『アルマゲドン』といえば、SF映画に金字塔を打ち立てた不朽の名作である。テレビで何度も放送されているので、そう遠い昔の作品ではないように思うのだが、実は公開からすでに20年を経ている。

この映画の影響がいかに強かったか? そのことを意外なところで知ることができる。それは、マイナーSF映画の邦題だ。作品の影響が特に強かった公開後の数年だけでなく、なんといまだに『アルマゲドン』を想起させる、邦題のSF作品が登場している。20年も経ってるのに、まだ引っ張るか!?

・2011年当時の『アルマゲドン』

今から7年前の2011年に、「N-Styles」というサイトが邦題アルマゲドンまとめを公開していた。それによると、その当時すでに以下の8作品が販売されていたようだ。

アルマゲドン2007 月が落ちてくる(原題:EARTH STORM)
アルマゲドン2008 2008年地球が消える(原題:FUTURE SHOCK:COMET IMPACT)
アルマゲドン2009 人類に明日はあるか(原題:POLAR STORM)
アルマゲドン2010 これが地球最期の日だ(原題:Meteor Apocalypse)
アルマゲドン2011 人類滅亡まで残り15分(原題:Meteor Storm)
アルマゲドン2012 (原題:Quantum Apocalypse)
アルマゲドン・パニック 地球崩壊へのカウントダウン タイムリミット72時間!(原題:BEFORE THE FALL / TRES DIAS)
アルマゲドン20XX (原題:20 YEARS AFTER)

これだけでも十分おなかいっぱい。「人類滅亡」や「地球崩壊」という言葉が陳腐にさえ感じられるほどだ。それから7年を経て、まさかいまだに “邦題アルマゲドン” が登場しているのか? を確かめたところ……アルバトロスという会社が執拗にアルマゲドンしていた! 以下は、2012年以降に発売されたアルマゲドンたちである。


・アルマゲドン2012 マーキュリー・クライシス(原題:Collision Earth 2012年9月発売)

水星と地球の衝突まで18時間 2012年、太陽系で未曽有の異変が発生。水星が軌道を外れ、地球衝突のコースを直進 降り注ぐ隕石雨と磁気嵐。人類を襲う絶体絶命の危機。そして残された希望に全てを賭け、勇者たちの戦いがはじまる!」


宇宙を漂う小惑星ではなく、水星が地球に落ちてくる話らしい。設定が面白そうだが、タイムリミット18時間は短すぎやしないか。水星が近づいてきてたら、もっと早く気付くだろ……。ちなみにこれは先に挙げた「アルマゲドン2012」とは別作品のようである。


・アルマゲドン・オブ・ザ・デッド(原題:Solid State 2013年2月発売)

地球を救え、死者の惑星となる前に 未知の彗星が接近し、滅亡の危機を迎えた人類。 決行されたミサイル攻撃は、さらに最悪の事態を呼ぶ。爆破した彗星から降り注ぐ、人間をゾンビ化する謎の《光》。死者の大群に支配された地球で、地獄のサバイバルがはじまる。」


彗星にミサイルを撃ち込むのには成功したのに、ゾンビ光線が降り注ぐとは予想外!? きっとこれは、彗星接近はただの前フリで、ゾンビパニックが本題って形で設定された作品なのだろう。とりあえず、「オブ・ザ・デッド」と言っておこうって雰囲気がひしひしと伝わってくる


・アルマゲドン2013【完全版】(原題:CAT. 8 2013年8月発売)

滅亡のカウントダウンがはじまる 衛星兵器実験が引き金となった太陽活動の大異変 襲い来る隕石の嵐により壊滅してゆく世界各地の大都市。さらに地核の回転が停止し、灼熱地獄が地上を襲う。その圧力が限界を超えた時、地球は風船のように破裂する。果たして人類は運命を変えられるのか!?」


太陽活動に大異変が始まった時に、もう終わりだろ! 人類の運命は変えられねえよッ!! と言いたくなる。とてもピースが訪れそうもないのだが、作中で登場人物たちが、どう危機を回避していくのかが気になる。だって、始まった時に終わってるみたいな物語なんだもの……。そもそも「完全版」っていうけど、完全版はオリジナルのアルマゲドンだからね!


・アルマゲドン2014 (原題:ASTEROID VS EARTH 2014年10月発売)

地球が砕ける 2014年、小惑星の接近により地球は滅亡の危機を迎えた。ミサイル迎撃は失敗、降り注ぐ隕石により都市は壊滅。人類に残された最後の希望、それは核爆発で太平洋プレートを動かし、地球を移動させ衝突を回避するという驚天動地の作戦だった!」


これまたスゴイ! あらすじ読んだだけで絶望しか感じない。核爆発で太平洋プレートを動かすってことは、人類が自ら地球を破壊しに行くってことでしょ? それを「最後の希望」と言ってしまうところがスゴイ! 物語がどう決着するのか、こちらも気になる作品。


・アイス・アルマゲドン (原題:ICETASTROPHE 2015年6月)

地球を凍らせる “恐怖の大王” が降ってくる 20XX年のクリスマス、恐怖のプレゼントは宇宙から届けられた。墜落した謎の隕石、それは絶対零度の嵐を呼ぶ破滅の使者。フラッシュ・フリーズ《瞬間凍結》し、白い地獄と化してゆく世界。そして地球と人類の運命を賭けた、最後の戦いがはじまる!」


出た! アルマゲドン史上初のクリスマス映画!! もうそれだけで、ワクワクが止まらない。「地獄のサンタクロースが破滅のプレゼントを届けてくれた」、そんなファンタジックな設定がステキ。衝突とか爆発ではない形で、地球を破滅に導こうという試みも興味深い。


・シン・アルマゲドン(原題:EARTHTASTROPHE 2017年6月)

世界は滅びる 突如出現したワームホールに呑まれ 別の惑星系にワープしてしまった地球 2つの太陽が輝く異空間で滅亡の危機を迎えた人類を救う最後の手段とは?」


ちょっと待て、ワームホールに呑みこまれた時点で、ほとんど詰んでるやん! 何より言いたいのは、これ「シン」って付けたかっただけだろ!


・ボルケーノ・アルマゲドン(原題:GLOBAL MELTDOWN 2018年7月発売予定)

地球が、燃える 20XX年、地球は未曾有の大地殻変動に襲われた。襲い来る巨大地震と津波、火山噴火による絶滅の危機。終末地獄を生き抜けるか? 全人類のサバイバルがはじまる!」


私(佐藤)のなかでは、惑星衝突が「アルマゲドン」を名乗る前提にあると思っていた。最低でも宇宙と地球の2つの舞台が物語に登場することがカギになると思っていたのだが……。これは地球だけで完結するような気がする。地殻変動があるとはいえ、紹介文を読む限り惑星も降って来なそうだし、ワープもしそうにない……。これなら、原題のままでよかったような……。

なお、この作品は7月4日発売開始予定だ。


・アルマゲドンしてる?

まさか今に至るまで、アルマゲドンの系譜(原作とは関係ない)が続いているとは思わなかった。作品を見てみないことには、これらの作品がどれだけアルマゲドンしているのかわからないので、取り寄せて観たいと思う。もしかしたら、元祖よりもアルマゲドンしているかもしれない。その感想はまた、いずれお伝えしよう。

参照元:アルバトロスN-Styles
執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24