2018年7月6日、オウム真理教元代表で “麻原彰晃” こと「松本智津夫」死刑囚(63歳)の死刑が執行された。日本犯罪史上、最大級の無差別テロ事件の首謀者だけに世間からは様々な声が挙がっている。
その一方で、罪なき人物が罵詈雑言、ヘイトの嵐に見舞われていることをご存じだろうか? あえて名前は伏せるが、麻原彰晃の子供たちである。子供たちのSNSには心無い言葉が今なお書き綴られているが、ちょっと待って欲しい。子供たちがいったい何をしたというのか?
・6人の子供
調べればすぐにわかることなので記述するが、麻原彰晃には6人の子供がいる(12人説・15人説もあり)。事件当時はそれぞれのホーリーネームが大々的に報道されていたから、ご記憶の方も多いことだろう。
そのうち数名はSNSやブログを開設しており、極めて特殊な環境で生まれ育った己の人生を赤裸々にさらけ出している。それぞれの主張については割愛するが、ただ1つ言えることは「子供たちは自らの意思で麻原彰晃の子供として生まれて来てはいない」ということだ。
・子供に向けられる非難の声
そんな子供たちのSNSには麻原彰晃の死刑執行を受け「ざまあ見ろ」「お前らも死ね」を始めとする罵詈雑言が並んでいる。先述のように麻原彰晃は無差別テロ事件の首謀者であり、怨嗟の声が渦巻くことは理解できるし、むしろ当然のリアクションなのかもしれない。ただそれを子供たちに向けるのは違うのではなかろうか?
決して麻原彰晃をかばうつもりはないし、オウム真理教を正当化するつもりもない。主張したいことはただ一つ、
「たまたま犯罪者のもとに生まれてきてしまった子供に対し、親の犯罪のことで攻撃するのは人間としてどうなのか?」
……ということだ。
確かに子供たちは事件当時、教祖の子供ということで教団内では特別な扱いを受けていたのかもしれない。絶対的な支配力を持つ麻原彰晃の子供であれば、周囲からはチヤホヤだってされていたのだろう。……だがそれが何だというのか?
・彼ら彼女らが何をしたというのか?
子供たちが事件を主導したわけでもなければ、犯罪に手を染めたわけでもない。再々言う通り「ただそこに生まれて来てしまっただけ」なのだ。その子供たちに対し容赦のない言葉を投げつけているヤツは、冷静になって「自分の行為は人間としてどうなのか?」考え直した方がイイ。
おそらくはインターネット特有の「意味不明の正義感」と「どうせバレっこない精神」が働いているのだろうが、それにしても “人間として品が無い行為” と言わざるを得ない。嬉々としてコメントを書き込んでいる姿を大切な人に見せられるのか? ちょっと冷静になれ。
オウム真理教には高学歴で人格的にも素晴らしい信者が大勢いたと聞く。そんな彼ら彼女らが盲目的に洗脳されてしまったのは、どうしても満たされない心の隙間があったからだろう。インターネット上でヘイトをまき散らす人たちよ、あなたにも同じような心の隙間がありはしないだろうか?
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.