馴染みのない土地を知るにはいろいろな方法があるが、代表的なひとつがグルメである。福岡県出身の筆者(私)の場合、物差しとなるのはラーメンだ。いつも慣れ親しんだものと違う味で、その土地に来たことを実感する。
さて、先日大阪を訪れる機会があった私。土地を知るためにも現地で人気のラーメンを食べたいところだ。そこでオススメを大阪人に聞いたら、「一風堂かなぁ(笑)ウソウソ、九州から来てとんこつはおもろくないよな〜。そうやなぁ、ミシュラン(ビブグルマン)に載った泡系とかどない?」とこれ以上ない返事が返ってきた。モチのロンロン、行きましょう!
・本町にあるラーメン店
ということでやってきたのは、ビジネス街として知られる西区の本町。訪れた日は日曜ということもあって、人の姿はまばらでゆっくりとした時間が流れていた。お目当ての『ふく流らーめん 轍(わだち)』は、御堂筋線の本町駅から歩くこと数分。少しばかり路地に入ったところにあった。
きれいな店内には、奥行きのあるカウンター席。満席近く先客がいた中、ギリギリで滑り込んだ私は看板メニューと書いてあった味玉ふく流ラーメン(税抜800円)を注文した。メニューの説明によると、「クリーミーな鶏スープ」「柚子エスプーマ」「三種の特選醤油からなる秘伝の醤油ダレ」が特徴らしい。
・美しい一杯
それにしても、エスプーマ(泡)とは珍しい。目の前で調理を眺めつつ、一杯また一杯とお客さんにラーメンが提供されていき、自分の番が近づいてくるだけでドキドキする。そしてついに目の前に味玉ふく流ラーメンがやってくると……おぉ! なんと美しい……!! ラーメンの湖が泡に包まれているようで幻想的だ。
見た目だけでもヨダレじゅるりで破壊力があるが、顔を近づけてまたビックリ。ふわっと香る柚子がこれまた美味しそうで食欲をそそられる。まずは冷めないうちにスープを飲んでみると……こ、こりゃうまかぁ〜!!
・海外の上品な料理みたい
鶏と豚骨を圧力鍋で130℃の高温で一気に煮出したというクリーミーなスープは、口の中で優しく馴染んでいく。とんこつの泡系はそれなりに食べてきたが、違ったブクブク感で脳を喜ばせてくるではないか。な、なんちゅう一杯。まこと上品なお味でございます。
また、ストレートの麺もスープとの相性バッチリ。そして時折、エスプーマのサッパリ具合が癒しとなって、箸が止まらないし止められない。それに加え、ピンク色で歯ごたえのあるチャーシュー、トロトロとした味玉といい、全てが高い水準でまとめられていたから非の打ち所がなかった。
なお、化学調味料は不使用、麺は自家製麺(卵不使用)、野菜は主に泉州産を使用と味だけでなく、細かいところまでこだわり抜いていた。何だかラーメンを食べているというより、海外の上品な料理を食べているかのような感覚だ。
・食へのこだわりがある一杯
ガッツリ系の食べ物のイメージが強い大阪だが、器用に立ち回る関西らしさと繊細な一面を持ち合わせていた『ふく流らーめん 轍』。聞けば平日は結構な行列ができるらしいが、それも当然だと思える美味しさだった。
外観、店内ともに清潔感があるため、女性でも気軽に入ることができるし、週末にしか行けない人でも大丈夫。土日祝日も開いている上、心斎橋から歩いて行けなくもないので合わせて楽しむのもいいかもしれない。大阪の優しい一杯で悶絶したいならオススメだ。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 ふく流らーめん 轍 本町本店
住所 大阪府大阪市西区西本町1−8−2
時間 11:00〜16:30 / 18:00〜22:00(LO21:30)※毎月最終日は11:00〜15:00(LO14:30)
休日 無休(年末年始を除く)
Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.