2018年の春先に話題となったソニーの「NHKが映らないテレビ」がいよいよ販売される見込みとなった。ソニーのホームページによれば、商品名は「液晶モニター法人向けブラビア BZ35F / BZシリーズ」とのことである。

商品の詳細については後述するが、もし本当にNHKが映らないのであれば「受信料も払わなくてもOK」ということになるのだろうか……? イマイチわからないので、NHKに問い合わせた結果を報告しよう。

・「NHKが映らないテレビ」とは?

まずは「NHKが映らないテレビ」こと「液晶モニター法人向けブラビア BZ35F / BZシリーズ」について説明したい。商品名からもわかる通り、こちらテレビではなく厳密に言えば “モニター” である。最大の特徴は「一切のチューナーが付いていない」こと、そして「Androidが搭載されている」ことの2点だ。

つまり、買ってそのままの状態ではNHKはおろか民放も映らない。ただしAndroidに対応している例えば「TVer(ティーバー)」などのアプリをインストールすれば、NHK以外の民放放送を視聴することが可能だ。これが噂の「NHKが映らないテレビ」の正体である。

※ちなみにソニーに問い合わせたところ、アプリのインストールについて「理論的には可能だが動作保証は致しかねる」とのことであった。

・NHKに問い合わせてみた

さて、本題に入ろう。確かにチューナーがないモニターであればNHKの受信は不可能だから「受信料は払わなくてもいいのでは?」とも思える。だがしかし、ワンセグにせよネット放送にせよ、受信料の徴収にはスーパー本気を出してくるNHKだけに油断は出来ない。

そこでNHKに問い合わせ「NHKが映らないテレビが発売されるそうですが、受信料を支払う必要はありませんか?」と単刀直入に聞いてみることにした。すると電話担当者はすぐに「上の者に代わります」と告げ、ちょっとエラいっぽい人が対応してくれたので、以下でやり取りをご覧いただきたい。


「お客様。お電話代わりました、〇〇と申します。引継ぎを受けたのですが、そもそも我々としては “NHKが映らないテレビ” の存在自体を初めて聞いたので、お答えのしようがございません」

──そうですか。今年春に行われたソニーの株主総会で話題になっていた商品で、2018年7月末から販売になるようです。厳密にはテレビではなくモニターで、チューナーは搭載されていないようです。

「左様でございますか。商品の詳細について存じ上げていないので、その商品についてはお答えができません」

──なるほど。では、一般論としてモニターでテレビを見ていた場合、受信料はかかりますか?

「基本的にNHKは放送、インターネットは通信です。例えば一般的なテレビやワンセグ機能付き携帯は “チューナーとアンテナ” を受信設備として見なすため受信料が発生します。そのどちらかが無いモニターは受信設備として見なしません」

──では今回の商品はチューナーが無いので受信料が発生しないということでよろしいでしょうか?

「個々の商品についてNHKとしての見解を述べることは出来ません。申し訳ありませんが、個人的な見解もNHKとしての見解も控えさせていただきます


ハッキリと「受信料を支払う必要はない」とは聞けなかったが、一般論で言えば「液晶モニター法人向けブラビア BZ35F / BZシリーズ」はチューナーが付属していないのだから、受信設備として見なされないため、受信料は発生しないのではなかろうか

・他のメーカーはどう出る?

ただ何度聞いても、最終的には「答えは控えさせていただく」の一点張りだったので、今回の問い合わせで「受信料は発生しない」と断定することは出来なかった。なので「じゃあ買っちゃおう!」と特攻するのは、現段階ではオススメしない。

テレビではなくモニターであるものの、物理的に「NHKが映らないテレビ」として機能する商品が開発されたことは、視聴者にとって選択の幅が広がったと言っていいハズだ。他のメーカーも追従するのか? そしてNHKはどう対応するのか? 注目したい。

参考リンク:SONY「液晶モニター 法人向けブラビア BZ35F / BZシリーズ」
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼何度聞いても「お答えできません」と言い続けるNHK……やりおる。