人間とは移ろいやすい生き物だ。夏の暑いさなかには「寒い方がマシ」と言い、真冬の寒さの前では、「暑い方が耐えられる」とか言う。いい加減なものだ。10年前、いや5年前。ひょっとしたらここ1~2年の間に、「たばこが500円になったらやめる」と言っていた喫煙者たちは今、どうしているのか?
500円の大台に乗る日など来ないと思っていたからこそ、やめると簡単に言っていた訳だが、ついにその日が来てしまった。2018年10月1日の値上げより、多くの銘柄が500円台に突入! はたして、あのいい加減な宣言をしていた喫煙者たちはどうしているのだろうか?
・主要銘柄が軒並み500円台
今回の値上げで、大手たばこ各社の主力銘柄はほぼ500円台に突入した。JTのアメリカンスピリットは520円、セブンスターは500円。フィリップモリスジャパンのマルボロ各種は510円、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのラッキーストライクも500円となっている。
このほか、今回は電気加熱式たばこも値上げ対象となり、アイコス(500円)、プルームテック(490円)、グロー(490円・460円)と30~40円の値上げに踏み切っている。まさに喫煙者には逃げ場のない増税の波が押し寄せた格好だ。
・500円になったらはジョーク
さて、冒頭にも触れたように、昔ならたばこに500円なんて考えられなかった。わずか20年の間に250円から2倍の価格に吊り上がっているので、昔の「たばこ銭」は本当に小銭を意味していたはずである。「500円になったらやめるわ(笑)」とは、絵空事に過ぎず、たばこをやめる気がないことを象徴するジョークなようなものだったのだが……。
本当に今日の日を迎えるとは、私(佐藤)自身も思っていなかった。そこで当編集部の喫煙者たちに、以下の2つの質問を投げかけてみた。
・「Q1.たばこが値上がりしたことについてどう思いますか?」
羽鳥「こんなご時世でもあるし、仕方ないとは思う。でも自分勝手な意見かもしれないが、加熱式タバコを巻き込むのはカンベンしてくれってのはある。いっしょくたにするのはどうかと。ぜんぜん値上がりとは関係ないけど、喫煙所とかも分けて欲しい」
和才「納得しかねるが、仕方がないと受け入れている。というか、タバコの値上がりついて考えると腹が立ってますますタバコを吸いたくなるので、考えないようにしている」
サンジュン「いい加減にしろと思う。酒から(税金を)取った方がいい。というか、せめて屋外の喫煙所は増やせとは言わないまでも減らすな。確かに海外は屋内じゃ吸えないけど、外は普通に灰皿があって吸える。オーストラリアもニュージーランドも。日本は情報を断片的に聞いて(法律や条例を)施行するからチグハグすぎる」
原田「辛いです…。ついに500円の壁を越えてしまったかという気持ちですね。いつかこの時が来るとは思っていましたが…」
Yoshio「喫煙者なので個人的には上がってほしくはないけれど、必要なモノではないので、もっと上がっても仕方ないと思っています」
中澤「高いと思います」
佐藤「仕方がないと思う。ぶっちゃけ、喫煙者のマナーは喫煙者の自分から見ても悪いものだから、もっともっと値上げして、セレブのたしなみにしてしまった方が良い気がする。買えるから吸うので、買えんほど高くすればいい」
とのことだった。考え方は人それぞれだが、甘んじて値上げを受け入れている喫煙者がいる反面、往生際悪く文句を言っている人物もいる。怒ったって仕方がないというのに。
では、値上げに反発する人たちは、これを機にたばこをやめるのか? 次の質問だ。
・「Q2.たばこやめようと思わないんですか?」
羽鳥「実は少し思ってる。でも、なかなかやめられないんだよなぁ〜」
和才「やめようとは思っている。ただ、「具体的な時期は未定」というだけ」
サンジュン「やめない……というか、相当な気合いがないとやめられない。そして今は相当な気合いが入らない」
原田「自分のルーティンに入っているので、今のところはやめる予定はありません。もうしばらくは付き合おうと思っています」
Yoshio「このくらいの値上がりならセーフですね」
中澤「このままやめるつもりです」
佐藤「やめるとかやめないとか、そういう次元の話ではない。今は結論を出すには早すぎる」
・大事な財源
とのことだった。500円の大台に乗ったというのに、「まだセーフ」といっている人物がいることに驚きだ。その一方で、中澤はスパっとやめる決断を下している。いずれにしても、7人に意見を求めて1人しかやめると言わないところを見ると、まだまだ値上げをしても禁煙に踏み切る人は少ないのかもしれない。日本の貴重な財源であることは間違いないだろう。
執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24