鮮魚の王者マグロ。刺身や寿司など、生魚を使った料理が重要視される日本料理においても主役と言えるだろう。日本料理を愛する私(中澤)はマグロが大好きである。
ある日、浅草を歩いていると「まぐろそば」という看板が目に飛び込んで来た。ファ!? まぐろそばって何じゃい!? 気になったので飛び込んでみたところ……めっちゃマグロ!
・仲見世裏ステージ
ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ち食いそば放浪記」。と言っておきながら、今回の店は立ち食いそば屋ではないのだが、かつて佐賀県山奥の秘境そば屋『木漏れ日』を紹介したこともあるし、寛大な心でお付き合いいただければと思う。
さて、話を戻すと、今回の店「まぐろそば浅草本店」があるのは仲見世の裏通り。1本通りを入っただけで喧騒は遠く、そこはかとなく裏ステージ感が漂っている。
・食べてみよう
入店してみるとカウンターから廊下を挟んで半個室の席が並んでいた。さっそく、席につき「まぐろそば」(税込1300円)を注文。
ざるそばと小鉢に入ったマグロがセットで運ばれてくる。「まぐろそば」とは、単にまぐろとそばのセットというだけなのだろうか? まずは、そばを食べてみたところ……
ウマイ! ひと噛みするごとに香ばしいそばの風味が口に広がり、ツルツルとのどを通っていく。とても歯切れの良い麺だ。
・出汁の謎
そんな麺に絡む濃厚な旨みのあるつゆがまた絶品! しかし、この出汁は何だろう? 舌の奥に染み入るような強烈な旨みがあるがカツオの風味ではないような気がする。そこで、社長の宇田川さんに話を聞いてみた。これって何で出汁を取ってるんですか?
宇田川さん「マグロです」
──なんと! 出汁もマグロなんですか。まさに『まぐろそば』ですね。しかし、なぜマグロとそばを合わせようと思ったんですか?
宇田川さん「私は元々マグロの卸(おろし)をやっていたんですね。スーパーマーケットだけでも150軒くらい相手にしてたかな。でも、体を壊してできなくなってしまって。
そんな時に、ちょうどそば屋に勤めてた今の店長が定年になり『新しくそば屋をしたい』という話を聞きまして。よく知っている人だし手伝わせてもらおうか……と。そこで、私はマグロ、店長はそばで合わせたら他にないものが作れるんじゃないかと」
──まず人ありきの発想だったんですね。確かにこのそばの味には凄くオリジナリティーがあります。マグロがそばの味にこんなにマッチするとは知りませんでした。
宇田川さん「今の味にたどり着くのに1年くらい試行錯誤しましたね(笑)」
──とのこと。マグロは「黒いダイヤ」と呼ばれる大間マグロ、そばは100%北海道の新得そばを使用しているのだとか。これは1300円安いな。
・追いマグロ
なお、まぐろそばを食べる際は、つゆのみでひと口食べた後、小鉢のマグロで追いマグロして食べるのがスタンダードな楽しみ方なのだとか。実際、追いマグロして食べてみたところ……
ウンマァァァアアア! マグロの旨味がふんだんにつゆに染み出し口に溶けだしていく。マグロをそのまま食べるよりも深いマグロの味……まるで舌がマグロになったみたいだ!!
・震える
この味の変化、もはや変身! 1段階ごとにパワーがはるかに増しているッ……!! 店内に置かれた「まぐろそばの召し上がり方」によるとあと3段階味が変身するようだ。フリーザかよ! 恐ろしさと絶望に涙すら流しそうなレベル。
全く新しいマグロの味わい方が楽しめるこの店。そば好きだけではなくマグロ好きにもオススメだ。マグロを愛するあなたは、まぐろそばの真の姿に心の底から震えあがれ!
・今回紹介した店舗の情報
店名 まぐろそば 浅草本店
住所 東京都台東区浅草1-31-3
営業時間 11:00~21:00
定休日 水
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼そばを味わう際追いマグロは残す
▼そば湯を入れると……
▼マグロが湯通しのようになる
▼その他のメニュー
▼蕎麦の身餃子などそばを使った創作メニューも
▼店内の様子
▼店長さん
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]