日常の喧騒に疲れたとき、道端でふと足元に目をやるとキレイな花が健気に咲いていたりする。植物に関しての知識がほとんどない記者は、名前すらも分からなくて もどかしい思いをしたことがある。
ところが今回、スマホのカメラ機能を使って、植物の名称などが分かってしまうというアプリを偶然発見した。その名も「PlantSnap(AppStoreでは2018年10月15日現在で税込480円)」。
とても便利そうで、しかも心を豊かにしてくれそうだが、問題はその精度ではないだろうか。ということで、実際にアプリをダウンロード。検証してみることにした。
・アプリの使い方
検証の結果をお伝えする前に当アプリのことを簡単に説明したいと思う。使い方としては、名前の知りたい花を画面内に収め、あとは普通に写真を撮る要領でシャッターボタンを押すだけ。
そしたら、アプリに搭載されている人工知能とディープラーニングが植物の名称を教えてくれる。画面が切り替わり、「識別しています」というメッセージが表示されるので、しばらく待っていると……
50万以上のデータベースの中から適当な候補をピックアップしてくれる。操作はとても簡単だ。
アプリの概要はなんとなく分かっていただけたと思うので、続いては気になる識別精度を検証していくぞ。
・検証結果としては期待外れ
今回、検証に協力してくれたのは台東区にある「花ふじ」というお店だ。鶯谷駅から徒歩ですぐの場所にお店を構えている。
それでは、さっそく花の写真を撮ってみることにしよう。「どれがいいかなー」と迷っていたら店主からアドバイスが。
どうやら「マム」と「ダリア」という花が似ているらしいので、そのふたつを使って検証してみてはどうかとのこと。
マムは「菊」のことらしい。そして、ダリアもキク科のようだ。画像の薄いピンクがマムで濃いピンクのほうがダリアなのだが、確かに形が似ているな。これは素人には判別が難しい。
ということで、ふたつを撮影して検証してみたのだが、どちらも正しい結果を表示してくれた。
ただ、もしかしたら偶然正解したのかもしれないので、もう少し検証を続けてみよう。続いて店主が用意してくれたのは、「ベンケイソウ」という植物。本種を仕入れる花屋さんは多くないとのことだ。こちらの結果としては惨敗だった。正しい結果を表示してくれなかったのだ。
その後も「ゲットウ」や「リンドウ」、多肉植物など多数の種類で検証を試みたが、正解率としてはあまり良いといえるものではなかった。
・実用するには厳しいのでは
検証後、店主に感想を伺うと「アプリの正解率は3割5分ほどだろう」とのこと。正しい結果もいくつかあったのだが、プロの目線から見て「実用するには厳しいのでは」という意見が本音のようだ。
「きちんと植木鉢に入れられた状態でこのような結果になるということは、山や道端などといった環境下で使用するのは精度的に不安が残る」と。確かにその通りだ。
・今後に期待
店主になぜ今回のような結果になってしまったのか質問してみたところ、「1枚の写真から識別するから」だという。「複数の写真、例えば花のアップと植物全体の写真を合わせた識別ができるのなら精度は上がるのではないか」とのことだった。
なるほど、この「PlantSnap」は撮影した1枚の画像を元に候補を探し出す仕様ではある。複数の写真から識別できるようになれば、精度も少し変わるのかもしれないな。
結果としては、期待していたものにはならなかったが、発想はとても面白いと思う。「植物に興味を持つ人が増えるのはとても嬉しいこと」と店主も言っていたので、アプリに関してはこれからのアップデートに期待したいところだ。
参考リンク:AppStore、GooglePlay
取材協力:花ふじ
Report:石井陽太