『UFOチキンフォンデュ』という食べ物をご存知だろうか? おそらく多くの読者にとっては初めて耳にする言葉に違いないと思う。初めてだと信じたい。どうか初めてであってほしい。ちなみに私は知らなかった。

仮にもニュースサイトのライターでありながら流行に疎いという致命的な弱点を持つ私は、先輩ライターさんたちの情報収集力をいつも脅威に感じている。『UFOチキンフォンデュ』はそんな私が幸運にも偶然発見した韓国グルメのニューカマーなのである。

みんなが大好きなチキンとチーズとUFOの合わせ技……これは流行る予感しかしない!

・UFOチキンフォンデュとは

場所は新大久保。韓国料理店の看板にデーンと書かれた『UFOチキンフォンデュ』は、よく観察すると他にも多くの店で提供されているようだ。このエリアではすでに流行っているとみていいのかもしれない。

看板を見るかぎり、丸い容器中央のチーズを囲むようにフライドチキンっぽいものが配置された料理らしい。「UFO」の名はその形状からきているのではと推測されるが、食べてみれば他にもUFO要素がある可能性は否定できない。

また、名称についてだが、『UFOチキンフォンデュ』『UFOフォンデュ』『UFOチーズボンチキン』など店によって若干呼び名が違う。しかし、写真の雰囲気からすると同じ料理とみてよさそうである。

見た目は似ていても『チーズチキン』など “UFO” の文字が抜けたものに関しては、ひとくくりにしてよいか悩むところだ。

同じ「チーズとチキン」であったとしても『チーズ鶏カルビ』『ヌンコッコプチャン』くらい違ってくれば、さすがに別料理と定義するべきだろう。

近年、たてつづけに新大久保発のチーズのグルメが大流行している。UFOチキンフォンデュは果たしてチーズドッグ、ハットグに次ぐスターグルメとなるのだろうか?


・さっそく行列に並んでみた
新大久保駅から徒歩3分。ビル2階にある『Goobne Chicken(グッネチキン)』の新大久保本店をランチタイム(平日)にのぞいてみると、1階にまで続く大行列だ。時間をずらして16時に行ったら15分待ちで入店できた。

韓国で人気のチェーン店と知り、「あんまり新しい情報じゃないのかな?」と不安になったが、入店してみると客のほぼ全員が20歳前後の若い女子だったのでホッとした。おそらく今のところ、年長者と男子にはあまり知られていなさそうだ。

1人前で8個ついてくるチキンの味は10種類から2つ選べる。この日は初めてなのでスタンダードな「オリジナル」と一番辛い「ボルケーノ」をチョイスした。2人前で2580円(税抜)。2人前注文するなら1人で来ても入店できるそうなので、友達がいなくても大丈夫。

そして運ばれてきた品は……

下に置かれたコンロが見えぬほどのサイズ! 存在感! この時点ですでにSNS映えに関してはかなりの高得点といえるだろう。UFOの正体は丸型の鉄板だったらしい。


シュレッダーチーズが炎で少しずつ溶けてゆき、なんともいい匂いである。


「チーズはスタッフが混ぜに来るので触らないで」という注意書きに従ってじっと10分ほど待つ。隣席の外国人客を見るとかなり早めに自分で混ぜてしまっているようだ。しかし別に注意されている様子もなかったので、どちらでもいいのかもしれない。

トロットロに溶けたチーズはますますSNS映えしそう!


・撮影はほどほどにしましょう

食べる前にまず絵になる写真を撮ろうとしてみる。しかし、やってみるとコレがなかなか上手くいかない。

イメージでは「チーズが勝手にチキンにまとわりついてくる」はずだったのだが……実際には「頑張ってチキンにチーズを乗っけている」感じである。おまけに赤いタレがチーズと混ざり、やればやるほどチーズが汚くなっていく。


奮闘すること3分……なんと早くもチーズが固まりはじめたではないか。


残念ながらこれ以上の撮影はあまり意味がなさそうだ。私は潔くチキンを食べることにした。うん。ウマい。特に『ボルケーノ』のほう。照り焼きのような感じで日本人好みだ。さすが韓国からやってきただけのことはあってほどよい異国の風味がする。

と、いうことももちろんあるが、何よりやっぱりトロトロのチーズは理屈抜きでウマい!

唯一惜しかったのは「3段階で1番辛い」というほどには辛くなかったことである。辛さが苦手でない人は、迷わず「ボルケーノ」をチョイスするのがオススメだ!

・時間との戦い

チキン8本といっても骨のついた部位なので、ひと口目の段階ではペロッとイケそうな気がした。しかし濃厚なチキンとチーズの組み合わせはかなり胃にこたえ、私の場合は2本目から1口ごとに休憩を要するハメに。

すると10分ほどで「おこげ」ができはじめ……

ほどなくしてチーズの油がかなり分離してくる。

最後にはチーズが完全に固まってしまった。

・チーズの命は短い

冷めて固まったチーズもそれなりにおいしい。でもやっぱり熱々トロトロのほうが私は好きだ。そして、チーズが熱々でいられる時間は思った以上に短いのであった。

一般的なチーズフォンデュが長時間トロトロのまま楽しめるのは、牛乳やワインなどの液体が多く混ぜられているからだ。「チーズ」といっても実際にはシチューとの中間のような感じである。

それに比べて『UFOチキンフォンデュ』は正真正銘チーズのみで勝負している。おいしさと引き換えに短い生涯を選んだワケだ。おしゃべりもそこそこに若い女子たちが一心不乱にチキンをかじっているのは、その潔い心意気が支持されているからなのかもしれない。

注文した瞬間からカウントダウンは始まっている。写真を1枚だけ撮った後はモタモタせずに食うべし!

・今回ご紹介したお店の詳細データ

施設名 Goobne Chicken 新大久保店
住所 東京都新宿区大久保 2-32-1 2F
時間 11:00〜24:00
休日 無休

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼お店へつながる階段。休日は大行列必至

▼韓国風味の『ボルケーノ』

▼クセのない『スタンダード』

日本、〒169-0072 東京都新宿区大久保2丁目32−1