皆様に情報をお伝えするうえで「絶対」や「誰もが」という表現は基本的にNGとされる。なぜならそう感じない人もいるからだ。しかし「鳥取でおすすめの寿司屋は?」という質問に関しては県民100人中全員……いや、99人がこう答えると言っていい気がする。「北海道だ」と。
……やっぱり怖いから98人にしておこう。生まれも育ちも鳥取の私と、少なくとも私の周りの鳥取県民の意見は「北海道だ」で一致しているので思い切って言ってみた。「飛行機で北海道行きゃ確実」というブラックジョークではなくズバリ『北海道』という店名なのだ。
県内に4店舗をかまえる『北海道』は県民にとってあまりにもメジャーなため、「なぜ鳥取なのに北海道なのか」という根本的な疑問を私はそもそも抱かずに成長してしまった。今さらながら謎を解明するため、通い慣れた『北海道 河北店』へ行ってきた。
・行列が当たり前
平日だろうが店内は満席が基本。人混みと待つことが苦手な鳥取県民は、一定以上混んでいるとすぐに諦めて帰りがちだ。そのため空席を待つ客が途切れることは少ないが、待ったとしてもせいぜい30分くらいである! ほどよい! 全然待てる!
いかにも「この道ひとすじ」といった風格の店長・田原さんに、さっそく「なぜ北海道なのか」と質問をぶつけてみた。
──なぜ北海道なんですか?
「うちの社長は鳥取出身なんですが北海道で修行をした経緯がありまして、北海道に敬意を表する意味で店名を『北海道』にしたんです」
──なるほど。
「それに「北海道」って覚えやすいでしょう? 「北海道」を知らない人っていますか? いませんよね?」
──……たしかに、「北海道」を知らない人はいませんよね。
「親しみがある店名だと思っております」
──北海道産のネタもあるんですか?
「以前は北海道のネタも揃えていたんですが……近くで新鮮な魚がたくさん獲れますからね! 今は鳥取産のネタでご好評いただいております」
──なるほど。
・人気ランキングをきいといた
思いのほか北海道との関係は薄めだった『北海道』。その人気寿司ネタトップ5も田原店長にきいてみたぞ!
1位:サーモン
2位:中トロ
3位:炙りトロサーモン
4位:炙り三昧(3貫盛り)
5位:アジ
ムムッ! なんと5皿中3皿にサーモンが含まれているという結果に。サーモン強し! ……が、このラインアップは県民としてチョッピリ不本意だ。サーモンはもちろんおいしいけれど、これでは鳥取感が薄い。むしろここへきて北海道感が増してしまった。
ちなみに日本海の海の幸で育った私が『旬のおすすめ』メニューを参考に、独断でチョイスしたこの時期のオススメはコチラ。
今夏も日本海のセンターはイサキでキマリだろう。炙るとシャリがギトギトになるくらい脂が乗りまくっている。
店内の生簀(いけす)から取り出しその場でさばいたサザエ……マズい理由のあろうはずがない。
マグロも外せない。そのへんのマグロと同じマグロ呼ばわりするのが失礼に思える濃厚な味わい!
そして平凡だけど一番のオススメは、なんだかんだアジである。この味を東京でもアジわえたなら……!
・おいしい、楽しい、リーズナブル
一般的なチェーン店と比較して1.5〜2倍の大きさがある北海道の寿司は、女性だと5皿で満腹になるほどのボリュームだ。平均すれば1皿200円ほどと若干値が張るものの「結局のところお会計はチェーン店と変わらない」というのは県民の総意であると田原店長もうなずく。
「数年前、地元にチェーンの寿司店が進出してきた時はどうなることかと思いました。しかし初月こそ売上げがガクッと落ちたものの、翌月からは元に戻ったので安心しましたよ。お客さんの顔ぶれは開店当時から変わりません」
鳥取へ来てくれた観光客に「おいしい海鮮が食べたい」と尋ねられた時、私は自信を持って「北海道へ行け」と答えることにしている。回転寿司と侮るなかれ……銀座で回らない寿司を食べてみたこともあるが遜色なかったぞ!
タッチパネルの代わりに店員さんが笑顔でオーダーをきいてくれ、目の前でプチ解体ショーが見られるのも地方ならではの嬉しいオプションである。鳥取県民が通いつめる北海道はわざわざ訪れてみる価値アリだ!
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 回転すし北海道 河北店
住所 鳥取県倉吉市清谷町2-90
営業時間 11:30〜22:00(ラストオーダー21:45)
定休日 なし
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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