都内に77店舗を有する喫茶室ルノアール。その数多くのお店のなかで、もっとも利用する人のタイプが入り混じったお店をご存じだろうか? 私(佐藤)はおそらく、六本木ラピロス店ではないかと考えている。ヒルズやミッドタウンなどの大型商業施設、並びに高級マンション・オフィスビルが立ち並び、なおかつ飲食店や飲み屋などのある歓楽街。それが六本木だ。
当然ルノアールを利用する客層も多岐にわたり、年齢の幅も広い。 “東京の混沌 ” を象徴するのが六本木なら、 “六本木の混沌” を象徴しているのは、このルノアールである。
・朝練の後にひと息
私(佐藤)はここのお店を割と利用している。というのも、ポールダンスの個人練習でここの近くのスタジオをよく利用しているからだ。練習日には朝7時45分から3時間スタジオに入り、ストレッチを1時間半やった後に、ポールを使った練習を約1時間こなしている。残りの30分は休憩したり雑談したり、日によってはこの休憩が1時間になることもしばしば。
その練習を終えた後に、ここのルノアールに立ち寄り、休憩がてらリラックスする。
・今シーズンの季節のパフェ
ここ六本木ラピロス店に関して、ひとつ有用な情報をお伝えしておこう。こちらでは、秋のパフェメニューを食べることが可能だ。ちなみに、2018年10月5日時点で都内に77店舗存在する喫茶室ルノアールのうち、秋のパフェメニューを提供しているのは12店舗のみで、季節のパフェはシーズンによって提供店舗が変わる。詳しくは公式ページをチェックして欲しい。
パフェを食べたいところだが、私は練習後に決まったものを注文している。それは「HONEY レモンスカッシュ」(810円)だ。
レモンの酸味とハチミツの甘さが、肉体疲労を癒してくれる。これをすすりながら、たばこを吸うのが最高のぜい沢。椅子に深くもたれかかって、この日の練習を振り返るのは至福の一言に尽きる。
・ホストの先輩後輩
しばし茫然、見るとはなしに店内を見ていると、入り口の方から小走りで入って来る1人の若者の姿があった。奥の席に座る男性に「すみません」と会釈して席に着く。どうやら若者は待ち合わせの時間に遅刻したらしく、ソファに座る男性の顔色は芳しくない。漏れ聞こえてくる内容から2人はホストで、若者は客であるキャバ嬢に手を出した件で説教を受けているようだ。
男性「俺はお前のことを、ほかのメンバーより目をかけてるつもりだった。わかるよな、自分が何をやったか」
若者「すみません。申し訳ないと思ってます」
男性「すみませんじゃなくて。俺が1番頭に来てのは、なんで先に俺に言わなかったかってことなんだよ」
若者「はい、すみません。でも、オレの口から言うのは違うんじゃないかって思って、それで……」
男性「違うとかじゃないだろ。何でお前の口から言うのが違うんだよ」
2人の話は平行線。若者は謝っているものの、説教を受けていることに納得していない様子が見てとれる。
・アツく語る営業マン
そんな夜の街の匂いがする話の裏側では、営業マンがクライアントに自社の製品の魅力を一生懸命伝えていた。イノベーションがどうたらこうたら……、バズを創出する仕組みがどうたらこうたら……、インフルエンサーがどうたらこうたらと、アツく熱弁をふるっているが、初老の相手は渋い顔をしたまま。そして一言。
クライアント「なるほどね~」
と言ったまま、この会話は途絶えてしまった。
・トイレの秘密
ここから営業手腕が問われるところだったが、その行く末を見届けることなく、私は席を立った。会計を済ませた段階でトイレに行きたいと思い、スタッフに秘密の呪文をささやいた。
「トイレのコインください」
実はここのトイレは店外にあり、利用するには専用のコインを投入しなければならない。
六本木ラピロス店でトイレを利用したくなったら、コインが必要だと覚えておこう。
さて、あの説教の行方はどこに落ち着いたのだろうか? そして、あの営業マンは製品の魅力を伝えきることができたのか? 各々が望む答えを得られぬままに、六本木の街はより一層混迷の色を深めていくようだ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ルノアール六本木ラピロス店
住所 東京都港区六本木6-1-24 ラピロス六本木2F
営業時間 8:00~23:30 日祝 8:00~23:00
席数 喫煙:45席 / 禁煙:48席
定休日 なし