主人公を思いのまま操り、うまく行けばクリア! しかし失敗したらバッドエンドに……。
ゲームの話かって? いえいえ、Netflixによる、れっきとした映像作品の話です。
Netflixは、ただでさえ良質なコンテンツが豊富にあるのに、ちまたの映画やドラマをしのぐほどの面白いオリジナル作品を次から次へと連発するのだが、その副作用とも言うべきか、傑作がユーザーに知れ渡る前に埋もれてしまいがちだ。今回はそんな傑作の一つを紹介したい。
・冒険の成功は、視聴者(あなた)次第!
今回、紹介するのは2019年4月10日から配信が開始されたNetflixのインタラクティブ作品『You vs. Wild(ユー・ヴァーサス・ワイルド)-究極のサバイバル術-』だ。主人公は冒険家のベア・グリルスという男で、毎回ジャングルや雪山、砂漠など、さまざまな大自然を舞台にサバイバルを繰り広げるのだ。
作品名の前に “インタラクティブ作品” とあるが、コレは簡単に説明すると視聴者が主人公の行動やストーリー展開を決めることができる作品のことだ。例えば『You vs. Wild』で言うと、主人公のベアが冒険の最中に障害や困難と直面すると、視聴者に2択を迫ってくる。
「川を進む? それとも、ジャングルに入る?」
「谷を綱渡りする? それとも、ロープで降りる?」
「オオカミと闘う? それとも、逃げる?」
「崖を登る? それとも、飛びおりる?」
……と、こんな具合に2択を突きつけられるのと同時に、画面の下に2つのボタンが現れるので、視聴者がいずれかをタップ(クリック)すると、主人公が「お、そっちを選んだか。オーケー、それじゃあやってみよう」と応答し、視聴者が選んだ選択肢を実行するのだ。
選んだ選択肢によって、その後のストーリーは分岐されてゆくのだが、中には「悪い結果」を招く選択肢もまぎれている。万が一、 “誤った選択” をすると主人公のベアは……
「……ダメだ。これ以上は進めない。さっきのアレは、誤った選択だったな」
と、落胆した視線をカメラ=画面越しの視聴者に向けてくる。そして、視聴者は “誤った選択” をした分岐点までストーリーを強制的に戻され、冒険の再チャレンジをさせられる。つまり、主人公の冒険が成功するかどうかは、視聴者次第ということだ!
・ゲームのような「やりこみ要素」と「アクション」
再チャレンジで無事にクリアしたら、次のエピソードに進むも良し。あるいは同じ冒険の “2周目” に入り、1周目では選ばなかった選択肢をあえて選んで違うシナリオを歩むのも良し。もしくは、ノーミス最短距離クリアを狙うのもいいだろう。……と、まるでゲームのような「やり込み要素」があるのが、この作品の醍醐味なのだ!
さらに見どころの一つは、主人公・ベアによる体を張ったアクションだ。ヘリコプターからスカイダイビングをしたり、パラグライディングをしたり、手作りの武器で野生動物と闘ったりと、一般人では考えられないようなハチャメチャな行動を毎回実行するのだが、多くの場合は行動を起こす前に「やる? やらない?」と視聴者に判断をゆだねてくる。
中でも印象的だったのは、ベアが「ウンコを食べるか、否か」という2択を迫ってきたときだ。
・伝説の2択「ウンコ食べる? 食べない?」
「ウンコを食べるってどういう状況だよ」という人のために解説をすると、このベアという男は冒険をしていると突然「エネルギー補給が必要だ!」とかいって、大自然の中から食料となるものを調達してくるのだ。
食料といっても『昆虫の幼虫』とか『野鳥の卵』とか『樹皮』とか、フツーならまず食べないモノばかりなのだが、大自然でサバイバルする場合はそういうのも立派な食料となり、貴重なエネルギー源になるということだろう。
それは理解できるのだが、雪山を冒険する回で主人公のベアは何を思ったか、岩陰から『凍ったクマのウンコ』を発見し、そのウンコの中から消化不良の『木の実』をほじくり出すとカメラに向かって……
「……見ろ、ナッツ(木の実)だ! コレは食えるぞ、立派な食料だ~!」
……と誇らしげに言ってくるのだが、「いやいや、ベアよ。それウンコだから(笑)」とツッコまずにはいられなかった。だってそうでしょう? 肛門を通って出てきたウンコから取り出したのが木の実だろうがトリュフだろうが、それはどう考えても『ウンコ』です。本当にありがとうございました。
とにかく、主人公のベアが私(視聴者)に2択で迫ってくるのだ。「どうする、このウンコ食べた方がいい? それとも他のモノを探した方がいいかな? 決めてくれ」と。
そんな2択を突きつけられた私は「エーー、困るヨ~」……などとは迷わずに秒速で『ウンコ』を選ぶ。だって自分が食べるわけじゃあないからね。
かくして、見知らぬ東洋人(私)からウンコを食べるよう命じられたベアだが、実際に口にしたときの様子といったら抱腹絶倒。その模様は(興味があれば)ぜひご自身の目で確かめてほしい。
You can make Bear Grylls eat poo in Netflix's interactive show – Mirror 🤮 https://t.co/l6RirFerVe
— Bear Grylls OBE (@BearGrylls) April 19, 2019
……と、話はやや脱線してしまったが、つまり『You vs. Wild』は、壮大な大自然あり、野生動物あり、命がけのアクションあり、グルメ(?)あり、笑いあり! しかもそのストーリーの行方は視聴者自身が選び、ハッピーエンドへと導いてゆくという、これまでになかったエンターテインメント作品なのだ!
・注目のインタラクティブ作品、日本も製作を!
ただボーっと眺めるだけの映像ではなく “視聴者参加型” とも言える「インタラクティブ作品」は、普通の映画やテレビとはまた違った楽しさのあるジャンルだ。Netflixには今回ご紹介した『You vs. Wild』の他にも「インタラクティブ作品」がいくつかあるので、気になった方は視聴してみてはいかがだろうか。
あと、日本のお笑い芸人や、サバイバル能力が高いことで知られるテレビ朝日の “ナスD” さんで「インタラクティブ作品」を作ったら世界レベルで面白い作品ができるんじゃあないか!? と個人的に思った次第だ。日本でもぜひ「インタラクティブ作品」をNetflixで作ってくれ~!
参考リンク:Netflix『You vs. Wild』
執筆:ショーン
Photo:Courtesy of Netflix / RocketNews24.
▼Netflix Japanが公開している予告編
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— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) April 10, 2019