今から約2カ月前。あるフィリピン系アメリカ人男性が、地元マクドナルドを訪れたときのことだ。彼は友人とおしゃべりしながら、ボンヤリと店の中を眺めていた。壁には、幸せそうな人々が収められた写真が何枚も飾られていたのだが、彼はあることに気がついた。


「あれ? 他の人種は写っているのに、アジア人はゼロじゃないか?」


……と。そこで彼は行動に出た。マクドナルドに無断で、自分の写真を店内に飾ってしまったのだ。

・マックに自分のポスターを貼ってみた!

米テキサス大学に通うジェヴ・マラビージャさんは、その模様をYouTube動画『We Became McDonalds Poster Models』で公開している。動画には、ジェヴさんが訪れたマクドナルド店内が映されているが、たしかに壁に貼られた写真にはアジア人の姿は見当たらない。


「店内にはアジア人の写真が1枚も展示されていませんでした。それを見た僕は『僕たちの手でこの事態を変えられるかもしれない』と友人と話し合いました」


そしてジェヴさんは友人クリスチャンさんと一緒に、次のような「マックの店内に勝手にポスターを貼っちゃおう計画」を決行したのだ。

自分たちの写真を撮影

写真を特大ポスターにする

古着屋でマクドナルドの制服をゲット

店員の隙をついて、ポスターを店に搬入

マクドナルドの制服を着たジェヴさんの指示の元、友人らがポスターを壁に設置

退店

動画では、この流れを実際に見ることが出来る。ジェヴさんとクリスチャンさんの写真はとっても爽やかで、事情を知らない人は「マクドナルドの公式ポスター」だと疑わないだろう。また店内にポスターをかける手順も鮮やか。こんなに堂々とした態度なら、他のお客さんも「ああ、店員さんがお仕事をしてるのね」としか思わないはずだ。

「どの人種も、社会から認識されるべきなんです。そして、これが僕のやり方です」。ジェヴさんはイタズラ目的ではないと説明している。

・店のオーナー「素晴らしい。また店に来てほしい」

上記のミッションが行われたのは2018年7月13日。それから約2カ月経過した9月2日に、ジェヴさんが「マクドナルド店内に空いている壁があったので、僕と友人のポスターを飾ってみた。51日経過したけれど、まだポスターは撤去されていない」とツイートしたところ、25万件以上のリツイート、98万件以上の「いいね」と共に大きな注目を集めることになった。

こんなに話題になれば、店側も偽のポスターに気がついて取り去ってしまうのでは……などと思ってしまうが、どうやらポスターが設置された店のオーナーは、ジェヴさんたちの行為を悪く思っていないもよう。『CNN』は、オーナーが次のようにジェヴさんたちを称えたと伝えている。

「当店は、誇りを持って多様性を支持します。今回、学生たちは独創性に飛んだ素晴らしい行動に出ました。彼らには、また店に来てもらいたいですね」

ちなみにジェヴさんは「マクドナルドの公式モデルとして起用されると嬉しいですね」と語っているのだった。

参照元:YouTube、instagram @jevholution、Twitter @JevholutionUSA TodayCNN(英語)
執筆:小千谷サチ

▼ジェヴさんたちがポスターを設置するまでの一連の流れを見ることができる

▼ジェヴさん「51日経過したけれど、まだポスターは剥がされていないよ!」