700円、それは高すぎず安すぎない金額である。昼食に使うには、少々奮発している感のある微妙な価格だ。これまでに持ち帰り弁当とハンバーガーチェーンでコストパフォーマンスについて検証したが、今回は牛丼チェーンで比較してみたいと思う。
吉野家・松屋・すき家の3チェーンで、700円で買えるメニューの組み合わせを比較して、もっとも “整って” いるのはどこなのか? 比べてみたところ、興味深い結果を得ることができた。
・価格の変動が激しい
牛丼チェーンはハンバーガーチェーンと同じく、キャンペーンを頻発するので、コスパを見極めるのは非常に難しい。時期によって価格の変動があり、ある時はA社がお得。またある時はB社がお得といった具合に、タイミングによって異なってくる。今回もそのワナにハマった可能性がある。それも考慮して、本稿を参考にして頂きたい。
なお、今回はできるだけ公平を期すために、牛丼並盛は必ず購入するものとしている。
・吉野家
吉野家は最近、フィットネスグループの「ライザップ」と提携して、ご飯の入っていない商品「ライザップ牛サラダ」を提供している。当編集部でも絶大な人気を誇る商品だ。今回購入したのは……。
牛丼並盛(380円) + 牛小鉢(180円) + ごぼうサラダ(140円)
今回の3社検証で、並盛を購入する条件のなかでちょうど700円になったのは吉野家だけだ。牛丼に180円で肉(牛小鉢)を追加できるのはうれしい。ちなみに松屋は牛皿並盛が240円、すき家は牛皿のミニが220円なので、200円を切る価格で肉をプラスできるのは吉野家だけである。
牛小鉢を牛丼の上に乗せれば、アタマの大盛りの完成だ。
肉も野菜もしっかり食べられる点において、この組み合わせはポイントが高い。
・松屋
松屋の組み合わせを紹介する前に、私(佐藤)はひとつ見落としていた点があることをお伝えしなければならない。松屋には通常の牛めし(並盛320円)とプレミアム牛めし(並盛380円)がある。
当初通常の牛めしを軸にして、組み合わせを考えていた。牛めし+創業カレー(並盛370円)、松屋らしい組み合わせだと考えていたのだが、店舗に行ってプレミアム牛めしがメニューにないことに気が付いた。実は関東地方の店舗では、プレミアム牛めししか販売していないのである。その構想は崩れ、次の組み合わせになってしまった。
プレミアム牛めし(並盛380円) + プレミアム牛皿(並盛300円)
肉 + 肉 のパワータッグになってしまった。できれば、これにサラダをつけたいところだったが、残念ながらその願いは叶わなかった。並盛に牛皿を乗せると、ボリューム満点! アタマの大盛りを超えるスタミナめしが出来上がった。
これからの季節にガッツリ食いたいときに、最良の組み合わせかもしれない。
・すき家
最後にすき家だ。すき家は今回の検証でもっとも品数が多かった。というのも、セットメニューが充実しており、なおかつ期間限定で今回注文した「とん汁おしんこセット」が通常250円ところを200円で提供していたのである。冒頭とお伝えした通り、今の時期はすき家がコスパ的に有利となってしまった。購入した商品は以下の通りだ。
牛丼(350円) + とん汁おしんこセット(200円(期間限定価格)) + サラダ(140円)
500円でとん汁とおしんこまで付いてくるのは、かなりコストパフォーマンスが高い。通常価格でも並盛 + とん汁 + おしんこで550円だから、低価格競争ではすき家が頭1つ抜けているといっても大げさではないだろう。
その気になれば、700円以内でデザートまで用意できるところがすき家の強いところではないだろうか。
・まとめ
牛丼並盛の価格は、吉野家・松屋が380円、すき家が350円となっている。安さだけを見れば、すき家に分がある。今回のコスパ検証でも品数と考えると、すき家圧勝の感はある。だが、吉野家・松屋は顧客のニーズをうまく汲み取り、魅力的なメニューの開発に努めている印象がある。実際先に挙げた吉野家はライザップ牛サラダ、松屋は「ゴロゴロチキンカレー」などで利用客を惹きつけている。
すき家には残念ながらコレといった魅力的メニューが乏しい気がする。メニュー自体は豊富なのに、看板になりそうなヒット商品がない。そうなると、やはりこのまま低価格路線を歩まざるを得ない状況が続きそうだ。いずれにしても三者(社)三様、それぞれの特色の出た検証ではないだろうか。
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24