線の入った紙袋を見ると、つい思い出がよみがえってしまう。

その紙袋を、伊勢丹新宿店で目撃した! 伊勢丹の木村家で、あの紙袋に入った福袋を発見してしまったのだ。これは買わない訳にはいかない。ということで、購入してみたぞ! 販売価格は1500円だ。

・木村家の福袋の中身

明治天皇にあんぱんを献上していた木村家だ。福袋とはいえ、突飛なモノを入れている訳ではない。中身は看板商品のあんぱんをはじめとするパンのみである。


1袋で5つの味を楽しめる「季節五色あんぱん」。桜・小倉・あまおう苺・みつ姫安納芋・ふじりんごの5種類である。


発酵種を長時間熟成させたという「完熟食パン(6枚切)」


スイートな生地の上にサクサクのビスケットをのせて仕上げたという「メロンパン」


蒸しパンに洋菓子の要素を加えた木村家の独自商品「蒸しケーキ」


・あんバターホイップの美味さについて

そして何より忘れてはいけないのが、「あんバターホイップ」だ。もしも木村家のあんバターホイップを知らないという人がいたら、ぜひ一度食べてみて欲しい。わざわざ福袋を買ってまで食えとは言わない。いやむしろ、福袋なんかどうだっていい! とりあえず、食ってみてくれ、あんバターホイップを。


「あんバター」といえば、大体味の予想がつくはずである。たとえばコメダ珈琲の小倉トーストに代表されるように、あんことバターの組み合わせは美味いに決まっている。そのバターをホイップしてしまうのが、木村家の貪欲さだ。ただのあんバターでは済まさない! もっと美味くしてやる!! その静かな決意が感じられる


実際食ってみるとわかるはずだ。表面はカリっとしたフランスパンのその奥から、つぶあんの甘さとホイップバターのコクが感じられる。柔らかなホイップバターの口当たりは、得も言われぬのである。


福袋はとりあえず置いておいて、まずは木村家のあんバターホイップを食べてみてくれ。話はそれからだ。現場からは以上である。


Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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