例えばビールはそれなりに食べ物を選ぶお酒だが、日本酒は割と何にでも合う気がする。魚料理は言うまでもなく、肉にも合うし、ソフトクリームにかけてもウマい。実に万能なお酒ではないか。

だからこそ、まさかこうも用途を絞った日本酒があるとは思わなかったぞ。サバ専用日本酒。最近ネットで話題になっているのでご存じの方も多いだろう。その名の通り、サバのために作られたという日本酒だ。どんな味なのかまるで想像がつかないので、実際に買って飲んでみることにした!

・まさかのサバ専用

茨城の蔵元・吉久保酒造が販売しているサバ専用日本酒『SABA de SHU(サバデシュ)』。価格は720ml で税抜1056円だ。ラベルに思いっきりサバのイラストが描いてある、まさにサバ仕様な1本である。

「日本酒度+4」という表記はあるものの、原料米・精米歩合・酸度といった情報は非公開。なんとも怪しげ……もとい、ミステリアスなお酒だ。

Amazon の商品ページには「『一品 辛口純米』等5種類の日本酒を絶妙にブレンドした」と書かれており、また、ラベルには「〆サバ、焼サバ、サバ煮とサバさばなサバ料理と共にお楽しみ下さい」という、若干さかなクンっぽい解説が載っていたことも記しておきたい。

・飲んでみた

さて、まずはそのまま飲んでみることにしよう。

ほうほう、なるほど。けっこう辛口だ。後味がキリっとしている割にはたっぷりしているというか。吉久保酒造のホームページによると、酸度、アミノ酸が高いらしい。まあ、この値段ならこんなもんか、ってな味である。

・サバと合わせて飲む

それでは、お次はサバと一緒にいただいてみたい。今回は焼きサバサバ煮の缶詰を用意した。サバを食べた後に『サバデシュ』を飲むと、本当にウマく感じるのだろうか?

焼きサバを食べ~の……『サバデシュ』

サバ煮を食べ~の……『サバデシュ』

お? おお? はいはい! なるほどそうか、分かったぞ!!


結論から書くと、たしかにそのまま飲むよりも、サバを食べた後の方がおいしく感じる。特に焼きサバだとその効果を感じやすかった。サバの後に『サバデシュ』を飲むと、脂をサーッと流してくれつつもサバのウマさの余韻は消さず、酒と魚、両方をしっかりと楽しむことができるのだ。

・ばっちりマリアージュ

生臭さなどの嫌な後味はまるで感じない。あくまでサバを立てながら、日本酒としての味わいは損なわないというか。これは純米吟醸系にはない感覚ではないだろうか。おそらくこの『サバデシュ』は、サバと混じりあうことで初めて完成するお酒なんだろう。

ぶっちゃけ、日本酒単体としてはさほどウマくない。話題のサバ専用日本酒、その正体は、サバがないと成立しないというなかなか攻めたお酒だった。サバ好きな人に飲んでもらって、ぜひその感想を聞いてみたい。

参考リンク:吉久保酒造Amazon「SABA de SHU(サバデシュ)」
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.