今年の渋谷ハロウィンは、例年にも増して荒れに荒れた。本来であれば10月31日の催しだというのに、前週末の27日夜から翌日の未明にかけて渋谷駅前交差点では大騒ぎが続き、逮捕者が出る始末。参加していた人たちのことを「暴徒」と報じるメディアも少なくない。
この状況を、ハロウィンに慣れ親しんだ外国人はどう見ているのか? 在日アメリカ人に意見を求めたところ、さすがに呆れている。それどころか怒りさえ感じている様子だ。これは怒りを買ってもムリはないかも……。
・アメリカ人はどう見たか?
当サイト英語版(soranews24.com)ライターのケーシーさんに、今回の渋谷の騒動について率直な意見を求めたところ、以下の内容が返ってきた。
・渋谷ハロウィンについて、ケーシーさんの意見
ケーシー「渋谷ハロウィンだな。一言でいえば『うんざり』。二言でいえば『うざい。腹立つ』……。うん? これじゃ一言、二言じゃなくて、三言になるのか? まあ、いい。とにかく『お前らいい加減にしろ!』と思う。
騒ぐのは別にいいんだけどな。渋谷は元々そんなに静かな場所じゃないし、激しく夜遊びしたい人の集まる場所だしな。しかしそれにも程がある。ゴミをポイ捨てすると、捨てた人が帰った後に他の人が拾うことになる。それでもポイ捨てするか?
はっきり言って大人失格だな。大人失格なら子どもだろ。まだそんなに子どもなら、遅くなる前に帰ってママにオムツ変えてもらっておねんねしてな、クソガキか?」
・トラック横転について
ケーシー「特に今年は軽トラの横転ビデオを見て、『うわっ、こりゃもうダメなんだな』と思った。『普段はしちゃいけないけど、渋谷でのハロウィンならやっていいよね!』ってアホくさい論理が成り立ってしまっている。今まで政府・警察側から『マナーを守りましょう』と呼びかけていたが、今度からもっと強い手を打たないと、本当に収拾がつかなくなるぞ」
・外国人として
ケーシー「これはちょっと考えすぎかもしれないけど、外国人としてちょっと恥ずかしい感じもする。というのは、ハロウィンは元々海外の文化だ。特にアメリカから来ているので、こんなことになっているのが何て言うか……。責任を感じるまでではないけど、『こんなはずじゃなかった』と思ってしまう。自分の国の楽しい伝統を、日本が受け入れようとしてくれている。それはいいけど、かなり曲がったようになっていて、すごく残念だ」
・アメリカでも騒ぎはあるけど……
ケーシー「まあ、そう言ってもアメリカでも渋谷ハロウィンみたいに、ストリートパーティーで暴れる事件は少なくはない。その事件でも少し恥ずかしい気持ちになる。『外国人は派手にはしゃぐのが好きなんだろ? ハロウィンは外国の文化だから、俺たちも派手にはしゃいでいいだろう!』とでも思って、変な風に自分のイメージの外国人を真似しようとして、渋谷ハロウィンで暴れている日本人でもいるかなと思うこともある。もしもそう考えている人がいるなら言いたい。『いや、違う。これは海外でも迷惑だぞ!』と」
彼の指摘はもっともだ。渋谷だから、ハロウィンだからと騒いでいる人がいるとしたら、それはトンだ勘違いで、ハロウィンを理解する以前の話。祭りに乗じて盗人をはたらくのと何ら変わりない。実際に逮捕者が出ていることを考えると、ハロウィンや仮装の問題ではなく、常識を逸脱していると言わざるを得ないだろう。
・渋谷だけじゃない
そんなケーシーさんは、日本のハロウィンについてこうも語っている。
ケーシー「日本のハロウィンは渋谷スタイルだけじゃない。最近俺が住んでいる町の商店街も『trick or treat』を行っていて、仮装している子どもは店を廻ってあっちこっちでお菓子もらっている姿を見ると、微笑ましいんだな。
以前住んでいたアパートでは、ある日本人家族と仲良くなって、ハロウィン当日に子どもたちがうちの扉をノックしたら、お菓子をあげていたよ。めっちゃ喜んでくれていた。残念ながら、今住んでいるマンションではそんなことがないけど、毎年妻とちょっとした飾りを扉の前に付けて、31日には妻が会社から帰ったら、俺は扉まで向かいに行ってお菓子を渡している」
バカ騒ぎするだけがハロウィンではないことを、改めて知ることが大事なのではないだろうか。ハロウィンならではのコミュニケーションがあるはずである。