諸君、いよいよである。来たる2019年4月19日、いよいよ映画『キングダム』が公開される。実写化に懐疑的な原作ファンも、ここまできたら全てを受け入れるしかあるまい! というわけで、公開前のマスコミ向け試写会に行ってきたぞ。

先に言っておくと、今回の我々はガチである。これから数日にわたり、編集部の熱烈なキングダムファン4名がそれぞれ1本ずつ渾身のレビュー記事を投下していくという、あまりにも異様な熱量を帯びた特別企画をお送りしていく所存だ。先鋒はこの私、あひるねこが推して参る!

・一足早く見てきた

4月某日。編集部のサンジュン、和才、原田、そして私は、東京・日比谷にいた。映画『キングダム』のマスコミ向け試写会に参加するためである。というか……先ほどすでに見てきた。

・原作ファンの目線

原作の原泰久先生が脚本にガッツリ参加し、本物の画を求め中国での撮影をも敢行したという本作。非常にお金のかかった壮大なスケールの作品であることは言うまでもないが、原作ファン的には「ぶっちゃけどうなの?」という疑問があったのも事実。

では、つまらなかったのか? 結論から言うと、思っていたよりもだいぶ良かった。世界観といいキャラの再現度といいアクションといい、そのどれもが高い水準で実現しており、少なくともこの作品がファンから酷評されることはないだろう。やっぱキングダムって最初から面白かったんだよなぁと、改めて気付かされた思いだ。

・ガチレビュー

さあここからは、映画を見た私の所感をファルファルっと述べていきたい。まずは嬴政(えいせい)を演じた吉沢亮さんだが、これがマジで政だった! 冷静な言動の中にも確固とした熱い情熱が見え隠れし、それでいてあの高貴な佇まい。目が完全に政だったぞ。

・王騎は大丈夫か問題

そして誰もが気になるであろう、大沢たかおさん演じる王騎(おうき)。私は、かなり頑張ったと思う。体つきなんてほぼレスラーで、本人の努力がひしひしと伝わってくるかのようだった。しかし、もしかすると人によっては……若干笑いが漏れるかもしれない。でもこれは仕方のないことでもある。だって王騎ですもの。ンフゥ♡

個人的に上手いと感じたのが、満島真之介さん演じる壁(へき)だ。壁なのにイケメンすぎだろ! と思いきや、壁から漂う そこはかとない頼りなさを、さりげない演技で表現していたのはさすがである。ワーストは橋本環奈さんの河了貂(かりょうてん)かな。

・複雑な気持ちも

さりげなく爆弾を投下しつつ、やはり主人公・信(しん)を演じた山崎賢人さんには触れておかねばならないだろう。山崎さんの信は正直……よかった。ガリガリなのに筋肉質な肉体や、ゴツゴツとした力強いアクションシーンからは、原作初期の信らしさが大いに感じられた。

ただ、これは山崎さんだけに限らないが、青筋立てて叫ぶような演技があまりにも多すぎるのでは? そういった演出は、本来ならばここぞ! という時のみ使われるべきだろう。例えば政が後半、味方に檄(げき)を飛ばすシーンなどがそれだ。「ザ・邦画」とでも呼ぶべき特異な文化が、気にならなかったと言えば嘘になる。

・最強は山の王

まあそんな具合にワーワー言ってきましたが、ぶっちぎりのMVPを挙げるとすれば、それは長澤まさみさん演じる楊端和(ようたんわ)の脚ではないか。もはや優勝、と断言するのもやぶさかではない。事実、試写中に私は「死王! 死王!!」と叫びそうになった。

山の民を率いる楊端和が馬に乗っているシーンの時点ですでに予感はあったが、いよいよ城内での戦闘が始まると、視線は死王の太ももから下へ集中することを余儀なくされる。楊端和がまとう強キャラオーラを見事に演じきった長澤さんにも拍手だ。

・ありがとう

要所要所でややコスプレイヤーに見えたり、山崎さんや他の戦士たちに比べてアクションがモッサリとしてはいたものの、すべての原作ファンを納得させるだけの説得力が長澤さん、そして長澤さんの脚にはあったと言わざるを得まい。山の民が夢中になるわけである。

・見る価値あり

途中、苦言を呈するような部分もあったが、個人的には楊端和の脚で全てが許されたというか、むしろ万感の思いで終演後は涙が頬(ほお)を濡らした。キングダムファンならば見て損はないと心から断言しよう。ありがとう死王、ありがとう楊端和。あなたになら血祭りにされるのも本望である。

参照元:キングダム
Report:あひるねこ
Photo:(c)原泰久 / 集英社、(c)2019映画「キングダム」製作委員会