オートバイ同士で競争する世界選手権「MotoGP」。常に死と隣り合わせな命がけのスポーツではあるが、日本でも開催されているためバイクに詳しくない方でも耳にしたことがあると思う。

2018年9月9日、イタリアのサンマリノで開催されていたMotoGPの一戦「サンマリノグランプリ」にて、走行中に他選手のブレーキを握って妨害する事件があった。走行中に他人からブレーキを握られるなんて、たとえ自転車であっても危険すぎる行為。どうしてこんなことをしたのか……。

・レース中の腹いせか?

ブレーキを急に握られたのはステファノ・マンジという選手。そして、クレイジーすぎる凶行に及んだのは、ロマーノ・フェナティ選手。実はこの2人、レースの途中でクラッシュしていた

クラッシュといってもそう派手な事故ではない。接触してしまった結果、2人ともややよろけるような感じでコースアウトした感じである。しかし、このコースアウトによって大きく順位を落としたのも事実。

2人ともそのままコースに戻ったのだが、どうしようもないほどに順位を落とした腹いせだろうか……。フェナティ選手はマンジ選手のバイクに並走すると、突如として手を伸ばしてブレーキを握ったのだ。

・即失格、チームからも解雇

幸いマンジ選手はよろけるだけですんだが、それでも余りに危険すぎる行為。当然フェナティ選手は失格となった。この事態を報じたMotoGPによると、ペナルティとして2試合への参加禁止処分も下されたそうだ。

また、英国メディア「The Guardian」によると、この事件のあとでフェナティ選手は所属していたチームからも解雇されたもよう。ペナルティを報じたMotoGPのTwitterにも「たったの2試合?」といった処罰の甘さを指摘するコメントがついていたが、筆者も解雇は当然だと思う。

危険なレースではあれど、この18年間でレース中の事故死は4件。80年代中は14名も命を落としていたことを考えると、危険ながらも安全性を高めるための努力の結果だろう。

今回のフェナティ選手の行動は、そういった努力を踏みにじる行為だと思う。解雇されて時間に余裕ができたであろうフェナティ選手には、しっかり反省してもらいたいところだ。

参照元:motogp.com、Twitter @MotoGPThe Guardian
執筆:江川資具

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