都内に向かう通勤快速の列車がビュンビュン走り抜ける埼玉県に、モノレールがあることをみなさんはご存じだろうか?
その名もニューシャトル。始点の大宮駅から終点の内宿駅までは13駅で、終点までの時間はわずか24分。
埼玉県民の間ではちょっとばかりニューシャトルのことを小馬鹿にする風潮があるのだが、はたしてこの珍鉄道の魅力とは。ニューシャトルに乗り込んで、終着駅まで行ってみた。
・ニューシャトルをバカにするな!
埼玉県民の間ではニューシャトルで帰路につく人に対し、「え、ニューシャトル? プププ」と、とりあえず言ってしまうといった悪しき慣習がある。なぜそんなことを言うのか?
それはおそらくモノレールというだけでスピードが遅いというイメージがあるからだろう。たしかに大宮駅を出発したニューシャトルは次の鉄道博物館駅までは原付バイクくらいの速さで走っている(歩いても行けるような距離にあるので)。
さらにニューシャトルの線路は、東北・上越新幹線の高架橋にビタビタに張り付くような形になっており、両者が共演したときなどはまさにウサギとカメ状態。そしてこの場合、当たり前だがウサギがぶっちぎりで勝利してしまう。
こんな背景もあり、遅いという印象だけが先行し、ニューシャトルの魅力は埼玉県民の間でもあまり知られていないのだ。
・ニューシャトルに乗ったら意外と速かった
ということでさっそく大宮駅で終点である内宿駅行きのきっぷを購入。しばらくすると、『銀河鉄道999』のメロディーとともにニューシャトルが登場した! 鉄道博物館へこれから行くのであろう親子連れからは黄色い声援が飛ぶ。
前にもあるように次駅までは20~30㎞の速さでスススッと線路上を滑るように走る。しかし、ひとたび鉄道博物館駅を過ぎると……。
「ウィィィィーン! ウィィィィーン!」
とうなりを上げながらながらスピードはグングン上がり、ついに時速60㎞に到達。通勤快速には敵わないが、各駅停車と比べてみてもそこまで大差がないのである。かといってゴトゴトと揺られることもなく、じつに快適な乗り心地だ。
・車体がカッコよすぎる
ニューシャトルの大きな魅力の1つ、それは近代的なデザイン。パっと見の印象だけではなく、車内のシートなどディテールがいちいちカッコいい。そしてニューシャトルのHPを見てみると、なんと14種類もの車体がある!
今回カメラにおさめることができた21世紀のドラえもんに出てきそうな車体をはじめ、ほかにもレトロさを醸し出しているような車体もある。これほど多くのバリエーションを楽しめる電車がほかにあるだろうか?
そんなこんなでニューシャトルの車内でキャッキャすること24分。ついに終点の内宿駅に到着した。普段「ニューシャトル? プププ」なんて言っている人からすると、内宿駅は最果ての田舎みたいな印象かもしれない。しかし線路沿いには幅の広い歩道がバチっと整備されており、自転車でスイスイ、ランニングも最適そう!
そして駅前の駐輪場に停まっている自転車の数がハンパない。
「内宿駅、めっちゃ人住んでるやんけ!」
ニューシャトルは埼玉県民のかかせない足として、今日も明日もウィンウィン動き続けている。たしかに沿線の大きな観光地は鉄道博物館くらしかないのだが、ニューシャトル自体に魅力が溢れていたというわけだ。
参考リンク : さいたま新都市交通
Report : 國友公司
Photo : Rocketnews24.
▼シートもカッコいい
▼ニューシャトルのロゴ
▼シュッとしていながら親しみやすいフォント
▼車内もイかしてる
▼終点の内宿駅